酒呑童子(大江山) 8
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問題文
(らいこうはさっそくつなにいいつけて、)
頼光はさっそく綱にいいつけて、
(さっきかみさまからいただいた「かみのほうべんおにのどくざけ」をだして、)
さっき神様から頂いた「神の方便鬼の毒酒」を出して、
(しゅてんどうじのおおさかずきになみなみとつぎました。)
酒呑童子の大杯になみなみとつぎました。
(しゅてんどうじはひといきにのみほして、)
酒呑童子は一息に飲みほして、
(これもさもうまそうにしたつづみをうちながら、)
これもさもうまそうに舌鼓をうちながら、
(「これはうまいさけだ。もういっぱいくれ。」)
「これはうまい酒だ。もう一ぱいくれ。」
(とさかずきをだしました。)
と杯を出しました。
(らいこうはこころのなかではしめたとおもいながら、)
頼光は心の中ではしめたと思いながら、
(うわべはなにげないかおをして、)
うわべは何気ない顔をして、
(「どうもおくちにかなってまんぞくです。)
「どうもお口にかなって満足です。
(それではおさけだけではおさびしいでしょうから、)
それではお酒だけではおさびしいでしょうから、
(こんどはおさかなをいたしましょう。」)
こんどはおさかなをいたしましょう。」
(といって、たちあがって、おうぎをつかいながらまいをまいました。)
といって、立ち上がって、扇をつかいながら舞いを舞いました。
(してんのうはこえをあわせてひょうしをとりながら、)
四天王は声を合わせて拍子をとりながら、
(ふしおもしろくうたをうたいました。)
節おもしろく歌を歌いました。
(それをみると、しゅてんどうじも、てしたのおにたちも、)
それを見ると、酒呑童子も、手下の鬼たちも、
(おもしろそうにわらいながら、すすめられるままに、)
おもしろそうに笑いながら、すすめられるままに、
(「かみのほうべんおにのどくざけ」をぐいぐいひきうけて、)
「神の方便鬼の毒酒」をぐいぐい引き受けて、
(いくらでものみました。)
いくらでも飲みました。
(そのうちにだんだんおさけのききめがあらわれてきて、)
そのうちにだんだんお酒のききめが現れてきて、
(しゅてんどうじはじめおにどもは、みんなごろごろよいたおれて、)
酒呑童子はじめ鬼どもは、みんなごろごろ酔い倒れて、
(しょうたいがなくなってしまいました。)
正体がなくなってしまいました。
(らいこうたちはおにのすっかりたおれたところをみすましますと、)
頼光たちは鬼のすっかり倒れたところを見すましますと、
(おいのなかからよろいやかぶとをだして、しっかりきこみました。)
笈の中から鎧や兜を出して、しっかり着こみました。
(そしてろくにんいちどにかたなをぬいて、)
そして六人一度に刀をぬいて、
(しゅてんどうじのねているざしきにとびこみますと、)
酒呑童子の寝ている座敷にとびこみますと、
(しゅてんどうじはまるでてあしをしほうからてつのくさりで)
酒呑童子はまるで手足を四方から鉄の鎖で
(かたくつながれているように、)
かたくつながれているように、
(いくじなくねこんでいました。)
いくじなく寝込んでいました。
(らいこうはすぐかたなをふりあげてしゅてんどうじのおおきなくびを)
頼光はすぐ刀をふり上げて酒呑童子の大きな首を
(ごろりとうちおとしてしまいました。)
ごろりと打ち落としてしまいました。
(しゅてんどうじのてあしはそのままうごけなくなりましたが、)
酒呑童子の手足はそのまま動けなくなりましたが、
(きられたくびだけはめをさまして、すっとそらにとびあがりました。)
切られた首だけは目をさまして、すっと空に飛び上がりました。