グスコーブドリの伝記13

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タグ文学 童話

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(ぶどりはそれをひとめみると、ああこれはせんせいのほんにかいてあったれきしのれきし)

ブドリはそれをひと目見ると、ああこれは先生の本に書いてあった歴史の歴史

(ということのもけいだなとおもいました。せんせいはわらいながら、ひとつのとってを)

ということの模型だなと思いました。先生は笑いながら、一つのとってを

(まわしました。もけいはがちっとなってきたいなふねのようなかたちになりました。)

まわしました。模型はがちっと鳴って奇体な船のような形になりました。

(またがちっととってをまわすと、もけいはこんどはおおきなむかでのようなかたちに)

またがちっととってをまわすと、模型はこんどは大きなむかでのような形に

(かわりました。 みんなはしきりにくびをかたむけて、どうもわからん)

かわりました。 みんなはしきりに首をかたむけて、どうもわからん

(というふうにしていましたが、ぶどりにはただおもしろかったのです。)

というふうにしていましたが、ブドリにはただおもしろかったのです。

(「そこでこういうずができる。」せんせいはくろいかべへべつのこみいったずをどんどん)

「そこでこういう図ができる。」先生は黒いかべへ別の込み入った図をどんどん

(かきました。 ひだりてにもちょーくをもって、さっさっとかきました。がくせいたちも)

書きました。 左手にもチョークを持って、さっさっと書きました。学生たちも

(みんないっしょうけんめいそのまねをしました。ぶどりもふところから、)

みんないっしょうけんめいそのまねをしました。ブドリもふところから、

(いままでぬまばたけでもっていたきたないてちょうをだしてずをかきとりました。)

いままで沼ばたけで持っていたきたない手帳をだして図を書きとりました。

(せんせいはもうかいてしまって、だんのうえにまっすぐにたって、じろじろがくせいたちの)

先生はもう書いてしまって、だんの上にまっすぐに立って、じろじろ学生たちの

(せきをみまわしています。ぶどりもかいてしまって、そのずをたてよこから)

席を見まわしています。ブドリも書いてしまって、その図をたて横から

(みていますと、ぶどりのとなりでひとりのがくせいが、 「あああ。」)

見ていますと、ブドリのとなりで一人の学生が、 「あああ。」

(とあくびをしました。ぶどりはそっとききました。 「ね、このせんせいは)

とあくびをしました。ブドリはそっとききました。 「ね、この先生は

(なんていうんですか。」 するとがくせいはばかにしたようにはなでわらいながら)

なんていうんですか。」 すると学生はばかにしたように鼻でわらいながら

(こたえました。 「くーぼーだいはかせさ。おまえしらなかったのかい。」)

答えました。 「クーボー大博士さ。おまえ知らなかったのかい。」

(それからじろじろぶどりのようすをみながら、 「はじめから、このずなんか)

それからじろじろブドリのようすを見ながら、 「はじめから、この図なんか

(かけるものか。ぼくでさえおなじこうぎをもうろくねんもきいているんだ。」といって、)

書けるものか。ぼくでさえ同じ講義をもう六年もきいているんだ。」と言って、

(じぶんののーとをふところへしまってしまいました。そのとききょうしつに、ぱっと)

自分のノートをふところへしまってしまいました。そのとき教室に、ぱっと

(でんとうがつきました。もうゆうがただったのです。だいはかせがむこうでいいました。)

電燈がつきました。もう夕方だったのです。大博士がむこうで言いました。

など

(「いまやゆうべははるかにきたり、せっこうもまたぜんかをおえた。しょくんのうちの)

「いまや夕べははるかにきたり、拙講もまた全課をおえた。諸君のうちの

(きぼうしゃは、けだしいつものれいにより、そののーとをばせっしゃにしめし、さらにすうこの)

希望者は、けだしいつもの例により、そのノートをば拙者に示し、さらに数個の

(しもんをうけて、しょぞくをけっすべきである。」がくせいたちはわあとさけんで、みんな)

試問をうけて、所属を決すべきである。」学生たちはわあとさけんで、みんな

(ばたばたのーとをとじました。それからそのままかえってしまうものがだいぶぶん)

ばたばたノートをとじました。それからそのまま帰ってしまうものが大部分

(でしたが、ご、ろくじゅうにんはいちれつになってだいはかせのまえをとおりながらのーとをひらいて)

でしたが、五、六十人は一列になって大博士の前をとおりながらノートを開いて

(みせるのでした。するとだいはかせはそれをちょっとみて、ひとことかふたことしつもんを)

みせるのでした。すると大博士はそれをちょっと見て、一ことか二こと質問を

(して、それからちょーくでえりへ、「ごう」とか「さいらい」とか、「ふんれい」とか)

して、それからチョークでえりへ、「合」とか「再来」とか、「奮励」とか

(かくのでした。がくせいはそのあいだ、いかにもしんぱいそうにくびをちぢめているのでしたが)

書くのでした。学生はその間、いかにも心配そうに首をちぢめているのでしたが

(それからそっとかたをすぼめてろうかまででて、ともだちにそのしるしをよんで)

それからそっと肩をすぼめて廊下まで出て、友だちにそのしるしを読んで

(もらって、よろこんだりしょげたりするのでした。)

もらって、よろこんだりしょげたりするのでした。

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