紫式部 源氏物語 若紫 17 與謝野晶子訳

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2 □「いいね」する 7135 7.4 95.9% 310.0 2309 97 35 2024/10/23
3 りつ 4046 C 4.2 95.5% 555.3 2358 111 35 2024/10/24

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問題文

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(きょうはあぜちだいなごんけへひょうぶきょうのみやがきておいでになった。いぜんよりもずっと)

今日は按察使大納言家へ兵部卿の宮が来ておいでになった。以前よりもずっと

(やしきがあれて、ひろくてふるいいえにしょうにんずうでいるさびしさがみやのおこころをうごかした。)

邸が荒れて、広くて古い家に少人数でいる寂しさが宮のお心を動かした。

(「こんなところにしばらくでもちいさいひとがいられるものではない。やはり)

「こんな所にしばらくでも小さい人がいられるものではない。やはり

(わたくしのやしきのほうへつれていこう。たいしたむずかしいところではないのだよ。)

私の邸のほうへつれて行こう。たいしたむずかしい所ではないのだよ。

(めのとはへやをもらってすんでいればいいし、にょおうはなんにんもわかいこがいるから)

乳母は部屋をもらって住んでいればいいし、女王は何人も若い子がいるから

(いっしょにあそんでいればひじょうにいいとおもう」 などとおいいになった。)

いっしょに遊んでいれば非常にいいと思う」 などとお言いになった。

(そばへおよびになったしょうにょおうのきものにはげんじのいふくのにおいがふかくしんでいた。)

そばへお呼びになった小女王の着物には源氏の衣服の匂いが深く沁んでいた。

(「いいにおいだね。けれどきものはふるくなっているね」)

「いい匂いだね。けれど着物は古くなっているね」

(こころぐるしくおぼしめすようすだった。 「いままでからもびょうしんなとしよりとばかりいっしょに)

心苦しく思召す様子だった。 「今までからも病身な年寄りとばかりいっしょに

(いるから、ときどきはやしきのほうへよこして、ははとこのじょうあいのできるように)

いるから、時々は邸のほうへよこして、母と子の情合いのできるように

(するほうがよいとわたくしはいったのだけれど、ぜったいてきにおばあさんはそれをおさせに)

するほうがよいと私は言ったのだけれど、絶対的にお祖母さんはそれをおさせに

(ならなかったから、やしきのほうでもはんかんをおこしていた。そしてついにそのひとが)

ならなかったから、邸のほうでも反感を起こしていた。そしてついにその人が

(なくなったからといってつれていくのはすまないようなきがする」)

亡くなったからといってつれて行くのは済まないような気がする」

(とみやがおいいになる。 「そんなにはやくあそばすひつようはございませんでしょう。)

と宮がお言いになる。 「そんなに早くあそばす必要はございませんでしょう。

(おこころぼそくてもとうぶんはこうしていらっしゃいますほうが)

お心細くても当分はこうしていらっしゃいますほうが

(よろしゅうございましょう。すこしもののりかいがおできになるおとしごろに)

よろしゅうございましょう。少し物の理解がおできになるお年ごろに

(なりましてからおつれなさいますほうがよろしいかとぞんじます」)

なりましてからおつれなさいますほうがよろしいかと存じます」

(しょうなごんはこうこたえていた。 「よるもひるもおばあさまがこいしくてないてばかり)

少納言はこう答えていた。 「夜も昼もお祖母様が恋しくて泣いてばかり

(いらっしゃいまして、めしあがりものなどもすくのうございます」)

いらっしゃいまして、召し上がり物なども少のうございます」

(ともなげいていた。じっさいひめぎみはやせてしまったが、じょうひんなうつくしさがかえって)

とも歎いていた。実際姫君は痩せてしまったが、上品な美しさがかえって

など

(そったかのようにみえる。 「なぜそんなにおばあさまのことばかりをあなたは)

添ったかのように見える。 「なぜそんなにお祖母さまのことばかりをあなたは

(おおもいになるの、なくなったひとはしかたがないんですよ。おとうさまがおれば)

お思いになるの、亡くなった人はしかたがないんですよ。お父様がおれば

(いいのだよ」 とみやはいっておいでになった。ひがくれるとおかえりになるのを)

いいのだよ」 と宮は言っておいでになった。日が暮れるとお帰りになるのを

(みて、こころぼそがってひめぎみがなくと、みやもおなきになって、 「なんでもそんなに)

見て、心細がって姫君が泣くと、宮もお泣きになって、 「なんでもそんなに

(かなしがってはしかたがない。きょうあすにでもおとうさまのところへ)

悲しがってはしかたがない。今日明日にでもお父様の所へ

(こられるようにしよう」 などと、いろいろになだめてみやはおかえりになった。)

来られるようにしよう」 などと、いろいろになだめて宮はお帰りになった。

(ははもそぼもうしなったおんなのしょうらいのこころぼそさなどをにょおうはおもうのでなく、)

母も祖母も失った女の将来の心細さなどを女王は思うのでなく、

(ただちいさいときからかたときのあいだもはなれずつきそっていたそぼがしんだと)

ただ小さい時から片時の間も離れず付き添っていた祖母が死んだと

(おもうことだけがひじょうにかなしいのである。こどもながらもかなしみがむねをふさいでいる)

思うことだけが非常に悲しいのである。子供ながらも悲しみが胸をふさいでいる

(きがしてあそびあいてはいてもあそぼうとしなかった。それでもひるまはなにかと)

気がして遊び相手はいても遊ぼうとしなかった。それでも昼間は何かと

(まぎれているのであったが、ゆうがたごろからめいりこんでしまう。こんなことで)

紛れているのであったが、夕方ごろからめいりこんでしまう。こんなことで

(ちいさいおからだがどうなるかとおもって、めのともまいにちないていた。)

小さいおからだがどうなるかと思って、乳母も毎日泣いていた。

(そのひげんじのところからはこれみつをよこした。 うかがうはずですがきゅうちゅうからおめしが)

その日源氏の所からは惟光をよこした。 伺うはずですが宮中からお召しが

(あるのでしつれいします。おかわいそうにはいけんしたにょおうさんのことがきになって)

あるので失礼します。おかわいそうに拝見した女王さんのことが気になって

(なりません。 げんじからのあいさつはこれでこれみつがかわりのとのいをするわけである。)

なりません。 源氏からの挨拶はこれで惟光が代わりの宿直をするわけである。

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