酒呑童子(大江山) 7
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(しゅてんどうじはそうきいて、すっかりあんしんしました。)
酒呑童子はそう聞いて、すっかり安心しました。
(「それはきのどくなことだ。)
「それは気の毒なことだ。
(まあ、ゆっくりやすんで、さけでものんでいくがいい。」)
まあ、ゆっくり休んで、酒でも飲んで行くがいい。」
(こういうとらいこうも、)
こういうと頼光も、
(「それはごちそうです。しつれいではございますが、)
「それはごちそうです。失礼ではございますが、
(わたくしどももちょうどさけをもってまいりましたから、)
わたくしどももちょうど酒を持ってまいりましたから、
(このほうものんでいただきたいものです。」)
この方も飲んで頂きたいものです。」
(といいました。)
といいました。
(「それはありがたい。それではさかもりをはじめようか。」)
「それはありがたい。それでは酒盛りをはじめようか。」
(どうじはこういって、おおぜいのこしもとやけらいにいいつけて、)
童子はこういって、大ぜいの腰元や家来にいいつけて、
(さけさかなをはこばせました。)
酒さかなを運ばせました。
(しゅてんどうじはそれでもまだゆだんなく、)
酒呑童子はそれでもまだ油断なく、
(ろくにんのやまぶしをためしてみるつもりで、)
六人の山伏を試してみるつもりで、
(「それではまずきゃくじんたちに、わたしのすすめるさけをのんでもらって、)
「それではまず客人たちに、わたしの勧める酒を飲んでもらって、
(それからこんどはわたしがごちそうになることにしよう。」)
それからこんどはわたしがごちそうになることにしよう。」
(といって、しゅてんどうじはおおきなさかずきになみなみ)
といって、酒呑童子は大きな杯になみなみ
(にんげんのいきちをしぼっていれて、)
人間の生き血を絞って入れて、
(「さあ、このさけをのめ。」)
「さあ、この酒を飲め。」
(といって、らいこうにさしました。)
といって、頼光にさしました。
(らいこうはこまったかおもしないで、ひといきにのみほしてしまいました。)
頼光は困った顔もしないで、一息に飲みほしてしまいました。
など
(それからほうしょう、つぎはつなと、かわるがわるつぎからつぎへさかずきをまわして、)
それから保昌、次は綱と、かわるがわる次から次へ杯をまわして、
(おしまいにしゅてんどうじにかえしました。)
おしまいに酒呑童子に返しました。
(「さけばかりではさびしい。さかなもくえ。」)
「酒ばかりではさびしい。さかなも食え。」
(しゅてんどうじはこういって、こんどはなまなましいにんげんのにくをだしました。)
酒呑童子はこういって、こんどは生ま生ましい人間の肉を出しました。
(らいこうたちはそのにくをきって、)
頼光たちはその肉を切って、
(さもうまそうにしたつづみをうちながらたべました。)
さもうまそうに舌鼓をうちながら食べました。
(しゅてんどうじはらいこうたちがわるびれもしないで、)
酒呑童子は頼光たちが悪びれもしないで、
(いきちのおさけでも、なまにくのおさかなでも、)
生き血のお酒でも、生ま肉のおさかなでも、
(ひきうけてくれたので、)
引き受けてくれたので、
(みるからじょうきげんになって、)
見るから上機嫌になって、
(「こんどはおまえたちのもってきたさけのごちそうになろうじゃないか。」)
「こんどはお前たちの持って来た酒のごちそうになろうじゃないか。」
(といいました。)
といいました。