半七捕物帳 津の国屋1

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岡本綺堂 半七捕物帳シリーズ 第16話
宮部みゆきセレクト 其ノ八

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問題文

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(あきのよいであった。どこかでだいもくだいこのねがきこえる。)

一 秋の宵であった。どこかで題目太鼓の音がきこえる。

(このばあい、つきなみのなりものだとはおもいながらも、じっとみみをすましてきいていると、)

この場合、月並の鳴物だとは思いながらも、じっと耳をすまして聴いていると、

(やはりいっしゅのさびしさをさそいだされた。)

やはり一種のさびしさを誘い出された。

(「しちへんじんがひゃくものがたりをしたのは、こんなばんでしょうね」と、わたしはいいだした。)

「七偏人が百物語をしたのは、こんな晩でしょうね」と、わたしは云い出した。

(「そうでしょうよ」と、はんしちろうじんはわらっていた。「あれはもちろんつくりばなし)

「そうでしょうよ」と、半七老人は笑っていた。「あれは勿論つくり話

(ですけれど、ひゃくものがたりなんていうものは、むかしはほんとうにやったもんですよ。)

ですけれど、百物語なんていうものは、昔はほんとうにやったもんですよ。

(なにしろえどじだいにはばかにかいだんがはやりましたからね。しばいにでも)

なにしろ江戸時代には馬鹿に怪談が流行りましたからね。芝居にでも

(くさぞうしにでもむやみにおばけがでたもんです」)

草双紙にでも無暗にお化けが出たもんです」

(「あなたのごしょうばいのはたけにもずいぶんかいだんがありましょうね」)

「あなたの御商売の畑にもずいぶん怪談がありましょうね」

(「ずいぶんありますが、わたくしどものほうのかいだんにはどうもほんとうのかいだんが)

「随分ありますが、わたくし共の方の怪談にはどうもほんとうの怪談が

(すくなくって、しまいへいくとだんだんにたねのわれるのがおおくってこまりますよ。)

少なくって、しまいへ行くとだんだんに種の割れるのが多くって困りますよ。

(あなたにはまだつのくにやのおはなしはしませんでしたっけね」)

あなたにはまだ津の国屋のお話はしませんでしたっけね」

(「いいえ、うかがいません。かいだんですか」)

「いいえ、伺いません。怪談ですか」

(「かいだんです」と、ろうじんはまじめにうなずいた。「しかもこのあかさかに)

「怪談です」と、老人はまじめにうなずいた。「しかもこの赤坂に

(あったことなんです。これはわたくしがしょうめんからかかりあったじけんじゃ)

あったことなんです。これはわたくしが正面から掛り合った事件じゃ

(ありません。きりはたのつねきちというわかいやつがはたらいたしごとで、わたくしはそのおやじの)

ありません。桐畑の常吉という若い奴が働いた仕事で、わたくしはその親父の

(こうえもんというおとこのせわになったことがあったかんけいじょう、かげへまわってわかいものの)

幸右衛門という男の世話になったことがあった関係上、蔭へまわって若い者の

(かたぼうをかついでやったわけですから、いくらかききおとしもあるかも)

片棒をかついでやったわけですから、いくらか聞き落としもあるかも

(しれません。なにしろずいぶんいりくんでいるはなしで、ちょいときくとなんだかうそらしい)

知れません。なにしろ随分入り組んでいる話で、ちょいと聴くと何だか嘘らしい

(ようですが、まがいなしのじつろく、そのつもりできいてください。むかしといっても、)

ようですが、まがいなしの実録、そのつもりで聴いて下さい。昔と云っても、

など

(たったさんしじゅうねんまえですけれども、それでもせかいがまるでちがっていて、)

たった三四十年前ですけれども、それでも世界がまるで違っていて、

(いまのひとにはおもいもつかないようなことがときどきありました」)

今の人には思いも付かないようなことが時々ありました」

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