グスコーブドリの伝記7

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ブドリはぼんやりあとへ残りました・・

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(ぶどりはぼんやりあとへのこりました。うちのなかはまるできたなくて、)

ブドリはぼんやりあとへ残りました。うちの中はまるできたなくて、

(あらしのあとのようでしたし、もりはあれはててやまかじにでも)

あらしのあとのようでしたし、森は荒れはてて山火事にでも

(あったあとのようでした。ぶどりがつぎのひ、いえのなかやまわりを)

あったあとのようでした。ブドリがつぎの日、家のなかやまわりを

(かたづけはじめましたら、てぐすかいのおとこがいつもすわっていたところから)

かたづけはじめましたら、てぐす飼いの男がいつもすわっていたところから

(ふるいぼーるがみのはこをみつけました。なかにはじゅっさつばかりのほんが)

古いボール紙のはこをみつけました。中には十冊ばかりの本が

(ぎっしりはいっておりました。ひらいてみると、てぐすのえやきかいのずが)

ぎっしりはいっておりました。開いてみると、てぐすの絵や機械の図が

(たくさんある、まるでよめないほんもありましたし、いろいろなきやくさのずと)

たくさんある、まるで読めない本もありましたし、いろいろな木や草の図と

(なまえのかいてあるものもありました。 ぶどりはいっしょうけんめい)

名まえの書いてあるものもありました。 ブドリはいっしょうけんめい

(そのほんのまねをして、じをかいたりずをうつしたりしてそのふゆをくらしました。)

その本のまねをして、字を書いたり図をうつしたりしてその冬を暮らしました。

(はるになりますとまたあのおとこがろく、しちにんのあたらしいてしたをつれて、)

春になりますとまたあの男が六、七人のあたらしい手下をつれて、

(たいへんりっぱななりをしてやってきました。そしてつぎのひからすっかり)

たいへんりっぱななりをしてやってきました。そしてつぎの日からすっかり

(きょねんのようなしごとがはじまりました。 そしてあみはみんなかかり、きいろないたも)

去年のような仕事がはじまりました。 そして網はみんなかかり、黄いろな板も

(つるされ、むしはえだにはいあがり、ぶどりたちはまた、たきぎづくりにかかるころに)

つるされ、虫は枝にはいあがり、ブドリたちはまた、たきぎ作りにかかるころに

(なりました。あるあさ、ぶどりたちがたきぎをつくっていましたらにわかに)

なりました。ある朝、ブドリたちがたきぎを作っていましたらにわかに

(ぐらぐらっとじしんがはじまりました。それからずうっととおくでどーんというおとが)

ぐらぐらっと地震がはじまりました。それからずうっと遠くでドーンという音が

(しました。 しばらくたつとひがへんにくらくなり、こまかなはいが)

しました。 しばらくたつと日がへんにくらくなり、こまかな灰が

(ばさばさばさばさふってきて、もりはいちめんにまっしろになりました。)

ばさばさばさばさふってきて、森はいちめんにまっ白になりました。

(ぶどりたちがあきれてきのしたにしゃがんでいましたら、てぐすかいのおとこが)

ブドリたちがあきれて木の下にしゃがんでいましたら、てぐす飼いの男が

(たいへんあわててやってきました。 「おい、みんな、もうだめだぞ。ふんかだ。)

たいへんあわててやってきました。 「おい、みんな、もうだめだぞ。噴火だ。

(ふんかがはじまったんだ。てぐすはみんなはいをかぶってしんでしまった。みんな)

噴火がはじまったんだ。てぐすはみんな灰をかぶって死んでしまった。みんな

など

(はやくひきあげてくれ。おい、ぶどり。おまえはここにいたかったらいてもいいが)

早く引きあげてくれ。おい、ブドリ。おまえはここにいたかったらいてもいいが

(こんどはたべものはおいてやらないぞ。それにここにいてもあぶないからな。)

こんどはたべものはおいてやらないぞ。それにここにいてもあぶないからな。

(おまえものはらへでてなにかかせぐほうがいいぜ。」 そういったかとおもうと、)

おまえも野原へ出て何かかせぐほうがいいぜ。」 そういったかと思うと、

(もうどんどんはしっていってしまいました。ぶどりがこうじょうへいってみたときは)

もうどんどん走って行ってしまいました。ブドリが工場へ行って見たときは

(もうだれもおりませんでした。そこでぶどりは、しょんぼりとみんなの)

もうだれもおりませんでした。そこでブドリは、しょんぼりとみんなの

(あしあとのついたしろいはいをふんでのはらのほうへでていきました。 )

あしあとのついた白い灰をふんで野原のほうへ出て行きました。

(ぶどりは、いっぱいにはいをかぶったもりのあいだを、まちのほうへはんにちあるきつづけました)

ブドリは、いっぱいに灰をかぶった森の間を、町のほうへ半日歩きつづけました

(はいはかぜのふくたびにきからばさばさおちて、まるでけむりかふぶきのようでした。)

灰は風の吹くたびに木からばさばさ落ちて、まるでけむりか吹雪のようでした。

(けれどもそれはのはらへちかづくほど、だんだんあさくすくなくなって、ついには)

けれどもそれは野原へ近づくほど、だんだん浅く少なくなって、ついには

(きもみどりにみえ、みちのあしあともみえないくらいになりました。 )

木もみどりにみえ、みちの足あとも見えないくらいになりました。

(とうとうもりをできったとき、ぶどりはおもわずめをみはりました。のはらは)

とうとう森を出きったとき、ブドリは思わず目をみはりました。野原は

(めのまえから、とおくのまっしろなくもまで、うつくしいももいろとみどりとはいいろの)

目のまえから、遠くのまっ白な雲まで、美しい桃いろとみどりと灰いろの

(かーどでできているようでした。そばへよってみると、そのももいろなのには、)

カードでできているようでした。そばへよってみると、その桃いろなのには、

(いちめんにせいのひくいはながさいていて、みつばちがいそがしくはなからはなを)

いちめんにせいのひくい花が咲いていて、みつばちがいそがしく花から花を

(わたってあるいていましたし、みどりいろなのにはちいさなほをだしてくさが)

わたってあるいていましたし、みどりいろなのには小さな穂をだして草が

(ぎっしりはえ、はいいろなのはあさいどろのぬまでした。そしてどれも、ひくい)

ぎっしりはえ、灰いろなのは浅いどろの沼でした。そしてどれも、ひくい

(はばのせまいどてでくぎられ、ひとはうまをつかってそれをほりおこしたり)

幅のせまい土手でくぎられ、人は馬を使ってそれをほりおこしたり

(かきまわしたりしてはたらいていました。)

かきまわしたりしてはたらいていました。

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