吾輩は猫である33

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1 berry 6835 S++ 7.0 97.1% 467.7 3292 95 63 2024/04/14
2 りく 5333 B++ 5.5 96.8% 609.2 3358 109 63 2024/04/22

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問題文

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(きみをまつまのひめこまつ・・・)

君を待つ間の姫小松・・・

(しょうじのうちでおししょさんがにげんきんをひきだす。「いいこえで)

障子の内で御師匠さんが二絃琴を弾き出す。「宜い声で

(しょう」とみけこはじまんする。「いいようだが、わがはいには)

しょう」と三毛子は自慢する。「宜いようだが、吾輩には

(よくわからん。ぜんたいなんというものですか」「あれ?あれは)

よくわからん。全体何というものですか」「あれ?あれは

(なんとかってものよ。おししょさんはあれがだいすきなの。・・・)

何とかってものよ。御師匠さんはあれが大好きなの。・・・

(おししょさんはあれでろくじゅうによ。ずいぶんじょうぶだわね」ろくじゅうにで)

御師匠さんはあれで六十二よ。随分丈夫だわね」六十二で

(いきているくらいだからじょうぶといわねばなるまい。わがはいは)

生きているくらいだから丈夫と云わねばなるまい。吾輩は

(「はあ」とへんじをした。すこしまがぬけたようだがべつにめいとうも)

「はあ」と返事をした。少し間が抜けたようだが別に名答も

(でてこなかったからしかたがない。「あれでも、もとはみぶんが)

出て来なかったから仕方がない。「あれでも、もとは身分が

(たいへんよかったんだって。いつでもそうおっしゃるの」「へえ)

大変好かったんだって。いつでもそうおっしゃるの」「へえ

(もとはなにだったんです」「なんでもてんしょういんさまのいもうとのおよめにいった)

元は何だったんです」「何でも天璋院様の妹の御嫁に行った

(さきのおっかさんのおいのむすめなんだって」「なんですって?」)

先きの御っかさんの甥の娘なんだって」「何ですって?」

(「あのてんしょういんさまのごゆうひつのいもうとのおよめにいった・・・」)

「あの天璋院様の御祐筆の妹の御嫁にいった・・・」

(「なるほど。すこしまってください。てんしょういんさまのごゆうひつのいもうとの)

「なるほど。少し待って下さい。天璋院様の御祐筆の妹の・

(・・」「あらそうじゃないの、てんしょういんさまのごゆうひつのいもうとの・・)

・・」「あらそうじゃないの、天璋院様の御祐筆の妹の・・

(」「よろしいわかりましたてんしょういんさまのでしょう」「ええ」)

・」「よろしい分りました天璋院様のでしょう」「ええ」

(「ごゆうひつのでしょう」「そうよ」「およめにいった」「いもうとの)

「御祐筆のでしょう」「そうよ」「御嫁に行った」「妹の

(およめにいったですよ」「そうそうまちがった。いもうとのおよめに)

御嫁に行ったですよ」「そうそう間違った。妹の御嫁に

(はいったさきの」「おっかさんのおいのむすめなんですとさ」)

入った先きの」「御っかさんの甥の娘なんですとさ」

(「おっかさんのおいのむすめなんですか」「ええ。わかったでしょう」)

「御っかさんの甥の娘何ですか」「ええ。分ったでしょう」

など

(「いいえ。なんだかこんざつしていてようりょうをえないですよ。つまる)

「いいえ。何だか混雑していて要領を得ないですよ。詰る

(ところてんしょういんさまのなにになるんですか」「あなたもよっぽど)

ところ天璋院様の何になるんですか」「あなたもよっぽど

(わからないのね。だからてんしょういんさまのごゆうひつのいもうとのおよめに)

分からないのね。だから天璋院様の御祐筆の妹の御嫁に

(いったさきのおっかさんのおいのむすめなんだって、さっきっから)

行った先きの御っかさんの甥の娘なんだって、先っきっから

(いってるんじゃありませんか」「それはすっかりわかっている)

言ってるんじゃありませんか」「それはすっかり分っている

(んですがね」「それがわかりさえすればいいんでしょう」)

んですがね」「それが分りさえすればいいんでしょう」

(「ええ」としかたがないからこうさんをした。われわれはときとすると)

「ええ」と仕方がないから降参をした。吾々は時とすると

(りづめのきょげんをはかねばならぬことがある。)

理詰の虚言を吐かねばならぬ事がある。

(しょうじのなかでにげんきんのおとがぱったりやむと、おししょさんのこえ)

障子の中で二絃琴の音がぱったりやむと、御師匠さんの声

(で「みけやみけやごはんだよ」とよぶ。みけこはうれしそうに)

で「三毛や三毛や御飯だよ」と呼ぶ。三毛子は嬉しそうに

(「あらおししょさんがよんでいらっしゃるから、わたくしかえるわ、)

「あら御師匠さんが呼んでいらっしゃるから、私し帰るわ、

(よくって?」わるいといったってしかたがない。「それじゃ)

よくって?」わるいと云ったって仕方がない。「それじゃ

(またあそびにいらっしゃい」とすずをちゃらちゃらならしてにわさき)

また遊びにいらっしゃい」と鈴をちゃらちゃら鳴らして庭先

(までかけていったがきゅうにもどってきて「あなたたいへんいろがわるく)

までかけて行ったが急に戻って来て「あなた大変色が悪く

(ってよ。どうかしやしなくって」としんぱいそうにといかける。)

ってよ。どうかしやしなくって」と心配そうに問いかける。

(まさかぞうにをくっておどりをおどったともいわれないから「なに)

まさか雑煮を食って踊りを踊ったとも云われないから「何

(べつだんのこともありませんが、すこしかんがえごとをしたらずつうがしてね)

別段の事もありませんが、少し考え事をしたら頭痛がしてね

(。あなたとはなしでもしたらなおるだろうとおもってじつはでかけて)

。あなたと話しでもしたら直るだろうと思って実は出掛けて

(きたのですよ」「そう。おだいじになさいまし。さようなら」)

来たのですよ」「そう。御大事になさいまし。さようなら」

(すこしはなごりおしげにみえた。これでぞうにのげんきもさっぱりと)

少しは名残惜し気に見えた。これで雑煮の元気もさっぱりと

(かいふくした。いいこころもちになった。かえりにれいのちゃえんをとおりぬけ)

回復した。いい心持になった。帰りに例の茶園を通り抜け

(ようとおもってしもばしらのとけかかったのをふみつけながらけんにんじ)

ようと思って霜柱の融けかかったのを踏みつけながら建仁寺

(のくずれからかおをだすとまたくるまやのくろがかれぎくのうえにせをやまに)

の崩れから顔を出すとまた車屋の黒が枯菊の上に背を山に

(してあくびをしている。ちかごろはくろをみてきょうふするようなわがはい)

して欠伸をしている。近頃は黒を見て恐怖するような吾輩

(ではないが、はなしをされるとめんどうだからしらぬかおをしていき)

ではないが、話しをされると面倒だから知らぬ顔をして行き

(すぎようとした。くろのせいしつとしてひとがおのれをけいぶしたとみとめむる)

過ぎようとした。黒の性質として他が己を軽侮したと認むる

(やいなやけっしてだまっていない。「おい、ななしのごんべえ、ちかごろ)

や否や決して黙っていない。「おい、名なしの権兵衛、近頃

(じゃおつうたかくとまってるじゃあねえか。いくらきょうしのめしを)

じゃ乙う高く留ってるじゃあねえか。いくら教師の飯を

(くったって、そんなこうまんちきなつらあするねえ。ひとつけ)

食ったって、そんな高慢ちきな面らあするねえ。人つけ

(おもしろくもねえ」くろはわがはいのゆうめいになったのを、まだしらんと)

面白くもねえ」黒は吾輩の有名になったのを、まだ知らんと

(みえる。せつめいしてやりたいがとうていわかるやつではないから、まず)

見える。説明してやりたいが到底分る奴ではないから、まず

(いちおうのあいさつをしてできうるかぎりはやくごめんこうむるにしくはないと)

一応の挨拶をして出来得る限り早く御免蒙るに若くはないと

(けっしんした。「いやくろくんおめでとう。あいかわらずげんきがいいね」と)

決心した。「いや黒君おめでとう。不相変元気がいいね」と

(しっぽをたててひだりへくるりとまわす。くろはしっぽをたてたぎり)

尻尾を立てて左へくるりと廻わす。黒は尻尾を立てたぎり

(あいさつもしない。「なにおめでてえ?しょうがつでおめでたけりゃ、)

挨拶もしない。「何おめでてえ?正月でおめでたけりゃ、

(おめえなんざあとしがねんじゅうおめでてえほうだろう。きをつけろい)

御めえなんざあ年が年中おめでてえ方だろう。気をつけろい

(、このふいごのむこうづらめ」ふいごのむこうづらというくはばり)

、この吹い子の向う面め」吹い子の向うづらという句は罵詈

(のげんごであるようだが、わがはいにはりょうかいができなかった。)

の言語であるようだが、吾輩には了解ができなかった。

(「ちょっとうかがうがふいごのむこうづらというのはどういういみ)

「ちょっと伺うが吹い子の向うづらと云うのはどう云う意味

(かね」「へん、てめえがあくたいをつかれてるくせに、そのわけを)

かね」「へん、手めえが悪体をつかれてる癖に、その訳を

(ききゃせわあねえ、だからしょうがつやろうだってことよ」しょうがつやろうは)

聞きゃ世話あねえ、だから正月野郎だって事よ」正月野郎は

(してきではあるが、そのいみにいたるとふいごのなんとかよりも)

詩的ではあるが、その意味に至ると吹い子の何とかよりも

(いっそうふめいりょうなもんくである。)

一層不明瞭な文句である。

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