グスコーブドリの伝記15

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タグ文学 童話

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(ぶどりが、くーぼーだいはかせからもらっためいしのあてなをたずねて、やっと)

ブドリが、クーボー大博士からもらった名刺のあて名をたずねて、やっと

(ついたところはおおきなちゃいろのたてもので、うしろにはふさのようなかたちをした)

ついたところは大きな茶いろの建物で、うしろにはふさのような形をした

(おおきなはしらがよるのそらにくっきりしろくたっておりました。ぶどりは)

大きな柱が夜の空にくっきり白く立っておりました。ブドリは

(げんかんにあがってよびりんをおしますと、すぐひとがでてきて、ぶどりのだしためいしを)

玄関にあがって呼び鈴を押しますと、すぐ人が出て来て、ブドリのだした名刺を

(うけとり、ひとめみると、すぐぶどりをつきあたりのおおきなしつへあんないしました。)

うけとり、ひと目見ると、すぐブドリをつきあたりの大きな室へ案内しました。

(そこにはいままでにみたこともないようなおおきなてーぶるがあって、その)

そこにはいままでに見たこともないような大きなテーブルがあって、その

(まんなかにすこしかみのしろくなったひとのよさそうなりっぱなひとが、きちんとすわって)

まんなかに少し髪の白くなった人のよさそうなりっぱな人が、きちんとすわって

(みみにじゅわきをあてながらなにかかいていました。そしてぶどりのはいってきたのを)

耳に受話器をあてながら何か書いていました。そしてブドリのはいってきたのを

(みると、すぐよこのいすをゆびさしながら、またつづけてなにかかきつけています。)

見ると、すぐ横のいすを指さしながら、またつづけて何か書きつけています。

(そのしつのみぎてのかべいっぱいに、いーはとーぶぜんたいのちずが、うつくしくいろどった)

その室の右手のかべいっぱいに、イーハトーブ全体の地図が、美しくいろどった

(おおきなもけいにつくってあって、てつどうもまちもかわものはらもみんなひとめでわかるように)

大きな模型に作ってあって、鉄道も町も川も野原もみんなひと目でわかるように

(なっており、そのまんなかをはしるせぼねのようなさんみゃくと、かいがんにそってへりを)

なっており、そのまんなかを走るせぼねのような山脈と、海岸に沿ってへりを

(とったようになっているさんみゃく、またそれからえだをだしてうみのなかにてんてんのしまを)

とったようになっている山脈、またそれから枝をだして海の中にてんてんの島を

(つくっているいちれつのやまやまには、みんなあかやだいだいやきのあかりがついていて、)

つくっている一列の山々には、みんな赤やだいだいや黄のあかりがついていて、

(それがかわるがわるいろがかわったり、じーとせみのようになったり、すうじが)

それがかわるがわる色がかわったり、ジーとせみのように鳴ったり、数字が

(あらわれたりきえたりしているのです。したのかべにそったたなには、)

あらわれたり消えたりしているのです。下のかべにそったたなには、

(くろいたいぷらいたーのようなものがさんれつにひゃくでもきかないくらいならんで、みんな)

黒いタイプライターのようなものが三列に百でもきかないくらい並んで、みんな

(しずかにうごいたり、なったりしているのでした。ぶどりがわれをわすれて)

しずかに動いたり、鳴ったりしているのでした。ブドリがわれを忘れて

(みとれておりますと、そのひとがじゅわきをことっとおいてふところからめいしいれを)

みとれておりますと、その人が受話器をことっとおいてふところから名刺入れを

(だして、いちまいのめいしをぶどりにだしながら、 「あなたが)

出して、一枚の名刺をブドリに出しながら、 「あなたが

など

(ぐすこーぶどりくんですか。わたしはこういうものです。」といいました。みると、)

グスコーブドリ君ですか。私はこういうものです。」と言いました。みると、

(「いーはとーぶかざんきょくぎしぺんねんなーむ」とかいてありました。そのひとは)

『イーハトーブ火山局技師ペンネンナーム』と書いてありました。その人は

(ぶどりのあいさつになれないでもじもじしているのをみると、かさねて)

ブドリのあいさつになれないでもじもじしているのを見ると、かさねて

(しんせつにいいました。 「さっき、くーぼーはかせからでんわがあったので)

しんせつに言いました。 「さっき、クーボー博士から電話があったので

(おまちしていました。まあこれから、ここでしごとをしながらしっかりべんきょうして)

お待ちしていました。まあこれから、ここで仕事をしながらしっかり勉強して

(ごらんなさい。ここのしごとは、きょねんはじまったばかりですが、じつに)

ごらんなさい。ここの仕事は、去年はじまったばかりですが、じつに

(せきにんあるもので、それにはんぶんはいつふんかするかわからないかざんのうえでしごとする)

責任あるもので、それに半分はいつ噴火するかわからない火山の上で仕事する

(ものなのです。それにかざんのくせというものは、なかなかがくもんでわかることでは)

ものなのです。それに火山のくせというものは、なかなか学問でわかることでは

(ないのです。われわれはこれからよほどしっかりやらなければならんのです。)

ないのです。われわれはこれからよほどしっかりやらなければならんのです。

(ではこんばんはあっちにあなたのとまるところがありますから、そこでゆっくり)

ではこん晩はあっちにあなたの泊まるところがありますから、そこでゆっくり

(おやすみなさい。あしたこのたてものじゅうをすっかりあんないしますから。」)

おやすみなさい。あしたこの建物中をすっかり案内しますから。」

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