駆込み訴え8

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問題文
(さいしちょうやたみのちょうろうたちが、だいさいしかやぱのなかにわにこっそりつどって、)
祭司長や民の長老たちが、大祭司カヤパの中庭にこっそり集って、
(あのひとをころすことをけつぎしたとか、)
あの人を殺すことを決議したとか、
(わたしはそれを、きのうまちのものうりからききました。)
私はそれを、きのう町の物売りから聞きました。
(もしぐんしゅうのもくぜんであのひとをとらえたならば、)
もし群集の目前であの人を捕えたならば、
(あるいはぐんしゅうがぼうどうをおこすかもしれないから、)
あるいは群集が暴動を起すかも知れないから、
(あのひととでしたちとだけのいるところをみつけて)
あの人と弟子たちとだけの居るところを見つけて
(やくしょにしらせてくれたものには)
役所に知らせてくれた者には
(ぎんさんじゅうをあたえるということをも、みみにしました。)
銀三十を与えるということをも、耳にしました。
(もはやゆうよのときではない。あのひとは、どうせしぬのだ。)
もはや猶予の時ではない。あの人は、どうせ死ぬのだ。
(ほかのひとのてで、したやくたちにひきわたすよりは、わたしが、それをなそう。)
ほかの人の手で、下役たちに引き渡すよりは、私が、それを為そう。
(きょうまでわたしの、あのひとにささげたひとすじなるあいじょうの、)
きょうまで私の、あの人に捧げた一すじなる愛情の、
(これがさいごのあいさつだ。わたしのぎむです。)
これが最後の挨拶だ。私の義務です。
(わたしがあのひとをうってやる。)
私があの人を売ってやる。
(つらいたちばだ。だれがこのわたしのひたむきのあいのこういを、)
つらい立場だ。誰がこの私のひたむきの愛の行為を、
(せいとうにりかいしてくれることか。)
正当に理解してくれることか。
(いや、だれにりかいされなくてもいいのだ。)
いや、誰に理解されなくてもいいのだ。
(わたしのあいはじゅんすいのあいだ。ひとにりかいしてもらうためのあいではない。)
私の愛は純粋の愛だ。人に理解してもらう為の愛では無い。
(そんなさもしいあいではないのだ。)
そんなさもしい愛では無いのだ。
(わたしはえいえんに、ひとのにくしみをかうだろう。)
私は永遠に、人の憎しみを買うだろう。
(けれども、このじゅんすいのあいのどんよくのまえには、)
けれども、この純粋の愛の貪慾のまえには、
(どんなけいばつも、どんなじごくのごうかももんだいでない。)
どんな刑罰も、どんな地獄の業火も問題でない。
(わたしはわたしのいきかたをいきぬく。みぶるいするほどにかたくけついしました。)
私は私の生き方を生き抜く。身震いするほどに固く決意しました。
(わたしは、ひそかによきおりを、うかがっていたのであります。)
私は、ひそかによき折を、うかがっていたのであります。