『妖怪博士』江戸川乱歩35
○少年探偵団シリーズ第3作品『妖怪博士』
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順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
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1 | berry | 7015 | 王 | 7.1 | 97.7% | 651.0 | 4674 | 107 | 100 | 2024/10/08 |
2 | みき | 6187 | A++ | 6.3 | 97.6% | 743.7 | 4714 | 112 | 100 | 2024/09/15 |
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問題文
(「へへへ、ごりっぷくになっては、おはなしもできません。)
「ヘヘヘ、ご立腹になっては、お話も出来ません。
(とりあえず、これをよんでいただきましょうかね。)
とりあえず、これを読んでいただきましょうかね。
(これをごらんになれば、なにもかもわかるのですよ」)
これをご覧になれば、何もかも分かるのですよ」
(あやしいろうじんはそんなことをいいながら、ぽけっと)
怪しい老人はそんなことを言いながら、ポケット
(からにまいのかみきれをとりだして、こいずみしにさしだし)
から二枚の紙切れを取り出して、小泉氏に差し出し
(ました。「あそこにあかりがついております。あのしたへ)
ました。「あそこに灯りがついております。あの下へ
(いって、よくよんでみてください」こいずみしは、こんな)
行って、よく読んでみてください」 小泉氏は、こんな
(あやしいやつにとりあわず、そのままたちさってしまおう)
怪しい奴に取り合わず、そのまま立ち去ってしまおう
(かとおもいましたが、こみいったじじょうがかかれている)
かと思いましたが、込み入った事情が書かれている
(であろうかみきれをみると、やっぱりいちおうはよんで)
であろう紙切れを見ると、やっぱり一応は読んで
(みなければなりませんでした。あかりのしたへいって、)
みなければなりませんでした。灯りの下へ行って、
(かみきれをかざしてみれば、まずそのいちまいにはみおぼえの)
紙切れをかざして見れば、まずその一枚には見覚えの
(あるのぶおくんのひっせきで、つぎのようなおそろしいてがみが)
ある信雄君の筆跡で、次のような恐ろしい手紙が
(かきしるしてありました。「おとうさん、ぼくはわるものから)
書き記してありました。「お父さん、ぼくは悪者から
(おそろしいめにあわされています。くるしくてくるしくて、)
恐ろしい目にあわされています。苦しくて苦しくて、
(いまにもしにそうです。はやくたすけてください。)
今にも死にそうです。早く助けてください。
(このろうじんのいうとおりにしてくれれば、ぼくはたすかる)
この老人の言う通りにしてくれれば、ぼくは助かる
(のです。おねがいです。はやく、ぼくをこのくるしみから)
のです。お願いです。早く、ぼくをこの苦しみから
(すくってください。こいずみのぶお」こいずみしは、それをよむと)
救ってください。小泉信雄」小泉氏は、それを読むと
(はっとして、まっさおになってしまいました。)
ハッとして、真っ青になってしまいました。
(どこからか、のぶおくんがいっしょうけんめいにすくいをもとめるさけび)
どこからか、信雄君が一生懸命に救いを求める叫び
(ごえが、かすかにきこえてくるようなきさえします。)
声が、かすかに聞こえて来るような気さえします。
(いそいで、もういちまいのかみきれもよんでみました。)
急いで、もう一枚の紙切れも読んでみました。
(「こんやじゅうにじ、きみのかほうである、せっしゅうのさんすいずの)
「今夜十二時、きみの家宝である、雪舟の山水図の
(かけじくをもって、もとこまざわれんぺいじょうひがしがわのはやしのなかへくる)
掛け軸を持って、元駒沢練兵場東側の林の中へ来る
(のだ。そこにいちだいのこがたじどうしゃがまっている。きみは)
のだ。そこに一台の小型自動車が待っている。きみは
(かけじくを、そのじどうしゃのなかにいるじんぶつにてわたすのだ。)
掛軸を、その自動車の中に居る人物に手渡すのだ。
(そうすればのぶおくんは、ただちにきみのもとにかえる。)
そうすれば信雄君は、直ちにきみの元に帰る。
(きみひとりだけでくるのだ。ぜったいに、ほかのものをどうはん)
きみ一人だけで来るのだ。絶対に、他の者を同伴
(してはならない。もし、このことをけいさつにうったえる)
してはならない。もし、このことを警察に訴える
(ようなことがあれば、のぶおくんはえいきゅうにかえらないとかくご)
ようなことがあれば、信雄君は永久に帰らないと覚悟
(せよ。にじゅうめんそう」なんとにじゅうめんそうは、のぶおくんにあんな)
せよ。二十面相」なんと二十面相は、信雄君にあんな
(こわいおもいをさせて、しょうねんたんていだんにたいするふくしゅうをとげた)
怖い思いをさせて、少年探偵団に対する復讐を遂げた
(にもかかわらず、さらにそののぶおくんをりようして、かれの)
にもかかわらず、さらにその信雄君を利用して、彼の
(やまいでもあるびじゅつしゅうしゅうのもくてきをはたそうとしている)
病でもある美術収集の目的を果たそうとしている
(のです。なんという、むしのいいたくらみでしょう。)
のです。なんという、虫のいいたくらみでしょう。
(せっしゅうのさんすいずというのは、せんぞだいだいこいずみけにつたわって)
雪舟の山水図というのは、先祖代々小泉家に伝わって
(いるかほうで、こくほうにしていされているゆいしょただしいめいが)
いる家宝で、国宝に指定されている由緒正しい名画
(でした。かりに、これをばいきゃくしたばあいには、にせんまんえん)
でした。仮に、これを売却した場合には、二千万円
(いじょうもするたからものなのです。にじゅうめんそうは、そのめいがと)
以上もする宝物なのです。二十面相は、その名画と
(ひきかえでなければ、ぜったいにのぶおくんをかえさないという)
引き換えでなければ、絶対に信雄君を返さないと言う
(のです。「えへへ、おわかりになりましたかな。で、)
のです。「エヘヘ、お分かりになりましたかな。で、
(さっそくですが、ひとまずごへんじがほしいのですが」)
早速ですが、ひとまずご返事が欲しいのですが」
(あやしいろうじんは、てがみによみいっているこいずみしのかおを)
怪しい老人は、手紙に読みいっている小泉氏の顔を
(じろじろとながめながら、どくどくしいくちょうで、へんじの)
ジロジロとながめながら、毒々しい口調で、返事の
(さいそくをしました。こいずみしは、どうこたえてよいのか、)
催促をしました。 小泉氏は、どう答えてよいのか、
(きゅうにはさくがうかびません。のぶおくんをとりもどさなければ)
急には策が浮かびません。信雄君を取り戻さなければ
(ならないのはいうまでもないのですが、だとしても)
ならないのは言うまでもないのですが、だとしても
(こくほうにまでしていされているたからものを、むやみにてばなす)
国宝にまで指定されている宝物を、無暗に手放す
(わけにはいきません。「で、わしがこのもうしでをしょうち)
訳にはいきません。「で、わしがこの申し出を承知
(しないとすれば、どうなるのかね」こいずみしはろうじんを)
しないとすれば、どうなるのかね」小泉氏は老人を
(にらみつけて、しかるようにたずねました。「へへへ、)
にらみつけて、叱るようにたずねました。「ヘヘヘ、
(それはちゃんとてがみにかいてあるじゃありませんか。)
それはちゃんと手紙に書いてあるじゃありませんか。
(おぼっちゃまがえいきゅうにもどらない、というだけのこと)
お坊ちゃまが永久に戻らない、というだけのこと
(ですよ」このくちぶりからさっすると、ろうじんはただてがみを)
ですよ」 この口ぶりから察すると、老人はただ手紙を
(たのまれただけではなく、にじゅうめんそうのぶかのひとりにちがい)
頼まれただけではなく、二十面相の部下の一人に違い
(ありません。あいてはひとりです。しかもよぼよぼのろうじん)
ありません。 相手は一人です。しかもヨボヨボの老人
(です。こいつをここでつかまえて、けいさつへつきだし、)
です。こいつをここで捕まえて、警察へ突き出し、
(にじゅうめんそうのかくれがをはくじょうさせるわけにはいかないもの)
二十面相の隠れ家を白状させる訳にはいかないもの
(でしょうか。そうすればのぶおくんをすくいだせるし、)
でしょうか。そうすれば信雄君を救い出せるし、
(たからものもわたさなくてすむのです。「うん、それがいい。)
宝物も渡さなくて済むのです。「うん、それがいい。
(まさか、こんなおいぼれにおくれをとることもない)
まさか、こんな老いぼれに後れを取ることもない
(だろう」こいずみしは、そうとっさにけっしんすると、)
だろう」小泉氏は、そうとっさに決心すると、
(いきなりすてっきをにぎりしめて、つかつかとろうじんの)
いきなりステッキを握りしめて、ツカツカと老人の
(まえにちかよりました。「おやだんな、めのいろをかえて、)
前に近寄りました。「おや旦那、目の色を変えて、
(どうなさったのです。わしをどうにかしようと)
どうなさったのです。わしをどうにかしようと
(いうんですかい」ろうじんはびっくりしたように、)
いうんですかい」老人はビックリしたように、
(こいずみしをみつめました。「きさま、にじゅうめんそうのかくれがを)
小泉氏を見つめました。「貴様、二十面相の隠れ家を
(しっているだろう。のぶおがいるところも、きさまには)
知っているだろう。信雄が居る所も、貴様には
(わかっているはずだ。さあ、わしといっしょにこい。)
分かっているはずだ。さあ、わしと一緒に来い。
(けいさつへつきだしてやる」こいずみしはさけびながら、)
警察へ突き出してやる」小泉氏は叫びながら、
(おそろしいいきおいでろうじんにつかみかかろうとしました。)
恐ろしい勢いで老人につかみかかろうとしました。
(すると、おや、これはどうしたことでしょう。あいては)
すると、おや、これはどうしたことでしょう。相手は
(とぶとりのようなすばやさでさっとみをかわし、いままで)
飛ぶ鳥のような素早さでサッと身をかわし、今まで
(こしをかがめてよぼよぼしていたじいさんが、まるで)
腰をかがめてヨボヨボしていたじいさんが、まるで
(せいねんのようなおそろしいげんきで、やみのなかにすっくと)
青年のような恐ろしい元気で、闇の中にスックと
(におうだちになったではありませんか。そしてずぼんの)
仁王立ちになったではありませんか。そしてズボンの
(ぽけっとから、なにかとりだしたかとおもうと、それを)
ポケットから、何か取り出したかと思うと、それを
(みぎてににぎって、ぬーっとこいずみしのはなのさきにつきつけ)
右手に握って、ヌーッと小泉氏の鼻の先に突き付け
(ました。ぴすとるです。「おいおい、ばかなまねは)
ました。ピストルです。「おいおい、バカな真似は
(よしたまえ。そんなことをすれば、のぶおくんだけじゃ)
よしたまえ。そんなことをすれば、信雄君だけじゃ
(なく、きみじしんまでとりかえしのつかないことになる)
なく、きみ自身まで取り返しのつかないことになる
(じゃないか。ははは、おれはきみなんかにつかまる)
じゃないか。ハハハ、おれはきみなんかに捕まる
(ほど、おとろえてはいないぜ」こえまではぎれのよい、)
ほど、衰えてはいないぜ」声まで歯切れのよい、
(わかわかしいくちょうにかわりました。まだ、わかくてくっきょうな)
若々しい口調に変わりました。まだ、若くて屈強な
(おとこにちがいありません。そいつはあいてをゆだんさせる)
男に違いありません。そいつは相手を油断させる
(ために、わざとよぼよぼのろうじんにへんそうしていた)
ために、わざとヨボヨボの老人に変装していた
(のでしょう。こいずみしはぎょっとして、たちすくんだ)
のでしょう。 小泉氏はギョッとして、立ちすくんだ
(まま、みうごきすることもできません。ぴすとるを)
まま、身動きすることも出来ません。ピストルを
(つきつけられては、もうてもあしもでないのです。)
突き付けられては、もう手も足も出ないのです。
(「ははは、にじゅうめんそうにはむかえば、こんなことに)
「ハハハ、二十面相に歯向かえば、こんなことに
(なるんだぜ。わかったかい。そのかみきれにかいてある)
なるんだぜ。分かったかい。その紙切れに書いてある
(めいれいをちゅうじつにまもらなければ、おれはようしゃしない。)
命令を忠実に守らなければ、おれは容赦しない。
(のぶおは、えいきゅうにこのよからすがたをけしてしまうのだ。)
信雄は、永久にこの世から姿を消してしまうのだ。
(よくかんがえて、どちらにするかきめればいい。のぶおを)
よく考えて、どちらにするか決めればいい。信雄を
(すてるか、かほうをすてるか。あと、ついでにいって)
捨てるか、家宝を捨てるか。あと、ついでに言って
(おくがね、にじゅうめんそうはまほうつかいだ。どんなすがたをして、)
おくがね、二十面相は魔法使いだ。どんな姿をして、
(どこにかくれているかわからないのだ。きみがへんな)
どこに隠れているか分からないのだ。きみが変な
(まねをすれば、すぐにわかってしまうんだ。ははは、)
真似をすれば、すぐに分かってしまうんだ。ハハハ、
(ようじんするがいい。こんやのじゅうにじにまっているぜ」)
用心するがいい。今夜の十二時に待っているぜ」