半七捕物帳 津の国屋25

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プレイ回数357難易度(4.2) 3457打 長文 かな
岡本綺堂 半七捕物帳シリーズ 第16話
順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 やまちやまちゃん 4763 B 4.8 98.0% 701.2 3408 68 49 2024/03/04

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問題文

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(つのくにやのおふじをしめころしたのは、じょちゅうのおかくであった。)

九 津の国屋のお藤を絞め殺したのは、女中のお角であった。

(きんべえをしめころしたのは、ゆうきちのそうぞうどおりにわかいもののちょうたろうであった。)

金兵衛を絞め殺したのは、勇吉の想像通りに若い者の長太郎であった。

(かれらはにょうぼうとばんとうがじゅくすいしているところをしめころして、ふたつのしがいを)

かれらは女房と番頭が熟睡しているところを絞め殺して、二つの死骸を

(そっとどぞうのなかへはこびこんで、あたかもふたりがじぶんでくびれしんだように)

そっと土蔵の中へ運び込んで、あたかも二人が自分で縊れ死んだように

(よそおったのであった。)

よそおったのであった。

(つのくにやのしんせきで、したやにみせをもっているいけだやじゅうえもん、あさくさにみせを)

津の国屋の親戚で、下谷に店を持っている池田屋十右衛門、浅草に店を

(もっているおおますややへいじ、むしゅくのならずものくまきちとげんすけ、やばおんなおかね、)

持っている大桝屋弥平次、無宿のならず者熊吉と源助、矢場女お兼、

(いじょうのごにんはかんだのはんしちときりはたのつねきちのてであげあられた。)

以上の五人は神田の半七と桐畑の常吉の手であげあられた。

(つのくにやのぼだいじのじゅうしょくとむしゅくのたくはつそうとはじしゃかたのてにとらえられた。)

津の国屋の菩提寺の住職と無宿の托鉢僧とは寺社方の手に捕えられた。

(これでこのいっけんはらくぢゃくした。)

これでこの一件は落着した。

(これまでかけば、もうあらためてくわしくちゅうするまでもあるまい。)

これまで書けば、もう改めてくわしく註するまでもあるまい。

(いけだやじゅうえもんとおおますややへいじとぼだいじのじゅうしょくと、このさんにんがきょうぼうして、)

池田屋十右衛門と大桝屋弥平次と菩提寺の住職と、この三人が共謀して、

(かねてないふくのきこえのあるつのくにやのしんだいをおうりょうしようとたくんだのであった。)

かねて内福の聞えのある津の国屋の身代を横領しようと巧んだのであった。

(つのくにやのしゅじんじろべえはもらいこのおやすをむごたらしくおいだして、)

津の国屋の主人次郎兵衛は貰い娘のお安をむごたらしく追い出して、

(とうとうへんしさせたことをないしんひそかにくやんでいた。ことにそうりょうむすめのおきよが)

とうとう変死させたことを内心ひそかに悔んでいた。殊に総領娘のお清が

(あたかもおやすとおないどしでしんだので、かれはいよいよそれをきにやんで、)

あたかもお安と同い年で死んだので、彼はいよいよそれを気に病んで、

(おりおりにはぼだいじのじゅうしょくにむかってざんげばなしをすることもあった。)

おりおりには菩提寺の住職に向って懺悔話をすることもあった。

(それがかれらさんにんにあっけいをおもいたたせるこんげんで、ぼうずがひとりくわわっているだけに、)

それが彼等三人に悪計を思い立たせる根源で、坊主が一人加わっているだけに、

(かれらはおやすのしりょうをたねにしてつのくにやのいっかをおびやかそうとくわだてた。)

かれらはお安の死霊を種にして津の国屋の一家をおびやかそうと企てた。

(こんにちからかんがえると、すこぶるまわりどおいしゅだんのようではあるが、そのじだいの)

今日から考えると、頗る廻り遠い手段のようではあるが、その時代の

など

(かれらとしてはよほどこうみょうなしゅだんをめぐらそうとしたのかもしれない。)

彼等としては余ほど巧妙な手段をめぐらそうとしたのかも知れない。

(かれらはまずしりょうのたたりということをいいふらさせて、つのくにやいっかに)

かれらはまず死霊の祟りと云うことを云い触らさせて、津の国屋一家に

(おそれをいだかせ、さらにぼだいじのじゅうしょくからじろべえをおどして、ていよくいんきょさせて)

恐れを懐かせ、さらに菩提寺の住職から次郎兵衛をおどして、体よく隠居させて

(じぶんのじないへおしこめてしまうつもりであった。そうすれば、いやでも)

自分の寺内へ押し込めてしまうつもりであった。そうすれば、いやでも

(むすめのおゆきにむこをとらなければならない。そのむこにはいけだやじゅうえもんのじなんを)

娘のお雪に婿を取らなければならない。その婿には池田屋十右衛門の次男を

(おしつけるというだんどりで、だんだんにそのけいりゃくをしんこうさせることになった。)

押し付けるという段取りで、だんだんにその計略を進行させることになった。

(しかしかたぎのあきんどやてらのぼうずばかりでは、ばんじがふべんであるので、かれらは)

しかし堅気の商人や寺の坊主ばかりでは、万事が不便であるので、かれらは

(あさくさしたやをごろつきあるいているむしゅくもののくまきちとげんすけとをみかたにだきこんだ。)

浅草下谷をごろ付きあるいている無宿者の熊吉と源助とを味方に抱き込んだ。

(おやすのゆうれいにばけたのは、あさくさのおかねというやばおんなで、みかけはじゅうしちはちの)

お安の幽霊に化けたのは、浅草のお兼という矢場女で、見かけは十七八の

(うぶなこむすめらしいが、じつはもうにじゅうをふたつもこしているというばくれんもので、)

初心な小娘らしいが、実はもう二十を二つも越しているという莫連者で、

(くまきちのせわでこれもこのいっけんのととうにくわわったのであった。くまきちとげんすけは)

熊吉の世話でこれもこの一件の徒党に加わったのであった。熊吉と源助は

(つのくにやのきんじょをはいかいして、たえずそのようすをうかがっているうちに、)

津の国屋の近所を徘徊して、絶えずその様子をうかがっているうちに、

(おゆきのししょうのもじはるがほりのうちへさんけいにいって、そのかえりみちはきっと)

お雪の師匠の文字春が堀の内へ参詣に行って、その帰り路はきっと

(ひがくれるのをみこんで、なでしこのゆかたをきたおかねをとちゅうにまちうけさせて、)

日が暮れるのを見込んで、撫子の浴衣を着たお兼を途中に待ち受けさせて、

(かいだんがかったおしばいをえんじさせたのであった。しかしもじはるがうかつにそれを)

怪談がかったお芝居を演じさせたのであった。しかし文字春が迂闊にそれを

(せけんにふいちょうしないらしいので、かれらはあてがはずれた。こんどはてをかえて、)

世間に吹聴しないらしいので、かれらは的がはずれた。今度は手をかえて、

(あやしいたくはつそうをつのくにやのまえにたたせた。おかねはじょちゅうたちのゆがえりをおどした。)

怪しい托鉢僧を津の国屋の前に立たせた。お兼は女中達の湯帰りをおどした。

(それでどうにかこうにかじろべえだけはこっちへひとじちにとってしまったが、)

それでどうにかこうにか次郎兵衛だけはこっちへ人質に取ってしまったが、

(にょうぼうとばんとうとがあんがいにしっかりしていて、かれらのもくてきもよういに)

女房と番頭とが案外にしっかりしていて、かれらの目的も容易に

(じょうじゅしそうにもないので、かれらはすこしじれだしてさらにざんこくなしゅだんを)

成就しそうにもないので、かれらは少し焦れ出して更に残酷な手段を

(めぐらすことになった。おかねはおばのおかくをつのくにやへすみこませて、)

めぐらすことになった。お兼は叔母のお角を津の国屋へ住み込ませて、

(すきをみてにょうぼうとばんとうとをなきものにしようとこころみたが、さすがにおかくひとりでは)

隙を見て女房と番頭とを亡き者にしようと試みたが、さすがにお角一人では

(にがおもいので、みせのわかいもののちょうたろうをみかたにひきこもうとした。)

荷が重いので、店の若い者の長太郎を味方に引き込もうとした。

(ちょうたろうはふだんからしゅじんのむすめのおゆきにおもいをかけているので、これがしゅびよく)

長太郎はふだんから主人の娘のお雪に思いをかけているので、これが首尾よく

(じょうじゅすればかならずおゆきとそわせてやるというじょうけんで、とうとうあくにんのなかまに)

成就すればかならずお雪と添わせてやるという条件で、とうとう悪人の仲間に

(いれてしまった。そうしてにょうぼうとばんとうとがふぎをはたらいているらしいということを)

入れてしまった。そうして女房と番頭とが不義を働いているらしいということを

(おかくのくちからまえもってふいちょうさせておいて、よいころをみはからってふたりのあくにんが)

お角の口から前以て吹聴させて置いて、よい頃を見測らって二人の悪人が

(よていのけいかくどおりににょうぼうとばんとうとをほろぼした。しかもそれをたくみに)

予定の計画通りに女房と番頭とを亡ぼした。しかもそれを巧みに

(しんじゅうとみせかけてせけんをあざむき、あわせてけんしのやくにんのめをくらました。)

心中と見せかけて世間を欺き、あわせて検視の役人の眼を晦ました。

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