グスコーブドリの伝記18
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問題文
(ふとぶどりはすぐめのまえにいつかみたことのあるおかしなかたちのちいさな)
ふとブドリはすぐ目の前にいつか見たことのあるおかしなかたちの小さな
(ひこうせんがとんでいるのをみつけました。ろうぎしもはねあがりました。)
飛行船が飛んでいるのを見つけました。老技師もはねあがりました。
(「あ、くーぼーくんがやってきた。」 ぶどりもつづいてこやをとびだしました。)
「あ、クーボー君がやってきた。」 ブドリもつづいて小屋をとびだしました。
(ひこうせんはもうこやのひだりがわのおおきないわのかべのうえにとまって、なかからせいのたかい)
飛行船はもう小屋の左がわの大きな岩のかべの上にとまって、中からせいの高い
(くーぼーだいはかせがひらりととびおりていました。はかせはしばらくそのへんのいわの)
クーボー大博士がひらりと飛びおりていました。博士はしばらくそのへんの岩の
(おおきなさけめをさがしていましたが、やっとそれをみつけたとみえて、てばやく)
大きなさけ目をさがしていましたが、やっとそれを見つけたと見えて、手ばやく
(ねじをしめてひこうせんをつなぎました。 「おちゃをよばれにきたよ。ゆれるかい。)
ねじをしめて飛行船をつなぎました。 「お茶をよばれにきたよ。ゆれるかい。
(だいはかせはにやにやわらっていいました。ろうぎしがこたえました。 「まだ)
大博士はにやにやわらって言いました。老技師が答えました。 「まだ
(そんなでない。けれどもどうもいわがぼろぼろうえからおちているらしいんだ。」)
そんなでない。けれどもどうも岩がぼろぼろ上から落ちているらしいんだ。」
(ちょうどそのとき、やまはにわかにおこったようになりだし、ぶどりはめのまえがあおく)
ちょうどそのとき、山はにわかに怒ったように鳴りだし、ブドリは目の前が青く
(なったようにおもいました。やまはぐらぐらつづけてゆれました。みると)
なったように思いました。山はぐらぐらつづけてゆれました。みると
(くーぼーだいはかせもろうぎしもしゃがんでいわへしがみついていましたし、ひこうせんも)
クーボー大博士も老技師もしゃがんで岩へしがみついていましたし、飛行船も
(おおきななみにのったふねのようにゆっくりゆれておりました。じしんはやっとやみ)
大きな波に乗った船のようにゆっくりゆれておりました。地震はやっとやみ
(くーぼーだいはかせは、おきあがってすたすたとこやへはいっていきました。なかでは)
クーボー大博士は、起きあがってすたすたと小屋へはいって行きました。中では
(おちゃがひっくりかえって、あるこーるがあおくぽかぽかもえていました。)
お茶がひっくりかえって、アルコールが青くぽかぽか燃えていました。
(くーぼーだいはかせはきかいをすっかりしらべて、それからろうぎしといろいろ)
クーボー大博士は機械をすっかりしらべて、それから老技師といろいろ
(はなしました。そしてしまいにいいました。 「もうどうしてもらいねんは)
はなしました。そしてしまいに言いました。 「もうどうしても来年は
(ちょうせきはつでんしょをぜんぶつくってしまわなければならない。それができれば)
潮汐発電所をぜんぶ作ってしまわなければならない。それができれば
(こんどのようなばあいにもそのひのうちにしごとができるし、ぶどりくんがいっている)
こんどのような場合にもその日のうちに仕事ができるし、ブドリ君が言っている
(ぬまばたけのひりょうもふらせられるんだ。」 「かんばつだってちっとも)
沼ばたけの肥料もふらせられるんだ。」 「旱魃だってちっとも
(こわくなくなるからな。」ぺんねんぎしもいいました。)
こわくなくなるからな。」ペンネン技師も言いました。
(ぶどりはむねがわくわくしました。やままでおどりあがっているようにおもいました。)
ブドリは胸がわくわくしました。山まで踊りあがっているように思いました。
(じっさいやまは、そのときはげしくゆれだして、ぶどりはゆかへなげだされて)
じっさい山は、そのときはげしくゆれだして、ブドリは床へなげだされて
(いたのです。だいはかせがいいました。 「やるぞ。やるぞ。いまのはさんむとりの)
いたのです。大博士が言いました。 「やるぞ。やるぞ。いまのはサンムトリの
(しへもかなりかんじたにちがいない。」 ろうぎしがいいました。)
市へもかなり感じたにちがいない。」 老技師が言いました。