銀河鉄道の夜 24
八、鳥をとる人 (2/6)
宮沢賢治 作
宮沢賢治 作
「わっしはすぐそこで降ります。わっしは、鳥をつかまえる商売でね。」
「何鳥ですか。」
「ツルやガンです。サギも白鳥もです。」
「何鳥ですか。」
「ツルやガンです。サギも白鳥もです。」
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問題文
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(「わっしはすぐそこでおります。わっしは、とりをつかまえるしょうばいでね。」)
「わっしはすぐそこで降ります。わっしは、鳥をつかまえる商売でね。」
(「なにどりですか。」)
「何鳥ですか。」
(「つるやがんです。さぎもはくちょうもです。」)
「ツルやガンです。サギも白鳥もです。」
(「つるはたくさんいますか。」)
「ツルはたくさんいますか。」
(「いますとも、さっきからないてまさあ。きかなかったのですか。」)
「いますとも、さっきから鳴いてまさあ。聞かなかったのですか。」
(「いいえ。」)
「いいえ。」
(「いまでもきこえるじゃありませんか。)
「いまでも聞こえるじゃありませんか。
(そら、みみをすましてきいてごらんなさい。」)
そら、耳をすまして聞いてごらんなさい。」
(ふたりはめをあげ、みみをすましました。)
ふたりは目をあげ、耳をすましました。
(ごとごとなるきしゃのひびきと、すすきのかぜとのあいだから、)
ごとごと鳴る汽車のひびきと、すすきの風との間から、
(ころんころんとみずのわくようなおとがきこえてくるのでした。)
ころんころんと水のわくような音が聞こえてくるのでした。
(「つる、どうしてとるんですか。」)
「ツル、どうしてとるんですか。」
(「つるですか、それともさぎですか。」)
「ツルですか、それともサギですか。」
(「さぎです。」)
「サギです。」
(じょばんには、どっちでもいいとおもいながらこたえました。)
ジョバンニは、どっちでもいいとおもいながら答えました。
(「そいつはな、ぞうさない。さぎというものは、)
「そいつはな、ぞうさない。サギというものは、
(みんなあまのがわのすながかたまって、ぽおっとできるもんですからね、)
みんな天の川の砂がかたまって、ぽおっとできるもんですからね、
(そしてしじゅうかわへかえりますからね、)
そして始終川へ帰りますからね、
(かわらでまっていて、さぎがみんな、あしをこういうふうにして)
川原で待っていて、サギがみんな、脚をこういうふうにして
(おりてくるところを、そいつがじべたへつくかつかないうちに、)
下りてくるところを、そいつが地べたへつくかつかないうちに、
など
(ぴたっとおさえちまうんです。)
ぴたっと押さえちまうんです。
(するともうさぎは、かたまってあんしんしてしんじまいます。)
するともうサギは、かたまって安心して死んじまいます。
(あとはもう、わかりきってまさあ。おしばにするだけです。」)
あとはもう、わかり切ってまさあ。押し葉にするだけです。」
(「さぎをおしばにするんですか。ひょうほんですか。」)
「サギを押し葉にするんですか。標本ですか。」
(「ひょうほんじゃありません。みんなたべるじゃありませんか。」)
「標本じゃありません。みんなたべるじゃありませんか。」
(「おかしいねえ。」)
「おかしいねえ。」
(かむぱねるらがくびをかしげました。)
カムパネルラが首をかしげました。
(「おかしいもふしんもありませんや。そら。」)
「おかしいも不審もありませんや。そら。」
(そのおとこはたって、あみだなからつつみをおろして、てばやくくるくるとときました。)
その男は立って、網棚から包をおろして、手ばやくくるくると解きました。
(「さあ、ごらんなさい。いまとってきたばかりです。」)
「さあ、ごらんなさい。いまとってきたばかりです。」
(「ほんとうにさぎだねえ。」)
「ほんとうにサギだねえ。」
(ふたりはおもわずさけびました。)
ふたりは思わず叫びました。