半七捕物帳 槍突き5

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岡本綺堂 半七捕物帳シリーズ 第18話

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問題文

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(「あれがばけねこか」)

「あれが化け猫か」

(おってもとてもおいつきそうもないのと、またしゅうねんぶかくおいまわすひつようも)

追ってもとても追い付きそうもないのと、また執念ぶかく追いまわす必要も

(ないのとで、しちべえはまずあしもとにたたきおとされたちょうちんをひろおうとして、)

ないのとで、七兵衛は先ず足もとに叩き落とされた提灯を拾おうとして、

(みをかがめながらくらいじめんをさぐっているとき、どこからあらわれたのか、)

身をかがめながら暗い地面を探っている時、どこから現われたのか、

(ひとつのくろいかげがつかつかとはしってきて、こえもかけないでかれのかがんでいる)

一つの黒い影がつかつかと走って来て、声もかけないで彼の屈んでいる

(ひだりのわきばらをつこうとした。そのあしおとにはやくもきのついたしちべえは、)

左の脇腹を突こうとした。その足音に早くも気のついた七兵衛は、

(こひざをついてあやうくみをかわしたので、やりのほさきはがちりとつちをぬった。)

小膝をついて危く身をかわしたので、槍の穂先はがちりと土を縫った。

(そのえをつかんでおきなおろうとすると、あいてはすぐにほをぬいて、)

その柄をつかんで起き直ろうとすると、相手はすぐに穂をぬいて、

(いなずまのようなはやさでにのやりをついてきた。これもあやうくとびこえて、しちべえは)

稲妻のような速さで二の槍をついて来た。これも危く飛びこえて、七兵衛は

(ようようまっすぐにおきあがると、やりはつづいてかれのはらかまたのあたりへ)

ようようまっすぐに起きあがると、槍はつづいて彼の腹か股のあたりへ

(つきおろしてきたが、どれもさいわいにくうをながれてかれのみにはたたなかった。)

突きおろして来たが、どれも幸いに空をながれて彼の身には立たなかった。

(「ごようだ」 もうたまらなくなってこえをかけると、あいてはすぐにやりをひいて、)

「御用だ」 もう堪らなくなって声をかけると、相手はすぐに槍を引いて、

(くらいなかをいっさんににげてしまった。ねこのめをもたないしちべえは、かれのすがたを)

暗いなかを一散に逃げてしまった。猫の眼をもたない七兵衛は、彼の姿を

(なんにもみとめなかったのをざんねんにおもったが、じぶんにけがのなかったのを)

なんにも認めなかったのを残念に思ったが、自分に怪我のなかったのを

(さいわいにして、おちたちょうちんをようようにさがしあてた。しょうばいがらでよるはみをはなさない)

幸いにして、落ちた提灯をようように探しあてた。商売柄で夜は身を放さない

(ひうちぶくろからひうちいしをだして、おれたろうそくにひをつけてそこらをてらしてみたが、)

燧袋から燧石を出して、折れた蠟燭に火をつけてそこらを照らしてみたが、

(なにかのてがかりになりそうなものはみつからなかった。)

なにかの手がかりになりそうなものは見付からなかった。

(さっきのあやしいおんなと、いまのやりのぬしと、それとこれとをむすびつけてかんがえながら、)

さっきの怪しい女と、今の槍の主と、それとこれとを結びつけて考えながら、

(しちべえはそれからあさくさへいった。ぶっそうなうわさがごしょうねがいのひとびとをも)

七兵衛はそれから浅草へ行った。物騒な噂が後生ねがいの人々をも

(おびやかしたとみえて、じゅうやまいりもまいとしほどはにぎわっていなかった。)

おびやかしたとみえて、十夜詣りも毎年ほどは賑わっていなかった。

など

(きれたじゅずをたもとにしたしちべえも、こんやはおちつかないこころもちでごせっぽうをきいて)

切れた数珠を袂にした七兵衛も、今夜はおちつかない心持で御説法を聴いて

(かえった。かえりみちにはなにごともなかった。)

帰った。帰り途には何事もなかった。

(おくびょうなかごやのくちからもれたのであろう。このごろはしないにばけねこが)

臆病な駕籠屋の口から洩れたのであろう。この頃は市内に化け猫が

(あらわれるといううわさがたった。やりつきのうわさがしずまらないうちに、さらにばけねこの)

あらわれるという噂が立った。槍突きの噂が鎮まらないうちに、更に化け猫の

(うわさがくわわったのであるから、おんなこどもなどはいよいよおびえた。それが)

噂が加わったのであるから、女子供などはいよいよおびえた。それが

(はっちょうぼりどうしんのみみにもはいって、さらにまちぶぎょうしょへもきこえて、きかいのふうせつを)

八丁堀同心の耳にもはいって、更に町奉行所へもきこえて、奇怪の風説を

(とりしまるようにというちゅういもあったが、そのふうせつはおひれをそえて、)

取り締まるようにという注意もあったが、その風説は尾鰭をそえて、

(それからそれへとますますひろがった。もううっちゃってもおかれないので、)

それからそれへとますます拡がった。もう打っちゃっても置かれないので、

(しちべえはじぶんであさくさへでばって、うまみちのうらながやにすんでいる)

七兵衛は自分で浅草へ出張って、馬道の裏長屋に住んでいる

(かごやのかんじをたずねた。)

駕籠屋の勘次をたずねた。

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