谷崎潤一郎痴人の愛６５

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神楽@社長推しいいね4 お気に入り登録

プレイ回数805 難易度(4.5) 686打長文

谷崎潤一郎の中編小説です

私のお気に入りです
祝☆完結
65と云うきりのいい数字で無事終わることが出来ました！
NGワードに度々道を阻まれましたが、ここまでプレイしてくださり、ありがとうございました！

問題文

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(じしんがなくなるとしかたがないもので、めしたのわたしは、えいごなどでもとうていかのじょには)

自信がなくなると仕方がないもので、目下の私は、英語などでも到底彼女には

(およびません。じっちにつきあっているうちにしぜんとじょうたつしたのでしょうが、)

及びません。実地に附き合っているうちに自然と上達したのでしょうが、

(やかいのせきでふじんやしんしにあいきょうをふりまきながら、かのじょがぺらぺら)

夜会の席で婦人や紳士に愛嬌を振りまきながら、彼女がぺらぺら

(まくしたてるのをきいていると、なにしろはつおんはむかしからうまかったのですから、)

まくし立てるのを聞いていると、何しろ発音は昔から巧かったのですから、

(へんにせいようじんくさくって、わたしにはききとれないことがよくあります。そうして)

変に西洋人臭くって、私には聞きとれないことがよくあります。そうして

(かのじょは、ときどきわたしをせいようりゅうに「じょーじ」とよびます。)

彼女は、ときどき私を西洋流に「ジョージ」と呼びます。

(これでわたしたちのふうふのきろくはおわりとします。これをよんでばかばかしいと)

これで私たちの夫婦の記録は終りとします。これを読んで馬鹿々々しいと

(おもうひとはわらってください。きょうくんになるとおもうひとは、いいみせしめにください。)

思う人は笑って下さい。教訓になると思う人は、いい見せしめに下さい。

(わたしじしんは、なおみにほれているのですから、どうおもわれてもしかたがありません。)

私自身は、ナオミに惚れているのですから、どう思われても仕方がありません。

(なおみはことしにじゅうさんでわたしはさんじゅうろくになります。)

ナオミは今年二十三で私は三十六になります。