【童話】ウサギどんとタール人形

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(なんとかしてうさぎどんをつかまえたいきつねどんと)

何とかしてウサギどんを捕まえたいキツネどんと

(なんとしてもつかまりたくないうさぎどんがいました)

何としても捕まりたくないウサギどんがいました

(あるひきつねどんはこーるたーるでべたべたのにんぎょうをつくり)

ある日 キツネどんはコールタールでベタベタの人形を作り

(これをみちばたにおいてじぶんはくさむらにかくれました)

これを道端において 自分は草むらに隠れました

(そこへぴょんぴょこやってきたうさぎどん)

そこへぴょんぴょこやってきたウサギどん

(たーるにんぎょうにおどろいて「おはよういいてんきだね」)

タール人形に驚いて「おはよう いい天気だね」

(といいましたがへんじがありません)

と言いましたが 返事がありません

(「きこえないのかいそれならもっとでっかいこえでどなってやろうか」)

「聞こえないのかい それならもっとでっかい声で怒鳴ってやろうか」

(とうさぎどんでもたーるにんぎょうはだまったまま)

と ウサギどん でもタール人形は黙ったまま

(「いいかね、りっぱなおかたにはこんにちはってあいさつするもんだ)

「いいかね、立派なお方には こんにちはって挨拶するもんだ

(さもないとおまえのおなかにおおきなあなをあけるぞ」)

さもないとお前のお腹に大きな穴をあけるぞ」

(それでもたーるにんぎょうはうんともすんともいいません)

それでもタール人形はうんともすんとも言いません

(おこったうさぎどんはげんこつをふりあげてたーるにんぎょうのほっぺたをぽかっ)

怒ったウサギどんは ゲンコツを振り上げてタール人形のほっぺたをポカッ

(ところがげんこつはほっぺたにくっついて)

ところがゲンコツはほっぺたにくっついて

(ひっぱってもひっぱってもとれません)

引っ張っても引っ張っても取れません

(あわてたうさぎどんもうかたほうのげんこつでぽかっとやると)

慌てたウサギどん もう片方のゲンコツでポカッとやると

(これまたほっぺたにぺたりますますおこったうさぎどんは)

これまたほっぺたにペタリ ますます怒ったウサギどんは

(こんどはけっとばそうとしてりょうあしをくっつけてしまい)

今度は蹴っ飛ばそうとして両足をくっつけてしまい

(つづいてじぶんのあたまをごつんとぶつけるとあたまもはなれなくなるしまつ)

続いて自分の頭をゴツンとぶつけると頭も離れなくなる始末

(さあきつねどんはおおわらいくさむらからでてくるとうさぎどんにむかい)

さあ キツネどんは大笑い 草むらから出てくるとウサギどんに向かい

など

(「まるやきにしようかしばりくびにしようかみずになげこもうかかわをはごうか」)

「丸焼きにしようか 縛り首にしようか 水に投げ込もうか 皮をはごうか」

(とさんざんおどしましたするとうさぎどんは)

と さんざん脅しました するとウサギどんは

(「いいともたべようところそうとおまえのすきにするがいいさ)

「いいとも 食べようと殺そうと お前の好きにするがいいさ

(だけどおねがいだあのいばらのなかにだけはなげこまないようにしておくれ」)

だけどお願いだ あのいばらの中にだけは投げ込まないようにしておくれ」

(とたのみましたこれをきいたきつねどんうさぎどんのうしろあしをにぎって)

と 頼みました これを聞いたキツネどん ウサギどんの後足を握って

(たーるにんぎょうからひきはなしいばらのしげみめがけてぴゅーんとほうりなげました)

タール人形から引き離し いばらの茂みめがけてピューンと放り投げました

(するとしばらくしてむこうのおかのうえにうさぎどんがすがたをみせ)

するとしばらくして 向こうの丘の上にウサギどんが姿を見せ

(「きつねどんこのぼくはもともといばらのなかでうまれそだったんだよ」)

「キツネどん この僕は元々いばらの中で生まれ育ったんだよ」

(というとたかわらいしながらぴょんぴょこにげていきました)

と言うと 高笑いしながらぴょんぴょこ逃げていきました

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