卒業32
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問題文
(おさむさんはいつかかんのにゅういんだった。)
修さんは5日間の入院だった。
(きずがまだいたむのであるくのがたいへんなので)
傷がまだ痛むので歩くのが大変なので
(まつばづえをついてたいいんした。)
松葉杖をついて退院した。
(あかねさんがだんなさんといっしょにむかえにきてくれた。)
茜さんが旦那さんと一緒に迎えに来てくれた。
(「あかねさんありがとうございます。」)
「茜さんありがとうございます。」
(「けがしたのがめぐみちゃんじゃなくてよかったわ」)
「けがしたのが恵ちゃんじゃなくて良かったわ」
(「でも・・、おさむさんにこんなけがさせちゃって・・・。」)
「でも・・、修さんにこんなケガさせちゃって・・・。」
(「あんがいよろこんでるんじゃないの?」)
「案外喜んでるんじゃないの?」
(「えっ?!」)
「えっ?!」
(かいけいをすませたおさむさんがもどってきた。)
会計を済ませた修さんが戻ってきた。
(「あかねすまなかったな、せっかくのやすみなのに)
「茜すまなかったな、せっかくの休みなのに
(だんなさんにもせわかけちゃったな。」)
旦那さんにも世話かけちゃったな。」
(「いいのよてんちょう、どらいぶだとおもえばさ。」)
「いいのよ店長、ドライブだと思えばさ。」
(わたしたちはあかねさんのいっかにおくってもらいてんまでもどった。)
私たちは茜さんの一家に送ってもらい店まで戻った。
(かうべるのますたーもしんぱいしてくれていて、)
カウベルのマスターも心配してくれていて、
(かいきいわいだとけーきをはこんできてくれた。)
快気祝いだとケーキを運んできてくれた。
(おみせのじむしょで、おさむさんとけーきをたべながら)
お店の事務所で、修さんとケーキを食べながら
(「ほんとうにすみませんでした。」)
「本当にすみませんでした。」
(「めぐのせいじゃない、けいさつもいってただろ?)
「メグのせいじゃない、警察も言ってただろ?
(あのれんちゅうはふだつきのあくだって。」)
あの連中は札付きの悪だって。」
(「あのときはほんとうにどうしようかとおもいました。)
「あの時は本当にどうしようかと思いました。
(おさむさんがしんじゃうって・・・。」)
修さんが死んじゃうって・・・・。」
(「めぐのこしてしんだりしないよ。」)
「メグ残して死んだりしないよ。」
(そのことばにむねがあつくなった。)
その言葉に胸が熱くなった。
(えっなに?このきもち・・・。)
えっ何?この気持ち・・・・。
(「なあめぐ。」)
「なあメグ。」
(「なにですか?」)
「何ですか?」
(「またきょうといこうか。」)
「また京都行こうか。」
(「きょうとですか?」)
「京都ですか?」
(「としひこがなくなって3ねんがたったんだ、あいつのすきだったばしょ)
「俊彦が亡くなって3年が経ったんだ、アイツの好きだった場所
(またいってみないか?」)
また行ってみないか?」
(「そうですね、らいげつはおひがんだしいきましょうか。」)
「そうですね、来月はお彼岸だし行きましょうか。」
(9がつにはいっておさむさんのきずもよくなり、つえなしであるけるようになったので)
9月に入って修さんの傷も良くなり、杖無しで歩けるようになったので
(きょうとへでかけた)
京都へ出かけた
(とまるりょかんはまえとおなじ。)
泊まる旅館は前と同じ。
(なかいさんもおぼえてくれていた。)
中居さんも覚えてくれていた。
(おさむさんはきょうとへつくとひとりで、えみこさんにあいにでかけた。)
修さんは京都へ着くと一人で、恵美子さんに会いに出かけた。
(わたしはにねんざかのなかほどにあるきっさてんにずっといきたくてたずねてみた)
私は二寧坂の中ほどにある喫茶店にずっと行きたくて尋ねてみた
(ちゅうがくせいのころきょうとのかんこうあんないのざっしにあったみせ)
中学生の頃京都の観光案内の雑誌にあった店
(このみせのあんみつがどうしてもたべたかった。)
この店のあんみつがどうしても食べたかった。
(とよとみひでよしのせいしつねねがさんねんざかのしたがわにすまいがあり、)
豊臣秀吉の正室ねねが三寧坂の下側に住まいがあり、
(きよみずでらへのおまいりにあるいていたさか。)
清水寺へのお参りに歩いていた坂。
(さんねんざかでころぶとさんねんでしぬ、にねんざかでころぶとにねんでしぬといわれているけど、)
三寧坂で転ぶと三年で死ぬ、二寧坂で転ぶと二年で死ぬと言われているけど、
(ここをとおるひとたちがころんでけがをしないようにと)
ここを通る人たちが転んでけがをしないようにと
(いいつたえられていること。)
言い伝えられている事。
(もういっかしょいきたかったところは、てつがくのみち。)
もう一か所行きたかったところは、哲学の道。
(ぎんかくじとなんぜんじのあいだをむすぶみち。)
銀閣寺と南禅寺の間を結ぶ道。
(このみちをゆっくりとあるきたかった。)
この道をゆっくりと歩きたかった。
(はるはさくらがきれいにさいてとてもふぜいのあるみち。)
春は桜が綺麗に咲いてとても風情のある道。
(いきたかったばしょにいくことができて)
行きたかった場所に行くことが出来て
(うれしかった。)
嬉しかった。
(りょかんへもどると、おさむさんはまだかえってなかった)
旅館へ戻ると、修さんはまだ帰ってなかった
(さきにおふろにはいりべやでのんびりしていた。)
先にお風呂に入り部屋でのんびりしていた。
(ゆうしょくのじかんになってもかえってこない)
夕食の時間になっても帰ってこない
(どうしたんだろう・・・。)
どうしたんだろう・・・・。
(しんぱいになってしんきょうごくへいってみた。)
心配になって新京極へ行ってみた。
(おみやげをみながら、おさむさんをさがす。)
お土産を見ながら、修さんを探す。
(みつけられないまま、りょかんへもどった。)
見つけられないまま、旅館へ戻った。
(けっきょくそのにっしゅうさんがかえってくることはなかった。)
結局その日修さんが帰ってくることはなかった。
(ひとばんじゅうべやでおさむさんをまちつづけて、)
一晩中部屋で修さんを待ち続けて、
(あさがたいつのまにかうたたねをしてしまった。)
朝方いつの間にかうたた寝をしてしまった。
(どのくらいじかんがたっただろう。)
どのくらい時間が経っただろう。
(わたしのせなかにもうふがかけられていた。)
私の背中に毛布が掛けられていた。
(めをさますと、まどぎわのいすにこしをかけたおさむさんがみえた。)
目を覚ますと、窓際の椅子に腰を掛けた修さんが見えた。
(おさむさんはたばこすいながら、こーひーをのんでいた。)
修さんは煙草吸いながら、コーヒーを飲んでいた。
(まどのそときょうとのまちなみをみながら、)
窓の外京都の街並みを見ながら、
(とおくをみるようなめをしていた。)
遠くを見るような目をしていた。
(わたしはそっとおきておさむさんにはなしかけた。)
私はそっと起きて修さんに話しかけた。
(「おかえりなさい。」)
「お帰りなさい。」
(「おこしちゃったね、まっててくれたの?」)
「起こしちゃったね、待っててくれたの?」
(「まちくたびれました・・・。」)
「待ちくたびれました・・・。」
(そういうとなみだがでた。)
そう言うと涙が出た。
(おさむさんがおどろいたかおをしてわたしをみている。)
修さんが驚いた顔をして私を見ている。
(「どうした?」)
「どうした?」
(「もう・・・いやです・・・。)
「もう・・・いやです・・・・。
(たいせつなひとがいなくなるのは・・・、)
大切な人がいなくなるのは・・・・、
(だから・・・、いなく・・・いなくならないで!!」)
だから・・・・、いなく・・・いなくならないで!!」
(そういうとおさむさんにしがみついていた。)
そう言うと修さんにしがみついていた。
(「めぐ・・・・・。」)
「メグ・・・・・。」
(おさむさんはわたしのことをいだきしめてなんどもあやまった。)
修さんは私の事を抱きしめて何度も謝った。
(「ごめん・・・、ごめんな。)
「ごめん・・・、ごめんな。
(ふあんだったよな・・・ひとりで。)
不安だったよな…一人で。
(もうどこにもいかない、おれはおまえのそばにいる。)
もう何処にも行かない、俺はお前の傍にいる。
(このさきずっと・・・・・、だから・・・)
この先ずっと・・・・・、だから・・・・
(めぐ、おまえもおれのそばをはなれるな!!」)
メグ、お前も俺の傍を離れるな!!」
(「おさむさん・・・。」)
「修さん・・・・。」
(わたしはただないていたでも、かなしくてないているのではない)
私はただ泣いていたでも、悲しくて泣いているのではない
(うれしくてないていた。)
嬉しくて泣いていた。
(としひこくん、わたしおさむさんのことだいじなひとになってる、)
俊彦君、私修さんの事大事な人になってる、
(なくしたくない、いいよね?)
失くしたくない、いいよね?
(としひこくんからそつぎょうしてもいいよね?)
俊彦君から卒業してもいいよね?
(おさむさんとこのせんせいきていてもいいよね?)
修さんとこの先生きていてもいいよね?
(そのとき、)
その時、
(めぐみ・・・よかった・・・しあわせになれ。)
恵・・・良かった・・・しあわせになれ。
(おさむさんとおれのぶんまでしあわせになれ)
修さんと俺の分までしあわせになれ
(そうきこえたきがした。)
そう聞こえた気がした。
(おわり)
完