グスコーブドリの伝記19
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問題文
(ろうぎしがいいました。 「いまのはぼくらのあしもとから、きたへいちきろばかり)
老技師が言いました。 「いまのはぼくらの足もとから、北へ一キロばかり
(ちひょうななひゃくめーとるぐらいのところで、このこやのろく、しちじゅうばいぐらいの)
地表七百メートルぐらいのところで、この小屋の六、七十倍ぐらいの
(いわのかたまりが、ようがんのなかへおちこんだらしいのだ。ところががすがいよいよ)
岩のかたまりが、溶岩の中へ落ち込んだらしいのだ。ところがガスがいよいよ
(さいごのいわのかわをはねとばすまでにはそんなかたまりをひゃくもにひゃくも、じぶんの)
さいごの岩の皮をはねとばすまでにはそんなかたまりを百も二百も、じぶんの
(からだのなかにとらなければならない。」 だいはかせはしばらくかんがえていましたが、)
からだの中にとらなければならない。」 大博士はしばらく考えていましたが、
(「そうだ、ぼくはこれでしっけいしよう。」といってこやをでて、いつかひらりと)
「そうだ、ぼくはこれで失敬しよう。」と言って小屋を出て、いつかひらりと
(ふねにのってしまいました。ろうぎしとぶどりは、だいはかせがあかりをに、さんどふって)
船に乗ってしまいました。老技師とブドリは、大博士があかりを二、三度ふって
(あいさつしながらやまをまわってむこうへいくのをみおくってまたこやにはいり、)
あいさつしながら山をまわって向こうへ行くのを見送ってまた小屋にはいり、
(かわるがわるねむったりかんそくしたりしました。そしてあけがたふもとへこうさくたいが)
かわるがわるねむったり観測したりしました。そして明けがたふもとへ工作隊が
(つきますと、ろうぎしはぶどりをひとりこやにのこして、きのうゆびさした)
つきますと、老技師はブドリを一人小屋にのこして、きのう指さした
(あのくさちまでおりていきました。みんなのこえや、てつのざいりょうのふれあうおとは、)
あの草地までおりて行きました。みんなの声や、鉄の材料のふれあう音は、
(したからかぜのふきあげるときは、てにとるようにきこえました。ぺんねんぎしから)
下から風の吹きあげるときは、手にとるようにきこえました。ペンネン技師から
(ひっきりなしに、むこうのしごとのすすみぐあいもしらせてよこし、がすのあつりょくや)
ひっきりなしに、向こうの仕事の進みぐあいも知らせてよこし、ガスの圧力や
(やまのかたちのかわりようもたずねてきました。それからみっかのあいだは、はげしいじしんや)
山の形のかわりようもたずねてきました。それから三日の間は、はげしい地震や
(じなりのなかで、ぶどりのほうも、ふもとのほうもほとんどねむるひまさえ)
地鳴りのなかで、ブドリのほうも、ふもとのほうもほとんどねむるひまさえ
(ありませんでした。そのよっかめのごご、ろうぎしからのはっしんがいってきました。)
ありませんでした。その四日目の午後、老技師からの発信がいってきました。
(「ぶどりくんだな。すっかりしたくができた。いそいでおりてきたまえ。)
「ブドリ君だな。すっかりしたくができた。いそいでおりてきたまえ。
(かんそくのきかいはいっぺんしらべてそのままにして、ひょうはぜんぶもってくるのだ。)
観測の機械はいっぺん調べてそのままにして、表は全部持ってくるのだ。
(もうそのこやはきょうのごごにはなくなるんだから。」 ぶどりはすっかり)
もうその小屋はきょうの午後にはなくなるんだから。」 ブドリはすっかり
(いわれたとおりにしてやまをおりていきました。そこにはいままで)
いわれたとおりにして山をおりて行きました。そこにはいままで
(きょくのそうこにあったおおきなてつざいが、すっかりやぐらにくみたっていて、いろいろな)
局の倉庫にあった大きな鉄材が、すっかりやぐらに組み立っていて、いろいろな
(きかいはもうでんりゅうさえくればすぐにはたらきだすばかりになっていました。)
機械はもう電流さえくればすぐに働きだすばかりになっていました。
(ぺんねんぎしのほおはげっそりおち、こうさくたいのひとたちもあおざめてめばかり)
ペンネン技師のほおはげっそり落ち、工作隊の人たちも青ざめて目ばかり
(ひからせながら、それでもみんなわらってぶどりにあいさつしました。)
光らせながら、それでもみんな笑ってブドリにあいさつしました。