武者小路実篤『友情』 下篇⑤

大宮が杉子に返信します。
関連タイピング
-
岡本綺堂 半七捕物帳シリーズ 第二話
プレイ回数461長文2003打 -
岡本綺堂 半七捕物帳シリーズ 第二話
プレイ回数510長文2828打 -
プレイ回数174長文4730打
-
「思索する少年太郎の内的宇宙」
プレイ回数2575長文2468打 -
プレイ回数105長文2106打
-
好評だった小説の続きです
プレイ回数5333長文797打 -
プレイ回数166長文2704打
-
プレイ回数188長文2765打
問題文
(おてがみはいけんしました。)
御手紙拝見しました。
(しょうじきにいうと、あなたのてがみをうけとらなかったことをぼくはのぞんでいます。)
正直に云うと、あなたの手紙を受けとらなかったことを僕は望んでいます。
(うけとってもおへんじをださないほうがいいのかともおもいます。)
受けとっても御返事を出さない方がいいのかとも思います。
(ですがのじまのことを、もいっぺんかんがえていただきたいことをもうします。)
ですが野島のことを、も一ぺん考えて戴きたいことを申します。
(あなたはまだのじまのいいところをほんとうにはごぞんじないのです。)
あなたはまだ野島のいい所を本当には御存知ないのです。
(のじまのみかけばかりにまだひっかかっていらっしゃるようにみえます。)
野島の見かけばかりにまだひっかかっていらっしゃるように見えます。
(のじまのたましいをみてほしくおもいます。)
野島の魂を見てほしく思います。
(のじまをともだからほめるのではありません。)
野島を友だからほめるのではありません。
(のじまはじっさい、ほめていいわずかのにんげんのひとりです。)
野島は実際、ほめていい僅かの人間の一人です。
(そんなおとこにこいされたことはあなたのめいよです。)
そんな男に恋されたことはあなたの名誉です。
(そのめいよにあなたがあたいしないとはもうしません。)
その名誉にあなたが値しないとは申しません。
(ぼくはあなたをのじまをはなしてかんがえるわけにはゆきません。)
僕はあなたを野島をはなして考えるわけにはゆきません。
(ぼくはのじまのつまになるひととしてあなたをそんけいしてきました。)
僕は野島の妻になる人としてあなたを尊敬して来ました。