紫式部 源氏物語 若紫 6 與謝野晶子訳

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1 subaru 7313 7.5 96.4% 314.5 2388 88 38 2024/10/18
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4 りつ 3961 D++ 4.1 95.0% 582.6 2434 126 38 2024/10/18

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問題文

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(びょうごのげんじはきぶんもすぐれなかった。あめがすこしふりひややかなやまかぜがふいて)

病後の源氏は気分もすぐれなかった。雨がすこし降り冷ややかな山風が吹いて

(そのころからたきのねもつよくなったようにきかれた。そしてややねむそうなどきょうの)

そのころから滝の音も強くなったように聞かれた。そしてやや眠そうな読経の

(こえがたえだえにひびいてくる、こうしたやまのよるはどんなひとにもものがなしくさびしいもの)

声が絶え絶えに響いてくる、こうした山の夜はどんな人にも物悲しく寂しいもの

(であるが、ましてげんじはいろいろなおもいになやんでいて、ねむることは)

であるが、まして源氏はいろいろな思いに悩んでいて、眠ることは

(できないのであった。しょやだといったがじっさいはそのじこくよりもふけていた。)

できないのであった。初夜だと言ったが実際はその時刻よりも更けていた。

(おくのほうのへやにいるひとたちもおきたままでいるのがけはいでしれていた。)

奥のほうの室にいる人たちも起きたままでいるのが気配で知れていた。

(しずかにしようときをくばっているらしいが、じゅずがきょうそくにふれてなるおとなどが)

静かにしようと気を配っているらしいが、数珠が脇息に触れて鳴る音などが

(して、おんなのたちいのきぬずれもほのかになつかしいおとにみみへとおってくる。きぞくてきな)

して、女の起居の衣摺れもほのかになつかしい音に耳へ通ってくる。貴族的な

(よいかんじである。 げんじはすぐとなりのへやでもあったからこのざしきのおくにたててある)

よい感じである。 源氏はすぐ隣の室でもあったからこの座敷の奥に立ててある

(ふたつのびょうぶのあわせめをすこしひきあけて、ひとをよぶためにおうぎをならした。)

二つの屏風の合わせ目を少し引きあけて、人を呼ぶために扇を鳴らした。

(せんぽうはいがいにおもったらしいが、むししているようにおもわせたくないとおもって、)

先方は意外に思ったらしいが、無視しているように思わせたくないと思って、

(ひとりのおんながいざりよってきた。からかみからすこしとおいところで、 「ふしぎなこと、)

一人の女が膝行寄って来た。襖子から少し遠いところで、 「不思議なこと、

(ききちがえかしら」 というのをきいて、げんじが、)

聞き違えかしら」 と言うのを聞いて、源氏が、

(「ほとけのみちびいてくださるみちはくらいところもまちがいなくいきうると)

「仏の導いてくださる道は暗いところもまちがいなく行きうると

(いうのですから」 というこえのわかわかしいひんのよさに、おくのおんなはこたえることも)

いうのですから」 という声の若々しい品のよさに、奥の女は答えることも

(できないきはしたが、 「なんのおみちびきでございましょう、)

できない気はしたが、 「何のお導きでございましょう、

(こちらではなにもわかっておりませんが」 といった。)

こちらでは何もわかっておりませんが」 と言った。

(「とつぜんものをいいかけて、しっけいだとおおもいになるのはごもっともですが、 )

「突然ものを言いかけて、失敬だとお思いになるのはごもっともですが、

(わかくさのわかばのうえをみつるよりたびねのそでもつゆぞかわかぬ )

若草の若葉の上を見つるより旅寝の袖も露ぞ乾かぬ

(ともうしあげてくださいませんか」 「そのようなおことばをちょうだいあそばすかたが)

と申し上げてくださいませんか」 「そのようなお言葉を頂戴あそばす方が

など

(いらっしゃらないことはごぞんじのようですが、どなたに」)

いらっしゃらないことはご存じのようですが、どなたに」

(「そうもうしあげるわけがあるのだとおおもいになってください」)

「そう申し上げるわけがあるのだとお思いになってください」

(げんじがこういうので、にょうぼうはおくへいってそういった。 まあえんなかたらしい)

源氏がこう言うので、女房は奥へ行ってそう言った。 まあ艶な方らしい

(ごあいさつである、にょおうさんがもうすこしおとなになっているように、おきゃくさまはかんちがいを)

御挨拶である、女王さんがもう少し大人になっているように、お客様は勘違いを

(していられるのではないか、それにしてもわかくさにたとえたことばがどうしてげんじの)

していられるのではないか、それにしても若草にたとえた言葉がどうして源氏の

(みみにはいったのであろうとおもって、あまぎみはたしょうふあんなきもするのである。)

耳にはいったのであろうと思って、尼君は多少不安な気もするのである。

(しかしへんかのおそくなることだけはみぐるしいとおもって、 )

しかし返歌のおそくなることだけは見苦しいと思って、

(「まくらゆうこよいばかりのつゆけさをみやまのこけにくらべざらなん )

「枕結ふ今宵ばかりの露けさを深山の苔にくらべざらなん

(とてもかわくまなどはございませんのに」 とへんじをさせた。)

とてもかわく間などはございませんのに」 と返辞をさせた。

(「こんなおとりつぎによってのかいだんはわたくしにけいけんのないことです。しつれいですが、)

「こんなお取り次ぎによっての会談は私に経験のないことです。失礼ですが、

(こんやこちらでごやっかいになりましたのをきかいに)

今夜こちらで御厄介になりましたのを機会に

(まじめにごそうだんのしたいことがございます」 とげんじがいう。)

まじめに御相談のしたいことがございます」 と源氏が言う。

(「なにをまちがえてきいていらっしゃるのだろう。げんじのきみにものをいうような)

「何をまちがえて聞いていらっしゃるのだろう。源氏の君にものを言うような

(はれがましいこと、わたくしにはなにもおへんじなんかできるものではない」)

晴がましいこと、私には何もお返辞なんかできるものではない」

(あまぎみはこういっていた。 「それでもれいたんなおあつかいをするとおおもいに)

尼君はこう言っていた。 「それでも冷淡なお扱いをするとお思いに

(なるでございましょうから」 といって、ひとびとはあまぎみのでるのをすすめた。)

なるでございましょうから」 と言って、人々は尼君の出るのを勧めた。

(「そうだね、わかいひとこそこまるだろうがわたくしなど、まあよい。)

「そうだね、若い人こそ困るだろうが私など、まあよい。

(ていねいにいっていらっしゃるのだから」 あまぎみはでていった。)

丁寧に言っていらっしゃるのだから」 尼君は出て行った。

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