銀河鉄道の夜 38

(沈没船の乗客 6/6)
その氷山の流れる北のはての海で、小さな船に乗って、風や凍りつく潮水やはげしい寒さとたたかって、だれかが一生けんめいはたらいている。・・・)
関連タイピング
-
自作小説
プレイ回数72長文1966打 -
プレイ回数2224短文254打
-
自作小説
プレイ回数27長文1550打 -
自作小説
プレイ回数17長文2060打 -
岡本綺堂 半七捕物帳シリーズ
プレイ回数630長文2757打 -
岡本綺堂 半七捕物帳シリーズ 第八話
プレイ回数445長文2187打 -
坂口安吾の小説です。青空文庫から引用
プレイ回数292長文2391打 -
岡本綺堂 半七捕物帳 第八話
プレイ回数385長文2403打
問題文
(そこからちいさいいのりのこえがきこえ)
そこから小さいいのりの声がきこえ
(じょばんにもかむぱねるらもいままでわすれていた)
ジョバンニもカムパネルラもいままで忘れていた
(いろいろのことをぼんやりおもいだしてめがあつくなりました。)
いろいろのことをぼんやり思い出して目が熱くなりました。
((ああ、そのおおきなうみはぱしふぃっくというのではなかったろうか。)
(ああ、その大きな海はパシフィックというのではなかったろうか。
(そのひょうざんのながれるきたのはてのうみで、)
その氷山の流れる北のはての海で、
(ちいさなふねにのって、)
小さな船に乗って、
(かぜやこおりつくしおみずやはげしいさむさとたたかって、)
風や凍りつく潮水やはげしい寒さとたたかって、
(だれかがいっしょうけんめいはたらいている。)
だれかが一生けんめいはたらいている。
(ぼくはそのひとにほんとうにきのどくで)
ぼくはそのひとにほんとうに気の毒で
(そしてすまないようなきがする。)
そしてすまないような気がする。
(ぼくはそのひとのさいわいのために)
ぼくはそのひとのさいわいのために
(いったいどうしたらいいのだろう。))
いったいどうしたらいいのだろう。)
(じょばんにはくびをたれて、すっかりふさぎこんでしまいました。)
ジョバンニは首をたれて、すっかりふさぎこんでしまいました。
(「なにがしあわせかわからないです。)
「なにがしあわせかわからないです。
(ほんとうにどんなつらいことでも)
ほんとうにどんなつらいことでも
(それがただしいみちをすすむなかでのできごとなら、)
それがただしいみちを進む中でのできごとなら、
(とうげののぼりもくだりもみんなほんとうのこうふくにちかづくためのひとあしずつですから。」)
峠の上りも下りもみんなほんとうの幸福に近づくための一足ずつですから。」
(とうだいもりがなぐさめていいました。)
燈台守がなぐさめていいました。
(「ああそうです。ただいちばんのさいわいにいたるために)
「ああそうです。ただいちばんのさいわいにいたるために
(いろいろのかなしみもみんなおぼしめしです。」)
いろいろのかなしみもみんなおぼしめしです。」
(せいねんがいのるようにそうこたえました。)
青年が祈るようにそう答えました。
(そしてあのきょうだいはもうつかれて)
そしてあの姉弟はもうつかれて
(めいめいぐったりせきによりかかってねむっていました。)
めいめいぐったり席によりかかってねむっていました。
(さっきのあのはだしだったあしには)
さっきのあのはだしだった足には
(いつかしろいやわらかなくつをはいていたのです。)
いつか白い柔らかな靴をはいていたのです。