オオカミ王ロボ 7
偕成社文庫
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問題文
(なつのあさ、まだよるがあけきらぬころ、いったいはいさみたってしゅっぱつした。)
夏の朝、まだ夜が明けきらぬ頃、一隊は勇み立って出発した。
(ほどなく、このおおきないぬたちは、うれしそうなさけびごえをあげはじめた。)
ほどなく、この大きな犬たちは、嬉しそうな叫び声を上げ始めた。
(はやくも、えもののにおいをかぎつけたのだ。)
早くも、獲物の匂いを嗅ぎつけたのだ。
(さんきろもいかないうちに、)
三キロもいかないうちに、
(からんぽーのむほうものどものはいいろがかったすがたが、めにうつった。)
カランポーの無法者どもの灰色がかった姿が、目にうつった。
(りょうけんとひとはいよいよあしをはやめ、もうれつなついげきにうつった。)
猟犬と人はいよいよ足を早め、猛烈な追撃にうつった。
(うるふはうんどのしごとというのは、ただおおかみをおいつめるまでで、)
ウルフハウンドの仕事というのは、ただオオカミを追い詰めるまでで、
(あとは、しゅじんがかけつけてじゅうでうちとるのをまっていればよい。)
後は、主人が駆けつけて銃で打ち取るのを待っていれば良い。
(これはてきさすのだいへいげんでは、いともたやすくできた。)
これはテキサスの大平原では、いともたやすくできた。
(ところがここでは、すこしようすがちがう。ちけいがものをいうのである。)
ところがここでは、少し様子が違う。地形がものをいうのである。
(だいたいろぼがこのちをすみかにしたことが、すでにおどろくべきことなのである。)
だいたいロボがこの地を住処にしたことが、すでに驚くべきことなのである。
(かれはたくみに、このちけいをりようした。)
彼は巧みに、この地形を利用した。
(ここからんぽーでは、いわだらけのたにまとしりゅうのむれが、)
ここカランポーでは、岩だらけの谷間と支流の群れが、
(あらゆるところでへいげんをさえぎっている。)
あらゆるところで平原をさえぎっている。
(ろぼは、そうゆうもののいちばんちかいところをめざしてかけつけ、)
ロボは、そうゆうものの一番近いところを目指して駆けつけ、
(あっさりわたって、ばじょうのにんげんをひきはなしてしまうのだ。)
あっさり渡って、馬上の人間を引き離してしまうのだ。
(それからおおかみのいったいはちりぢりにわかれる。)
それからオオカミの一隊は散り散りに分かれる。
(そこでいぬのほうもわかれるのだが、)
そこで犬の方も分かれるのだが、
(とおくへいってからまたおおかみどもがあつまると、もちろんそのときには、)
遠くへ行ってからまたオオカミどもが集まると、もちろんそのときには、
(ぜんぶのいぬがそろうというわけにはいかない。)
全部の犬が揃うという訳にはいかない。
(こうなるとおおかみのほうは、かずでもまけないから、)
こうなるとオオカミの方は、数でも負けないから、
(たちまちはんげきにうつって、あいてをころしたり、ひどいきずをおわせるのだ。)
たちまち反撃にうつって、相手を殺したり、ひどい傷をおわせるのだ。
(そのよるたなりーがいぬをよびあつめてみると、もどったのはわずかろくとうで、)
その夜タナリーが犬を呼び集めてみると、もどったのはわずか六頭で、
(しかも、なかのにとうはみるもむざんなかききずをおっていた。)
しかも、なかの二頭は見るも無残な掻き傷をおっていた。
(それでも、このおおかみおうのくびをとろうとして、)
それでも、このオオカミ王の首をとろうとして、
(たなりーはもうにどほどがんばった。)
タナリーはもう二度ほど頑張った。
(だが、そのけっかは、はじめのときとすこしもかわりばえがしなかったようだ。)
だが、その結果は、初めの時と少しも代り映えがしなかったようだ。
(おまけにさいごのときには、たいせつなうまをころばせてころしてしまった。)
おまけに最後のときには、大切な馬を転ばせて殺してしまった。
(こんなわけで、たなりーはこのしごとにつくづくいやけがさし、)
こんなわけで、タナリーはこの仕事につくづく嫌気がさし、
(あきらめて、てきさすへかえってしまったのだ。)
あきらめて、テキサスへ帰ってしまったのだ。