銀河鉄道の夜 58
九、ジョバンニの切符 30/36
(サザンクロス 3/4)
(サザンクロス 3/4)
「ハレルヤハレルヤ。」
明るくたのしくみんなの声はひびき、みんなはその空の遠くから、つめたい空の遠くから、すきとおったなんともいえずさわやかなラッパの声をききました。
明るくたのしくみんなの声はひびき、みんなはその空の遠くから、つめたい空の遠くから、すきとおったなんともいえずさわやかなラッパの声をききました。
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問題文
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(「はれるやはれるや。」)
「ハレルヤハレルヤ。」
(あかるくたのしくみんなのこえはひびき、)
明るくたのしくみんなの声はひびき、
(みんなはそのそらのとおくから、)
みんなはそのそらの遠くから、
(つめたいそらのとおくから、)
つめたいそらの遠くから、
(すきとおったなんともいえずさわやかならっぱのこえをききました。)
すきとおったなんともいえずさわやかなラッパの声をききました。
(そしてたくさんのしぐなるやでんとうのあかりのなかを)
そしてたくさんのシグナルや電燈の灯のなかを
(きしゃはだんだんゆるやかになり、)
汽車はだんだんゆるやかになり、
(とうとうじゅうじかのちょうどまむかいにいってすっかりとまりました。)
とうとう十字架のちょうどま向かいに行ってすっかりとまりました。
(「さあ、おりるんですよ。」)
「さあ、下りるんですよ。」
(せいねんはおとこのこのてをひき、)
青年は男の子の手をひき、
(だんだんむこうのでぐちのほうへあるきだしました。)
だんだん向こうの出口の方へ歩き出しました。
(「じゃさよなら。」)
「じゃさよなら。」
(おんなのこがふりかえってふたりにいいました。)
女の子がふりかえってふたりにいいました。
(「さよなら。」)
「さよなら。」
(じょばんにはまるでなきだしたいのをこらえて)
ジョバンニはまるで泣き出したいのをこらえて
(おこったようにぶっきらぼうにいいました。)
怒ったようにぶっきらぼうにいいました。
(おんなのこはいかにもつらそうにめをおおきくしてもいちどこっちをふりかえって、)
女の子はいかにもつらそうに目を大きくしても一度こっちをふりかえって、
(それからあとはもうだまってでていってしまいました。)
それからあとはもうだまって出て行ってしまいました。
(きしゃのなかはもうはんぶんいじょうもあいてしまい、)
汽車の中はもう半分以上もあいてしまい、
(にわかにがらんとしてさびしくなり)
にわかにがらんとしてさびしくなり
など
(かぜがいっぱいにふきこみました。)
風がいっぱいに吹きこみました。
(そしてみているとみんなはつつましくれつをくんで、)
そして見ているとみんなはつつましく列を組んで、
(あのじゅうじかのまえのあまのがわのなぎさにひざまずいていました。)
あの十字架の前の天の川のなぎさにひざまずいていました。
(そしてそのみえないあまのがわのみずをわたって、)
そしてその見えない天の川の水をわたって、
(ひとりのこうごうしいしろいきもののひとが)
ひとりの神々しい白いきものの人が
(てをのばしてこっちへくるのをふたりはみました。)
手をのばしてこっちへくるのをふたりは見ました。
(けれどもそのときはもうがらすのよびこはならされ、)
けれどもそのときはもうガラスの呼子は鳴らされ、
(きしゃはうごきだし、)
汽車はうごき出し、
(とおもううちにぎんいろのきりがかわしものほうからすうっとながれてきて、)
とおもううちに銀いろの霧が川下のほうからすうっと流れてきて、
(もうそっちはなにもみえなくなりました。)
もうそっちは何も見えなくなりました。
(ただたくさんのくるみのきが)
ただたくさんのくるみの木が
(さんさんとひからしてそのきりのなかにたち、)
さんさんと光らしてその霧の中に立ち、
(きんのえんこうをもったでんきりすが)
黄金(きん)の円光をもった電気リスが
(かわいいかおをそのなかからちらちらのぞいているだけでした。)
かわいい顔をその中からちらちらのぞいているだけでした。