銀河鉄道の夜 46

(渓谷と高原 1/3)
向こう岸もまた黒いいろの崖が、川の岸を下流に下るにしたがって、だんだん高くなって行くのでした。
関連タイピング
-
岡本綺堂 半七捕物帳シリーズ 第九話
プレイ回数462長文1821打 -
この有名映画てんこ盛りのこのゲームやりませんか?
プレイ回数42041430打 -
自作小説
プレイ回数90長文1550打 -
岡本綺堂 半七捕物帳シリーズ 第九話
プレイ回数482長文2673打 -
「未来の友人」
プレイ回数1152長文1692打 -
好評だった小説の続きです
プレイ回数5535長文797打 -
夏目漱石「こころ」3-75
プレイ回数555長文かな1868打 -
夏目漱石「こころ」3-76
プレイ回数633長文1751打
問題文
(そのとききしゃはだんだんかわからはなれて)
そのとき汽車はだんだん川からはなれて
(がけのうえをとおるようになりました。)
崖の上を通るようになりました。
(むこうぎしもまたくろいいろのがけが)
向こう岸もまた黒いいろの崖が
(かわのきしをかりゅうにくだるにしたがって、だんだんたかくなっていくのでした。)
川の岸を下流に下るにしたがって、だんだん高くなって行くのでした。
(そしてちらっとおおきなとうもろこしのきをみました。)
そしてちらっと大きなとうもろこしの木を見ました。
(そのははぐるぐるにちぢれ)
その葉はぐるぐるにちぢれ
(はのしたにはもううつくしいみどりいろのおおきなほうが)
葉の下にはもう美しい緑いろの大きな苞が
(あかいけをはいてしんじゅのようなみもちらっとみえたのでした。)
赤い毛を吐いて真珠のような実もちらっと見えたのでした。
(それはだんだんかずをふやしてきて、)
それはだんだん数を増やしてきて、
(もういまはれつのようにがけとせんろとのあいだにならび、)
もういまは列のように崖と線路との間にならび、
(おもわずじょばんにがまどからかおをひっこめて)
思わずジョバンニが窓から顔を引っこめて
(むこうがわのまどをみましたときは、)
向こう側の窓を見ましたときは、
(うつくしいそらののはらのちへいせんのはてまで、)
美しいそらの野原の地平線のはてまで、
(そのおおきなとうもろこしのきが)
その大きなとうもろこしの木が
(ほとんどいちめんにうえられてさやさやかぜにゆらぎ、)
ほとんどいちめんに植えられてさやさや風にゆらぎ、
(そのりっぱなちぢれたはのさきからは)
そのりっぱなちぢれた葉のさきからは
(まるでひるのあいだにいっぱいにっこうをすったこんごうせきのように、)
まるでひるの間にいっぱい日光を吸った金剛石のように、
(つゆがいっぱいについて)
露がいっぱいについて
(あかやみどりやきらきらもえてひかっているのでした。)
赤や緑やきらきら燃えて光っているのでした。
(かむぱねるらが、)
カムパネルラが、
(「あれとうもろこしだねえ。」)
「あれとうもろこしだねえ。」
(とじょばんににいいましたけれども)
とジョバンニにいいましたけれども
(じょばんにはどうしてもきもちがなおりませんでしたから、)
ジョバンニはどうしても気持ちがなおりませんでしたから、
(ただぶっきらぼうにのはらをみたまま、)
ただぶっきらぼうに野原をみたまま、
(「そうだろう。」)
「そうだろう。」
(とこたえました。)
と答えました。