グスコーブドリの伝記21

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(したはいちめんはいいろをしたくものうみでした。そのあちこちから)

下はいちめん灰いろをした雲の海でした。そのあちこちから

(いーはとーぶじゅうのかざんのいただきが、ちょうどしまのようにくろく)

イーハトーブじゅうの火山のいただきが、ちょうど島のように黒く

(でておりました。そのくものすぐうえをいっせきのひこうせんが、せんびからまっしろな)

出ておりました。その雲のすぐ上を一せきの飛行船が、船尾からまっ白な

(けむりをふいてひとつのみねからひとつのみねへちょうどはしをかけるようにとびまわって)

けむりをふいて一つの峰から一つの峰へちょうど橋をかけるように飛びまわって

(いました。そのけむりは、じかんがたつほどだんだんふとくはっきりなってしずかに)

いました。そのけむりは、時間がたつほどだんだん太くはっきりなってしずかに

(したのくものうみにおちかぶさり、まもなく、いちめんのくものうみにはうすしろくひかる)

下の雲の海に落ちかぶさり、まもなく、いちめんの雲の海にはうす白く光る

(おおきなあみがやまからやまへはりわたされました。いつかひこうせんはけむりをおさめて、)

大きな網が山から山へはりわたされました。いつか飛行船はけむりをおさめて、

(しばらくあいさつするようにわをえがいていましたが、やがてせんしゅをたれて)

しばらくあいさつするように輪をえがいていましたが、やがて船首をたれて

(しずかにくものなかへしずんでいってしまいました。じゅわきがじーとなりました。)

しずかに雲の中へしずんで行ってしまいました。受話器がジーとなりました。

(ぺんねんぎしのこえでした。 「ふねはいまかえってきた。したのほうのしたくは)

ペンネン技師の声でした。 「船はいま帰ってきた。下のほうのしたくは

(すっかりいい。あめはざあざあふっている。もうよかろうとおもう。はじめて)

すっかりいい。雨はざあざあふっている。もうよかろうと思う。はじめて

(くれたまえ。」 ぶどりはぼたんをおしました。みるみるさっきのけむりのあみは)

くれたまえ。」 ブドリはぼたんを押しました。みるみるさっきのけむりの網は

(うつくしいももいろやあおやむらさきに、ぱっぱっとめのさめるようにかがやきながら、)

美しい桃いろや青やむらさきに、パッパッと目のさめるようにかがやきながら、

(ついたりきえたりしました。ぶどりはまるでうっとりしてそれにみとれました。)

ついたり消えたりしました。ブドリはまるでうっとりしてそれにみとれました。

(そのうちにだんだんひはくれて、くものうみもあかりがきえたときは、はいいろか)

そのうちにだんだん日は暮れて、雲の海もあかりが消えたときは、灰いろか

(ねずみいろかわからないようになりました。 じゅわきがなりました。)

ねずみいろかわからないようになりました。 受話器が鳴りました。

(「しょうさんあんもにあはもうあめのなかへでてきている。りょうもこれぐらいならちょうど)

「硝酸アンモニアはもう雨の中へでてきている。量もこれぐらいならちょうど

(いい。あとよじかんやれば、もうこのちほうはこんげつちゅうはたくさんだろう。つづけて)

いい。あと四時間やれば、もうこの地方は今月中はたくさんだろう。つづけて

(やってくれたまえ。」 ぶどりはもううれしくってはねあがりたいくらいでした)

やってくれたまえ。」 ブドリはもううれしくってはねあがりたいくらいでした

(このくものしたでむかしのあかひげのしゅじんも、となりのせきゆがこやしになるかと)

この雲の下でむかしの赤ひげの主人も、となりの石油がこやしになるかと

など

(いったひとも、みんなよろこんであめのおとをきいている。そしてあすのあさは、)

いった人も、みんなよろこんで雨の音を聞いている。そしてあすの朝は、

(みちがえるようにみどりいろになったおりざのかぶをてでなでたりするだろう、)

見ちがえるようにみどりいろになったオリザの株を手でなでたりするだろう、

(まるでゆめのようだとおもいながらくものまっくらになったり、またうつくしくかがやいたり)

まるで夢のようだと思いながら雲のまっくらになったり、また美しく輝いたり

(するのをながめておりました。ところがみじかいなつのよるはもう)

するのをながめておりました。ところがみじかい夏の夜はもう

(あけるらしかったのです。でんこうのあいまに、ひがしのくものうみのはてがぼんやり)

明けるらしかったのです。電光のあいまに、東の雲の海のはてがぼんやり

(きばんでいるのでした。 ところがそれはつきがでるのでした。おおきなきいろなつきが)

黄ばんでいるのでした。 ところがそれは月が出るのでした。大きな黄色な月が

(しずかにのぼってくるのでした。そしてくもがあおくひかるときはへんにしろっぽくみえ)

しずかにのぼってくるのでした。そして雲が青く光るときはへんに白っぽく見え

(ももいろにひかるときはなにかわらっているようにみえるのでした。ぶどりは、もう)

桃いろに光るときは何かわらっているように見えるのでした。ブドリは、もう

(じぶんがだれなのかなにをしているのかわすれてしまって、ただぼんやり)

じぶんがだれなのか何をしているのか忘れてしまって、ただぼんやり

(それをみつめていました。じゅわきがじーとなりました。 「こっちではだいぶ)

それをみつめていました。受話器がジーと鳴りました。 「こっちではだいぶ

(かみなりがなりだしてきた。あみがあちこちちぎれたらしい。あんまりならすと)

かみなりが鳴りだしてきた。網があちこちちぎれたらしい。あんまり鳴らすと

(あしたのしんぶんがわるくちをいうからもうじゅっぷんばかりでやめよう。」)

あしたの新聞が悪口をいうからもう十分ばかりでやめよう。」

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