酒呑童子(大江山) 5

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岡本綺堂 半七捕物帳 第八話
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問題文
(らいこうはそのそばへよって、)
頼光はそのそばへ寄って、
(「あなたはだれです。どうしてこんなやまのなかにひとりでいるのです。」)
「あなたはだれです。どうしてこんな山の中に一人でいるのです。」
(とききました。むすめはまたぽろぽろとなみだをこぼしながら、)
と聞きました。娘はまたぽろぽろと涙をこぼしながら、
(「わたくしはみやこから、あるばんおににさらわれて)
「わたくしは都から、ある晩鬼にさらわれて
(このやまのなかにきたのでございます。)
この山の中に来たのでございます。
(おとうさまやおかあさまや、ばあやたちはどうしているでしょう。)
おとうさまやおかあさまや、ばあやたちはどうしているでしょう。
(そのひとたちにもにどとあうこともできないみのうえになりました。」)
その人たちにも二度と会うこともできない身の上になりました。」
(といいました。そして、)
といいました。そして、
(「あなたがたはいったいどうしてこんなところへいらしったのです。)
「あなた方はいったいどうしてこんなところへいらしったのです。
(ここはおにのいわやで、これまでよそからにんげんのきたことはありません。」)
ここは鬼の岩屋で、これまでよそから人間の来たことはありません。」
(といいました。らいこうは、そこで、)
といいました。頼光は、そこで、
(「いや、わたしたちはてんしさまのおいいつけで、)
「いや、わたしたちは天子さまのおいいつけで、
(おにをたいじにきたのだから、あんしんしておいでなさい。」)
鬼を退治に来たのだから、安心しておいでなさい。」
(といいきかせますと、むすめはたいそうよろこんで、)
といいきかせますと、娘はたいそうよろこんで、
(「それではこのかわをまたずんずんのぼっておいでになりますと、)
「それではこの川をまたずんずん上っておいでになりますと、
(てつのもんがあって、もんのりょうわきにくろおにとあかおにがばんをしています。)
鉄の門があって、門の両脇に黒鬼と赤鬼が番をしています。
(もんのなかにはるりのごてんがあって、)
門の中にはるりの御殿があって、
(そのにわにははるとなつとあきとふゆのけしきがいっぱいにつくってあります。)
その庭には春と夏と秋と冬の景色がいっぱいにつくってあります。
(しゅてんどうじはそのごてんのなかで、よるひるおさけをのんで、)
酒呑童子はその御殿の中で、夜昼お酒を飲んで、
(わたくしどもにうたをうたったり、おどりをおどらせたり、)
わたくしどもに歌を歌ったり、踊りを踊らせたり、
(てあしをさすらせたりして、あきるとつかまえて、)
手足をさすらせたりして、あきるとつかまえて、
(むごたらしくいきちをすって、)
むごたらしく生き血を吸って、
(ほねとかわばかりにしてすててしまいます。)
骨と皮ばかりにして捨ててしまいます。
(このとおりきょうも、ころされたおともだちのちのついたきものを)
このとおり今日も、ころされたお友達の血のついた着物を
(こうしてあらっているのです。」といいました。)
こうして洗っているのです。」といいました。
(らいこうはむすめをなぐさて、おしえられたとおりいきますと、)
頼光は娘を慰て、教えられたとおり行きますと、
(なるほどおおきないかめしいてつのもんがむこうにみえて、)
なるほど大きないかめしい鉄の門が向こうに見えて、
(くろおにとあかおにがばんをしていました。)
黒鬼と赤鬼が番をしていました。