魯迅 阿Q正伝その29

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(だい8しょう かくめいをゆるさず)

第八章 革命を許さず

(みしょうのじんしんはひびにあんせいになり、うわさによればかくめいとうはじょうないにはいったが、)

未荘の人心は日々に安静になり、噂に拠れば革命党は城内に入ったが、

(なにもかくべつかわったことがない。)

何も格別変ったことがない。

(ちけんさまはやっぱりもとのいちにいてなにかめいもくがかわっただけだ。)

知県様はやっぱり元の位置にいて何か名目が変っただけだ。

(きょじんだんなはなにになったか。これらのめいもくはみしょうのひとにはみなわからなかった。)

挙人老爺は何になったか。これ等の名目は未荘の人には皆わからなかった。

(おかみがへいたいをつれてくることは、これもまえからいつもあることで、)

お上が兵隊を連れて来ることは、これも前からいつもあることで、

(かくべつふしぎなことでもないが、ただひとつおそろしいのは、)

格別不思議なことでもないが、ただ一つ恐ろしいのは、

(ほかにいくらかふりょうぶんしがまじっていてないぶのじょうらんをはかっていることだ。)

ほかに幾らか不良分子が交じっていて内部の擾乱を計っていることだ。

(そうしてふたことめにはてをうごかしてべんつをきった。)

そうして二言目には手を動かして辮子を剪きった。

(きけばとなりむらのかよいふねをだすななきんはとちゅうでひきつかまって、)

聴けば隣村の通い船を出す七斤は途中で引掴まって、

(にんげんらしくないようなていさいにされてしまったが、)

人間らしくないような体裁にされてしまったが、

(それさえたいしたきょうふのかずにはいらない。)

それさえ大した恐怖の数に入らない。

(みしょうのひとはほんらいじょうないにゆくことはすくないのに、)

未荘の人は本来城内に行くことは少いのに、

(たまたまいくようじがあってもさしひかえてしまうから、)

たまたま行く用事があっても差控えてしまうから、

(このきけんにぶつかるものもすくない。)

この危険にぶつかる者も少ない。

(あきゅうもじょうないにいってともだちにあいたいとおもっていたが、)

阿Qも城内に行って友達に逢いたいと思っていたが、

(このはなしをきくとやめなければならない。)

この話を聞くとやめなければならない。

(だがみしょうのひともかいかくなしではすまされなかった。)

だが未荘の人も改革なしでは済まされなかった。

(いくにちのあと、べんつをあたまにまきこむものがちくぜんぞうかした。)

幾日の後、辮子を頭に巻込む者が逐漸増加した。

(てっとりはやくいうといちばんさいしょがもさいこうだ。)

手ッ取り早く言うと一番最初が茂才公だ。

など

(そのつぎがちょうししんとちょうはくがんだ。あとではあきゅうだ。)

その次が趙司晨と趙白眼だ。後では阿Qだ。

(これがもしなつならば、べんつをあたまのうえにまきこみ、)

これがもし夏ならば、辮子を頭の上に巻込み、

(あるいはひとつのかたまりにするのはもとよりなにもめずらしいことではないが、)

あるいは一つのかたまりにするのはもとより何も珍らしい事ではないが、

(いまはあきのくれで、このとくべつのさいじきがおこなわれたのは、)

今は秋の暮で、この特別の歳時記が行われたのは、

(べんつをまきこんだれんちゅうにとってはひじょうなえいだんといわなければならない。)

辮子を巻込んだ連中に取っては非常な英断と言わなければならない。

(みしょうとしてはこれもまたかいかくのひとつでないということはできない。)

未荘としてはこれもまた改革の一つでないということは出来ない。

(ちょうししんはあたまのうしろをそらぼうずにしてあるいた。)

趙司晨は頭の後ろを空坊主にして歩いた。

(これをみたひとはおおきなこえをだしていった。)

これを見た人は大きな声を出して言った。

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