半七捕物帳 勘平の死11

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岡本綺堂 半七捕物帳シリーズ 第三話

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問題文

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(「ねえ、やまとやのだんな。ぐそくちょうでなだけえものは、せいしょうこうさまといずみや)

「ねえ、大和屋の旦那。具足町で名高けえものは、清正公様と和泉屋

(だというくらいに、えどじゅうにしれわたっているごたいけだが、しつれいながらずいぶん)

だという位に、江戸中に知れ渡っている御大家だが、失礼ながら随分

(ふとりしまりだとみえますね。ねえ、そうでしょう。しゅうごろしをするような)

不取締りだと見えますね。ねえ、そうでしょう。主殺しをするような

(ふてえやつらに、めしをくわしてきゅうきんをやって、こうしてたいせつにかって)

太てえ奴らに、飯を食わして給金をやって、こうして大切に飼って

(おくんだからね」 みせのものはみんなかおをみあわせた。じゅうえもんもすこしあわてた。)

置くんだからね」 店の者はみんな顔をみあわせた。十右衛門も少し慌てた。

(「もし、おやぶん。まあ、おしずかに・・・・・・。このとおりおうらいにちこうございますから」)

「もし、親分。まあ、お静かに……。この通り往来に近うございますから」

(「だれにきこえたってかまうもんか。どうせひきまわしのでるうちだ」と、)

「誰に聞えたって構うもんか。どうせ引廻しの出る家だ」と、

(はんしちはせせらわらった。「やい、こいつら。よくきけ。てめえたちはそろいもそろって)

半七はせせら笑った。「やい、こいつら。よく聞け。てめえたちは揃いも揃って

(ふらちなやつだ。しゅうごろしをほうばいにもっていながら、しらんかおをして)

不埒な奴だ。主殺しを朋輩に持っていながら、知らん顔をして

(ほうこうしているというほうがあるとおもうか。ええ、うそをつけ。このなかにしゅうごろしの)

奉公しているという法があると思うか。ええ、嘘をつけ。このなかに主殺しの

(はりつけやろうがいるということは、おれがちゃんとしっているんだ。)

磔刑野郎がいるということは、俺がちゃんと知っているんだ。

(たかがもりっこみたようなこおんなひとりのいきさつから、だいじのしゅじんを)

多寡が守っ子みたような小女一人のいきさつから、大事の主人を

(ころすというような、そんなこころえちげえのだいそれたやろうをこれまで)

殺すというような、そんな心得ちげえの大それた野郎をこれまで

(かっておいたのがそもそものまちげえで、ここのしゅじんもよっぽどの)

飼って置いたのがそもそもの間ちげえで、ここの主人もよっぽどの

(あきめくらだ。おれがおせいぼにかんがらすのご、ろくわもしめてきてやるから、)

明きめくらだ。おれが御歳暮に寒鴉の五、六羽も絞めて来てやるから、

(くろやきにしてじやくにのめとそういってやれ。もし、やまとやのだんな。)

黒焼きにして持薬にのめとそう云ってやれ。もし、大和屋の旦那。

(おめえさんのめだまもちっとくもっているようだ。ものおきへいって、あくでに、さんど)

おめえさんの眼玉もちっと陰っているようだ。物置へ行って、灰汁で二、三度

(あらってきちゃあどうだね」)

洗って来ちゃあどうだね」

(なにをいうにもあいてがわるい、しかもさけにはよっている。てのつけようがないので、)

何をいうにも相手が悪い、しかも酒には酔っている。手の着けようがないので、

(ただだまってきいていると、はんしちはちょうしにのってまたどなった。)

ただ黙って聴いていると、半七は調子に乗って又呶鳴った。

など

(「だが、おれにとっちゃあしあわせだ。ここでしゅうごろしのとがにんを)

「だが、おれに取っちゃあ仕合わせだ。ここで主殺しの科人を

(ひっくくっていけば、はっちょうぼりのだんながたにもいいおせいぼができるというもんだ。)

引っくくっていけば、八丁堀の旦那方にも好い御歳暮が出来るというもんだ。

(さあ、こいつら、いけしゃあしゃあとしたつらをしていたって、どのねずみが)

さあ、こいつ等、いけしゃあしゃあとした面をしていたって、どの鼠が

(しろいかくろいかおれがもうにらんでいるんだ。てめえたちのしゅじんのようなあきめくらだと)

白いか黒いか俺がもう睨んでいるんだ。てめえ達の主人のような明きめくらだと

(おもうと、ちっとばかりあてがちがうぞ。いつりょううでがうしろへまわっても、)

思うと、ちっとばかり的が違うぞ。いつ両腕がうしろへ廻っても、

(けっしておれをうらむな。とんだうめかわのじょうるりで、なわかけるひとがうらめしいなんぞと)

決しておれを怨むな。飛んだ梅川の浄瑠璃で、縄かける人が怨めしいなんぞと

(つまらねえぐちをいうな。うそやじょうだんじゃねえ、しんみょうにかくごしていろ」)

詰まらねえ愚痴をいうな。嘘や冗談じゃねえ、神妙に覚悟していろ」

(じゅうえもんはたまらなくなって、はんしちのそばへおずおずよってきた。)

十右衛門は堪まらなくなって、半七の傍へおずおず寄って来た。

(「もし、おやぶん。おまえさんだいぶよっていなさるようだから、まあおくへいって)

「もし、親分。おまえさん大分酔っていなさるようだから、まあ奥へ行って

(ちっとおやすみなすってはどうでございます。みせさきであんまりおおきなこえを)

ちっとお休みなすってはどうでございます。店先であんまり大きな声を

(してくださると、せけんへたいして、まことにめいわくいたしますから。)

して下さると、世間へ対して、まことに迷惑いたしますから。

(おい、わきち。おやぶんをおくへごあんないもうして・・・・・・」)

おい、和吉。親分を奥へ御案内申して……」

(「はい」と、わきちはふるえながらはんしちのてをとろうとすると、)

「はい」と、和吉はふるえながら半七の手を取ろうとすると、

(かれはよこっつらをゆがむほどになぐられた。)

彼は横っ面をゆがむほどに撲られた。

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