星の王子さま 24 (27/32)
関連タイピング
-
プレイ回数190かな142打
-
プレイ回数3892長文1069打
-
プレイ回数1135歌詞かな940打
-
プレイ回数3983歌詞かな1406打
-
プレイ回数200長文かな3533打
-
プレイ回数107長文4879打
-
プレイ回数244長文1792打
-
プレイ回数639長文1169打
問題文
(ぼくのひこうきが、さばくのなかでこしょうしてからようかめ、)
ぼくの飛行機が、砂漠の中で故障してから八日め、
(もう、ひとしずくしかのこっていないたくわえのみずをのみながら、)
もう、一しずくしか残っていない貯えの水をのみながら、
(がんやくしょうにんのはなしにみみをすましたぼくは、)
丸薬商人の話に耳をすましたぼくは、
(おうじさまにむかって、こういいました。)
王子さまに向かって、こういいました。
(「じつにおもしろいはなしだ。 だけど、まだひこうきのしゅうぜんができていないし、)
「じつにおもしろい話だ。 だけど、まだ飛行機の修繕ができていないし、
(それにのみみずが、もういってきもない、このありさまなんだ。)
それに飲み水が、もう一滴もない、このありさまなんだ。
(だから、ぼくも、どこかのいずみのほうへ、ゆっくりゆっくりあるいていけたら、)
だから、ぼくも、どこかの泉の方へ、ゆっくりゆっくり歩いていけたら、
(うれしんだがなあ!」)
うれしんだがなあ!」
(「ぼくのともだちのきつねがね・・・」 と、おうじさまは、ぼくにいいました。)
「ぼくの友だちのキツネがね・・・」 と、王子さまは、ぼくにいいました。
(「ぼっちゃん、もう、きつねどころじゃないんだよ」)
「ぼっちゃん、もう、キツネどころじゃないんだよ」
(「なぜ?」 「だって、のどがかわいてしにそうだもの・・・」)
「なぜ?」 「だって、のどがかわいて死にそうだもの・・・」
(おうじさまは、ぼくのいうことがのみこめなくて、こう、ぼくにこたえました。)
王子さまは、ぼくのいうことがのみこめなくて、こう、ぼくに答えました。
(「しにそうになっても、ひとりでもともだちがいるのは、いいものだよ。)
「死にそうになっても、ひとりでも友だちがいるのは、いいものだよ。
(ぼくはね、きつねとともだちになれて、ほんとにうれしいよ・・・」)
ぼくはね、キツネと友だちになれて、ほんとにうれしいよ・・・」
(このぼっちゃん、どんなにあぶないことになってるか、わかっていないんだ。)
このぼっちゃん、どんなにあぶないことになってるか、わかっていないんだ。
(ひもじいおもいをしたためしもないし、のどがかわいたためしもないんだ。)
ひもじい思いをした試しもないし、のどが乾いた試しもないんだ。
(ほんのちょっと、ひのひかりがさしてくれば、それでまんぞくしてるんだ、)
ほんのちょっと、日の光がさしてくれば、それで満足してるんだ、
(と、ぼくはかんがえました。)
と、ぼくは考えました。
(が、おうじさまは、じっとぼくをみました。)
が、王子さまは、じっとぼくを見ました。
(そして、ぼくのこころのうちをおもいやったらしく、こういいました。)
そして、ぼくの心のうちを思いやったらしく、こういいました。
(「ぼくもみずがのみたいから・・・いどをさがそうよ・・・」)
「ぼくも水がのみたいから・・・井戸をさがそうよ・・・」
(ぼくは、つかれたようなみぶりをしました。)
ぼくは、つかれたような身ぶりをしました。
(こんなはてしないさばくのなかで、いきあたりばったりいどをさがすなんて、)
こんな果てしない砂漠の中で、いきあたりばったり井戸を探すなんて、
(ばかげたことだとおもったからです。)
ばかげたことだと思ったからです。
(それでも、ぼくたちはあるきだしました。)
それでも、僕たちは歩き出しました。
(ぼくたちが、なんじかんかだまってあるいていると、ひがくれて、)
ぼくたちが、何時間かだまって歩いていると、日が暮れて、
(ほしがひかりはじめました。)
星が光りはじめました。
(ぼくは、のどがかわいて、すこしねつがあるようなので、)
ぼくは、のどがかわいて、少し熱があるようなので、
(まるで、ゆめでもみているように、ほしをながめていました。)
まるで、夢でも見ているように、星をながめていました。
(おうじさまのいったことが、ぼくのきおくのなかでおどっていました。)
王子さまの言ったことが、ぼくの記憶の中でおどっていました。
(「みずがのみたいの、きみも?」 と、ぼくはおうじさまにききました。)
「水がのみたいの、きみも?」 と、ぼくは王子さまにききました。
(が、おうじさまは、ぼくのきいたことには、こたえません。)
が、王子さまは、ぼくのきいたことには、答えません。
(ただ、こういったきりでした。)
ただ、こういったきりでした。
(「みずは、こころにもいいものかもしれないな・・・」)
「水は、心にもいいものかもしれないな・・・」
(おうじさまが、なぜそういうへんじをしたのか、わからなかったのでしたが、)
おうじさまが、なぜそういう返事をしたのか、わからなかったのでしたが、
(それでも、ぼくはくちをつぐみました・・・。)
それでも、ぼくは口をつぐみました・・・。
(おうじさまに、そのわけをきいてもしようがないことが、)
王子さまに、そのわけを聞いてもしようがないことが、
(よくわかっていたからです。)
よくわかっていたからです。
(おうじさまはくたびれていました。)
王子さまはくたびれていました。
(こしをおろしました。)
腰をおろしました。
(ぼくはそのそばにこしをおろしました。)
ぼくはそのそばに腰をおろしました。
(すると、おうじさまは、しばらくだまっていたあとで、また、こういいました。)
すると、王子さまは、しばらく黙っていたあとで、また、こういいました。
(「ほしがあんなにうつくしいのも、めにみえないはながひとつあるからなんだよ・・・」)
「星があんなに美しいのも、目に見えない花が一つあるからなんだよ・・・」
(ぼくは、<そりゃあ、そうだ>とこたえました。)
ぼくは、<そりゃあ、そうだ>と答えました。
(それから、なんにもいわずに、)
それから、なんにもいわずに、
(でこぼこのすながつきのひかりをあびているのをながめました。)
でこぼこの砂が月の光を浴びているのをながめました。
(「さばくはうつくしいな・・・」 と、おうじさまはつづいていいました。)
「砂漠は美しいな・・・」 と、王子さまはつづいていいました。
(まったくそのとおりでした。 ぼくは、いつもさばくがすきでした。)
まったくそのとおりでした。 ぼくは、いつも砂漠がすきでした。
(すなやまのうえにこしをおろす。)
砂山の上に腰をおろす。
(なんにもみえません。なんにもきこえません。)
なんにも見えません。なんにもきこえません。
(だけれど、なにかが、ひっそりとひかっているのです・・・)
だけれど、なにかが、ひっそりと光っているのです・・・
(「さばくがうつくしいのは、どこかにいどをかくしているからだよ・・・」)
「砂漠が美しいのは、どこかに井戸を隠しているからだよ・・・」
(と、おうじさまが、いいました。)
と、王子さまが、いいました。
(とつぜん、ぼくは、すながそんなふうに、ふしぎにひかるわけがわかっておどろきました。)
突然、ぼくは、砂がそんなふうに、ふしぎに光るわけがわかって驚きました。
(ほんのこどもだったころ、ぼくは、あるふるいうちにすんでいたのですが、)
ほんの子どもだったころ、ぼくは、ある古い家に住んでいたのですが、
(そのうちには、なにかたからがうめられているという、いいつたえがありました。)
その家には、なにか宝が埋められているという、いいつたえがありました。
(もちろん、だれもまだ、そのたからをはっけんしたこともありませんし、)
もちろん、だれもまだ、その宝を発見したこともありませんし、
(それをさがそうとしたひともいないようです。)
それをさがそうとした人もいないようです。
(でも、うちじゅうが、そのたからで、うつくしいまほうにかかっているようでした。)
でも、家中が、その宝で、美しい魔法にかかっているようでした。
(ぼくのうちは、そのおくに、ひとつのひみつをかくしていたのです・・・)
ぼくの家は、そのおくに、一つの秘密をかくしていたのです・・・
(「そうだよ、うちでもほしでもさばくでも、そのうつくしいところは、めにみえないのさ」)
「そうだよ、家でも星でも砂漠でも、その美しいところは、目に見えないのさ」
(と、ぼくはおうじさまにいいました。)
と、ぼくは王子さまにいいました。
(「うれしいな、きみが、ぼくのきつねとおんなじことをいうんだから」)
「うれしいな、きみが、ぼくのキツネとおんなじことを言うんだから」
(と、おうじさまがいいました。)
と、王子さまがいいました。
(おうじさまがねむりかけたので、ぼくはりょううででかかえてあるきだしました。)
王子さまが眠りかけたので、ぼくは両腕でかかえて歩きだしました。
(ぼくはこころをゆすぶられていました。)
ぼくは心をゆすぶられていました。
(まるで、こわれやすいたからを、てにもっているようでした。)
まるで、こわれやすい宝を、手に持っているようでした。
(ちきゅうのうえに、これよりこわれやすいものは、)
地球の上に、これよりこわれやすいものは、
(なにもないようにさえ、かんじられるのでした。)
なにもないようにさえ、感じられるのでした。
(ぼくは、つきのひかりで、おうじさまのあおじろいかおをみていました。)
ぼくは、月の光で、王子さまの青白い顔を見ていました。
(ふさいでいるめをみていました。)
ふさいでいる目を見ていました。
(ふさふさしたかみのけが、かぜにふるえているのをみていました。)
ふさふさした髪の毛が、風にふるえているのを見ていました。
(そして、いま、こうしてめのまえにみているのは、)
そして、いま、こうして目の前に見ているのは、
(にんげんのそとがわだけだ、いちばんたいせつのものは、めにみえないのだ・・・)
人間の外側だけだ、一番たいせつのものは、目に見えないのだ・・・
(と、おもっていました。)
と、思っていました。
(おうじさまのくちびるが、こころもちひらいて、どこともなしにえがおがみえるのです。)
王子さまのくちびるが、心もち開いて、どこともなしに笑顔が見えるのです。
(ぼくはまたこうおもいました。)
ぼくはまたこう思いました。
(<このおうじさまのねがおをみると、ぼくはなみだのでるほどうれしいんだが、)
<この王子さまの寝顔を見ると、ぼくは涙の出るほどうれしいんだが、
(それも、このおうじさまが、いちりんのはなをいつまでもわすれずにいるからなんだ。)
それも、この王子さまが、一輪の花をいつまでも忘れずにいるからなんだ。
(ばらのはなのすがたが、ねむっているあいだも、らんぷのひのように)
バラの花のすがたが、ねむっているあいだも、ランプの灯のように
(このおうじさまのこころのなかにひかっているからなんだ・・・>)
この王子さまの心の中に光っているからなんだ・・・>
(すると、ぼくは、おうじさまが、いよいよこわれやすいひとのようにみえてきました。)
すると、ぼくは、王子さまが、いよいよ壊れやすい人のように見えてきました。
(ともしびは、たいせつにしましょう。)
ともし火は、たいせつにしましょう。
(かぜがさっとふいてきたら、そのひがきえるかもしれませんからね・・・)
風がさっと吹いてきたら、その灯が消えるかもしれませんからね・・・
(こんなことをかんがえながらあるいていくうちに、ぼくはよるがあけるころ、)
こんなことを考えながら歩いていくうちに、ぼくは夜が明けるころ、
(とうとういどをはっけんしました。)
とうとう井戸を発見しました。