銀河鉄道の夜 24

宮沢賢治 作
「何鳥ですか。」
「ツルやガンです。サギも白鳥もです。」
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問題文
(「わっしはすぐそこでおります。わっしは、とりをつかまえるしょうばいでね。」)
「わっしはすぐそこで降ります。わっしは、鳥をつかまえる商売でね。」
(「なにどりですか。」)
「何鳥ですか。」
(「つるやがんです。さぎもはくちょうもです。」)
「ツルやガンです。サギも白鳥もです。」
(「つるはたくさんいますか。」)
「ツルはたくさんいますか。」
(「いますとも、さっきからないてまさあ。きかなかったのですか。」)
「いますとも、さっきから鳴いてまさあ。聞かなかったのですか。」
(「いいえ。」)
「いいえ。」
(「いまでもきこえるじゃありませんか。)
「いまでも聞こえるじゃありませんか。
(そら、みみをすましてきいてごらんなさい。」)
そら、耳をすまして聞いてごらんなさい。」
(ふたりはめをあげ、みみをすましました。)
ふたりは目をあげ、耳をすましました。
(ごとごとなるきしゃのひびきと、すすきのかぜとのあいだから、)
ごとごと鳴る汽車のひびきと、すすきの風との間から、
(ころんころんとみずのわくようなおとがきこえてくるのでした。)
ころんころんと水のわくような音が聞こえてくるのでした。
(「つる、どうしてとるんですか。」)
「ツル、どうしてとるんですか。」
(「つるですか、それともさぎですか。」)
「ツルですか、それともサギですか。」
(「さぎです。」)
「サギです。」
(じょばんには、どっちでもいいとおもいながらこたえました。)
ジョバンニは、どっちでもいいとおもいながら答えました。
(「そいつはな、ぞうさない。さぎというものは、)
「そいつはな、ぞうさない。サギというものは、
(みんなあまのがわのすながかたまって、ぽおっとできるもんですからね、)
みんな天の川の砂がかたまって、ぽおっとできるもんですからね、
(そしてしじゅうかわへかえりますからね、)
そして始終川へ帰りますからね、
(かわらでまっていて、さぎがみんな、あしをこういうふうにして)
川原で待っていて、サギがみんな、脚をこういうふうにして
(おりてくるところを、そいつがじべたへつくかつかないうちに、)
下りてくるところを、そいつが地べたへつくかつかないうちに、
(ぴたっとおさえちまうんです。)
ぴたっと押さえちまうんです。
(するともうさぎは、かたまってあんしんしてしんじまいます。)
するともうサギは、かたまって安心して死んじまいます。
(あとはもう、わかりきってまさあ。おしばにするだけです。」)
あとはもう、わかり切ってまさあ。押し葉にするだけです。」
(「さぎをおしばにするんですか。ひょうほんですか。」)
「サギを押し葉にするんですか。標本ですか。」
(「ひょうほんじゃありません。みんなたべるじゃありませんか。」)
「標本じゃありません。みんなたべるじゃありませんか。」
(「おかしいねえ。」)
「おかしいねえ。」
(かむぱねるらがくびをかしげました。)
カムパネルラが首をかしげました。
(「おかしいもふしんもありませんや。そら。」)
「おかしいも不審もありませんや。そら。」
(そのおとこはたって、あみだなからつつみをおろして、てばやくくるくるとときました。)
その男は立って、網棚から包をおろして、手ばやくくるくると解きました。
(「さあ、ごらんなさい。いまとってきたばかりです。」)
「さあ、ごらんなさい。いまとってきたばかりです。」
(「ほんとうにさぎだねえ。」)
「ほんとうにサギだねえ。」
(ふたりはおもわずさけびました。)
ふたりは思わず叫びました。