グスコーブドリの伝記20
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問題文
(ろうぎしがいいました。 「ではひきあげよう。みんなしたくして)
老技師がいいました。 「では引きあげよう。みんなしたくして
(くるまにのりたまえ。」みんなはおおいそぎでにじゅうだいのじどうしゃにのりました。くるまはれつに)
車にのりたまえ。」みんなは大いそぎで二十台の自動車に乗りました。車は列に
(なってやまのすそをいっさんにさんむとりしにはしりました。ちょうどやまとしの)
なって山のすそをいっさんにサンムトリ市に走りました。ちょうど山と市の
(まんなかごろでぎしはじどうしゃをとめさせました。 「ここへてんまくをはりたまえ。)
まんなかごろで技師は自動車をとめさせました。 「ここへ天幕をはりたまえ。
(そしてみんなでねむるんだ。」みんなはひとこともいえずにそのとおりにして)
そしてみんなでねむるんだ。」みんなはひとことも言えずにそのとおりにして
(たおれるようにねむってしまいました。 そのごご、ろうぎしはじゅわきをおいて)
たおれるようにねむってしまいました。 その午後、老技師は受話器をおいて
(さけびました。 「さあでんせんはとどいたぞ。ぶどりくん、はじめるよ。」)
さけびました。 「さあ電線はとどいたぞ。ブドリ君、はじめるよ。」
(ろうぎしはすいっちをいれました。ぶどりたちは、てんまくのそとへでて、さんむとりの)
老技師はスイッチを入れました。ブドリたちは、天幕の外へ出て、サンムトリの
(ちゅうふくをみつめました。のはらには、しらゆりがいちめんにさき、そのむこうに)
中腹を見つめました。野原には、白ゆりがいちめんに咲き、そのむこうに
(さんむとりがあおくひっそりたっていました。 にわかにさんむとりのひだりのすそが)
サンムトリが青くひっそり立っていました。 にわかにサンムトリの左のすそが
(ぐらぐらっとゆれ、まっくろなけむりがぱっとたったとおもうとまっすぐにてんに)
ぐらぐらっとゆれ、まっくろなけむりがぱっと立ったと思うとまっすぐに天に
(のぼっていって、おかしなきのこのかたちになり、みるまにずうっとおうぎがたに)
のぼって行って、おかしなきのこの形になり、みるまにずうっと扇形に
(ひろがりながらうみへはいりました。とおもうとじめんははげしくぐらぐらゆれ、)
ひろがりながら海へはいりました。と思うと地面ははげしくぐらぐらゆれ、
(ゆりのはなもいちめんゆれ、それからごうっというようなおおきなおとが、みんなを)
ゆりの花もいちめんゆれ、それからごうっというような大きな音が、みんなを
(たおすくらいつよくやってきました。それからかぜがどうっとふいていきました。)
たおすくらい強くやってきました。それから風がどうっと吹いて行きました。
(「やった、やった。」とみんなはそっちにてをのばしてたかくさけびました。)
「やった、やった。」とみんなはそっちに手をのばして高くさけびました。
(このときさんむとりのけむりは、くずれるようにそらいっぱいにひろがって)
このときサンムトリのけむりは、くずれるように空いっぱいにひろがって
(きましたが、たちまちそらはまっくらになって、あついこいしがぱらぱらぱらぱら)
きましたが、たちまち空はまっくらになって、熱いこいしがぱらぱらぱらぱら
(ふってきました。みんなはてんまくのなかにはいってしんぱいそうにしていましたが、)
ふってきました。みんなは天幕の中にはいって心配そうにしていましたが、
(ぺんねんぎしは、とけいをみながら、 「ぶどりくん、うまくいった。きけんはもう)
ペンネン技師は、時計を見ながら、 「ブドリくん、うまくいった。危険はもう
(まったくない。しのほうへははいをすこしふらせるだけだろう。」といいました。)
まったくない。市のほうへは灰をすこしふらせるだけだろう。」と言いました。
(こいしはだんだんはいにかわりました。それもまもなくうすくなってみんなはまた)
こいしはだんだん灰にかわりました。それもまもなくうすくなってみんなはまた
(てんまくのそとへとびだしました。のはらはまるでいちめんねずみいろになって、はいは)
天幕の外へとびだしました。野原はまるでいちめんねずみいろになって、灰は
(いっすんばかりつもり、ゆりのはなはみんなおれてはいにうずまり、そらはへんに)
一寸ばかりつもり、ゆりの花はみんな折れて灰にうずまり、空はへんに
(みどりいろでした。そしてさんむとりのすそにはちいさなこぶができて、そこから)
みどりいろでした。そしてサンムトリのすそには小さなこぶができて、そこから
(はいいろのけむりが、まだどんどんのぼっておりました。 そのゆうがたみんなは、)
灰いろのけむりが、まだどんどんのぼっておりました。 その夕方みんなは、
(はいやこいしをふんで、もういちどやまへのぼって、あたらしいかんそくのきかいをすえつけて)
灰やこいしをふんで、もういちど山へのぼって、新しい観測の機械をすえつけて
(かえりました。 それからよねんのあいだに、くーぼーだいはかせのけいかくどおり、)
帰りました。 それから四年の間に、クーボー大博士の計画どおり、
(ちょうせきはつでんしょはいーはとーぶのかいがんにそって、にひゃくもはいちされました。)
潮汐発電所はイーハトーブの海岸に沿って、二百も配置されました。
(いーはとーぶをめぐるかざんには、かんそくごやといっしょに、しろくぬられたてつの)
イーハトーブをめぐる火山には、観測小屋といっしょに、白くぬられた鉄の
(やぐらがじゅんじゅんにたちました。 ぶどりはぎしこころえになって、)
やぐらがじゅんじゅんに建ちました。 ブドリは技師心得になって、
(いちねんにだいぶぶんはかざんからかざんへまわってあるいたり、あぶなくなったかざんを)
一年に大部分は火山から火山へまわってあるいたり、あぶなくなった火山を
(こうさくしたりしていました。 つぎのとしのはる、いーはとーぶのかざんきょくでは、)
工作したりしていました。 つぎの年の春、イーハトーブの火山局では、
(つぎのようなぽすたーをむらやまちへはりました。 「ちっそひりょうをふらせます。)
つぎのようなポスターを村や町へはりました。 「窒素肥料をふらせます。
(ことしのなつ、あめといっしょに、しょうさんあんもにあをみなさんのぬまばたけや)
ことしの夏、雨といっしょに、硝酸アンモニアをみなさんの沼ばたけや
(そさいばたけにふらせますから、ひりょうをつかうほうは、そのぶんをいれてけいさんして)
蔬菜ばたけにふらせますから、肥料を使う方は、その分を入れて計算して
(ください。ぶんりょうはひゃくめーとるしほうにつきひゃくにじゅうきろぐらむです。あめもすこしは)
ください。分量は百メートル四方につき百二十キログラムです。雨もすこしは
(ふらせます。 かんばつのさいには、とにかくさくもつのかれないぐらいのあめはふらせる)
ふらせます。 旱魃のさいには、とにかく作物の枯れないぐらいの雨はふらせる
(ことができますから、いままでみずがこなくなってさくづけしなかったぬまばたけも、)
ことができますから、いままで水がこなくなって作づけしなかった沼ばたけも、
(ことしはしんぱいせずにうえつけてください。」 そのとしのろくがつ、ぶどりは)
ことしは心配せずに植えつけてください。」 その年の六月、ブドリは
(いーはとーぶのまんなかにあたるいーはとーぶかざんのちょうじょうのこやにおりました。)
イーハトーブのまんなかにあたるイーハトーブ火山の頂上の小屋におりました。