グスコーブドリの伝記10
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問題文
(つぎのあさぶどりはまたしゅじんとぬまばたけへいってみました。しゅじんはみずのなかから)
次の朝ブドリはまた主人と沼ばたけへ行ってみました。主人は水の中から
(はをいちまいとってしきりにしらべていましたが、やっぱりうかないかおでした。 )
葉を一枚とってしきりにしらべていましたが、やっぱり浮かない顔でした。
(そのつぎのひもそうでした。そのつぎのひもそうでした。そのつぎのあさ、)
その次の日もそうでした。その次の日もそうでした。その次の朝、
(とうとうしゅじんはけっしんしたようにいいました。 「さあ、ぶどり、いよいよここへ)
とうとう主人は決心したように言いました。 「さあ、ブドリ、いよいよここへ
(そばまきだぞ。おまえあすこへいって、となりのみなくちこわしてこい。」)
そばまきだぞ。おまえあすこへ行って、となりの水口こわしてこい。」
(ぶどりは、いわれたとおりこわしてきました。せきゆのはいったみずは、おそろしい)
ブドリは、いわれたとおりこわしてきました。石油の入った水は、おそろしい
(いきおいでとなりのたへながれていきます。きっとまたおこってくるなと)
いきおいでとなりの田へ流れて行きます。きっとまたおこってくるなと
(おもっていますと、ひるごろれいのとなりのもちぬしが、おおきなかまをもって)
思っていますと、ひるごろ例のとなりの持ち主が、大きなかまを持って
(やってきました。 「やあ、なんだってひとのたへせきゆながすんだ。」)
やってきました。 「やあ、なんだってひとの田へ石油ながすんだ。」
(しゅじんがまた、はらのそこからこえをだしてこたえました。 「せきゆながれれば)
主人がまた、腹の底から声をだして答えました。 「石油ながれれば
(なんだってわるいんだ。」 「おりざみんなしぬでないか。」)
なんだって悪いんだ。」 「オリザみんな死ぬでないか。」
(「おりざみんなしぬか、おりざみんなしなないか、まずおれのぬまばたけの)
「オリザみんな死ぬか、オリザみんな死なないか、まずおれの沼ばたけの
(おりざみなよ。きょうでよっかあたまからせきゆかぶせたんだ。それでもちゃんと)
オリザ見なよ。きょうで四日頭から石油かぶせたんだ。それでもちゃんと
(このとおりでないか。あかくなったのはびょうきのためで、いきおいのいいのは)
このとおりでないか。赤くなったのは病気のためで、いきおいのいいのは
(せきゆのためなんだ。おまえのところなど、せきゆがただおりざのあしをとおるだけ)
石油のためなんだ。おまえのところなど、石油がただオリザの足を通るだけ
(でないか。かえっていいかもしれないんだ。」 「せきゆこやしになるのか。」)
でないか。かえっていいかもしれないんだ。」 「石油こやしになるのか。」
(むこうのおとこはすこしかおいろをやわらげました。 「せきゆこやしになるか)
むこうの男は少し顔いろをやわらげました。 「石油こやしになるか
(せきゆこやしにならないかしらないが、とにかくせきゆはあぶらでないか。」 「それは)
石油こやしにならないか知らないが、とにかく石油は油でないか。」 「それは
(せきゆはあぶらだな。」おとこはすっかりきげんをなおしてわらいました。みずはどんどん)
石油は油だな。」男はすっかりきげんをなおしてわらいました。水はどんどん
(ひき、おりざのかぶはみるみるねもとまででてきました。すっかりあかいまだらが)
ひき、オリザの株はみるみる根もとまで出てきました。すっかり赤いまだらが
(できてやけたようになっています。 「さあおれのところではもうおりざかりを)
できて焼けたようになっています。 「さあおれのところではもうオリザ刈りを
(やるぞ。」 しゅじんはわらいながらいって、それからぶどりといっしょに、)
やるぞ。」 主人はわらいながら言って、それからブドリといっしょに、
(かたっぱしからおりざのかぶをかり、あとへすぐそばをまいてつちをかけて)
かたっぱしからオリザの株を刈り、あとへすぐそばをまいて土をかけて
(あるきました。そしてそのとしはほんとうにしゅじんのいったとおり、ぶどりのいえでは)
あるきました。そしてその年はほんとうに主人のいったとおり、ブドリの家では
(そばばかりたべました。つぎのはるになるとしゅじんがいいました。 )
そばばかり食べました。つぎの春になると主人が言いました。
(「ぶどり、ことしはぬまばたけはきょねんよりはさんぶんのいちへったからな、しごとはよほど)
「ブドリ、ことしは沼ばたけは去年よりは三分の一へったからな、仕事はよほど
(らくだ。そのかわりおまえは、おれのしんだむすこのよんだほんをこれから)
らくだ。そのかわりおまえは、おれの死んだむすこの読んだ本をこれから
(いっしょうけんめいべんきょうして、いままでおれをやましだといってわらったやつらを)
いっしょうけんめい勉強して、いままでおれを山師だといってわらったやつらを
(あっといわせるようなりっぱなおりざをつくるくふうをしてくれ。」 )
あっといわせるようなりっぱなオリザを作るくふうをしてくれ。」