吾輩は猫である32

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プレイ回数179難易度(4.5) 3360打 長文 長文モードのみ
読書初心者向け
吾輩は猫である31:https://typing.twi1.me/game/371139
吾輩は猫である33:https://typing.twi1.me/game/371146
順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 HAKU 7296 7.5 96.5% 443.8 3357 119 60 2024/04/17
2 berry 7022 7.2 96.8% 453.8 3294 107 60 2024/04/14
3 りく 5298 B++ 5.5 96.1% 608.8 3361 135 60 2024/04/21
4 もっちゃん先生 4582 C++ 4.8 94.8% 692.9 3356 181 60 2024/04/12
5 ポチゆっこ 2412 F++ 2.6 92.5% 1280.1 3359 271 60 2024/04/22

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問題文

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(さいくんはみたいが、ころしてまでみるきはないのでだまって)

細君は見たいが、殺してまで見る気はないのでだまって

(いる。「とってやらんとしんでしまう、はやくとってやれ」)

いる。「取ってやらんと死んでしまう、早くとってやれ」

(としゅじんはふたたびげじょをかえりみる。おさんはごちそうをはんぶんたべ)

と主人は再び下女を顧みる。御三は御馳走を半分食べ

(かけてゆめからおこされたときのように、きのないかおをしてもち)

かけて夢から起された時のように、気のない顔をして餅

(をつかんでぐいとひく。かんげつくんじゃないが、まえばが)

をつかんでぐいと引く。寒月君じゃないが、前歯が

(みんなおれるかとおもった。どうもいたいのいたくないのって、)

みんな折れるかと思った。どうも痛いの痛くないのって、

(もちのなかへかたくくいこんでいるはをなさけようしゃもなくひっぱる)

餅の中へ堅く食い込んでいる歯を情け容赦もなく引張る

(のだからたまらない。わがはいが「すべてのあんらくはこんくを)

のだからたまらない。吾輩が「すべての安楽は困苦を

(つうかせざるべからず」というだいよんのしんりをけいけんして、)

通過せざるべからず」と云う第四の真理を経験して、

(けろけろとあたりをみまわしたときには、かじんはすでにおくざしきへ)

けろけろとあたりを見廻した時には、家人はすでに奥座敷へ

(はいってしまっておった。)

這入ってしまっておった。

(こんなしっぱいをしたときにはうちにいておさんなんぞにかおを)

こんな失敗をした時には内にいて御三なんぞに顔を

(みられるのもなんとなくばつがわるい。いっそのこときをかえて)

見られるのも何となくばつが悪い。いっその事気を易えて

(しんどうのにげんきんのおししょさんのところのみけこでもほうもんしようと)

新道の二絃琴の御師匠さんの所の三毛子でも訪問しようと

(だいどころからうらへでた。みけこはこのきんぺんでゆうめいなびぼうかである)

台所から裏へ出た。三毛子はこの近辺で有名な美貌家である

(。わがはいはねこにはそういないがもののなさけはひととおりこころえている。)

。吾輩は猫には相違ないが物の情けは一通り心得ている。

(うちでしゅじんのにがいかおをみたり、おさんのけんつくをくってきぶんが)

うちで主人の苦い顔を見たり、御三の剣突を食って気分が

(すぐれんときはかならずこのいせいのほうゆうのもとをほうもんしていろいろなはなし)

優れん時は必ずこの異性の朋友の許を訪問していろいろな話

(をする。すると、いつのまにかこころがはればれしていままでのしんぱいも)

をする。すると、いつの間にか心が晴々して今までの心配も

(くろうもなにもかもわすれて、うまれかわったようなこころもちになる。じょせい)

苦労も何もかも忘れて、生れ変ったような心持になる。女性

など

(のえいきょうというものはじつにばくだいなものだ。すぎがきのすきから、)

の影響というものは実に莫大なものだ。杉垣の隙から、

(いるかなとおもってみわたすと、みけこはしょうがつだからくびわの)

いるかなと思って見渡すと、三毛子は正月だから首輪の

(あたらしいのをしてぎょうぎよくえんがわにすわっている。そのせなかのまるさ)

新しいのをして行儀よく椽側に坐っている。その背中の丸さ

(かげんがいうにいわれんほどうつくしい。きょくせんのびをつくしている)

加減が言うに言われんほど美しい。曲線の美を尽くしている

(。しっぽのまがりかげん、あしのおりぐあい、ものうげにみみをちょい)

。尻尾の曲がり加減、足の折り具合、物憂げに耳をちょい

(ちょいふるけしきなどもとうていけいようができん。ことによくひの)

ちょい振る景色なども到底形容が出来ん。ことによく日の

(あたるところにあたたかそうに、ひんよくひかえているものだから、からだは)

当る所に暖かそうに、品よく控えているものだから、身体は

(せいしゅくたんせいのたいどをゆうするにもかかわらず、びろーどをあざむくほどの)

静粛端正の態度を有するにも関わらず、天鵞絨を欺くほどの

(なめらかなまんしんのけははるのひかりをはんしゃしてかぜなきにむらむらびどう)

滑らかな満身の毛は春の光を反射して風なきにむらむら微動

(するごとくにおもわれる。わがはいはしばらくこうこつとしてながめて)

するごとくに思われる。吾輩はしばらく恍惚として眺めて

(いたが、やがてわれにかえるとどうじに、ひくいこえで「みけこさん)

いたが、やがて我に帰ると同時に、低い声で「三毛子さん

(みけこさん」といいながらまえあしでまねいた。みけこは「あら)

三毛子さん」といいながら前足で招いた。三毛子は「あら

(せんせい」とたるきをおりる。あかいくびわにつけたすずがちゃらちゃらと)

先生」と椽を下りる。赤い首輪につけた鈴がちゃらちゃらと

(なる。おやしょうがつになったらすずまでつけたな、どうもいいおと)

鳴る。おや正月になったら鈴までつけたな、どうもいい音

(だとかんしんしているあいだに、わがはいのそばにきて「あらせんせい、)

だと感心している間に、吾輩の傍に来て「あら先生、

(おめでとう」とおをひだりへふる。われらねこぞくかんでおたがいにあいさつを)

おめでとう」と尾を左りへ振る。吾等猫属間で御互に挨拶を

(するときにはおをぼうのごとくたてて、それをひだりへぐるりと)

するときには尾を棒のごとく立てて、それを左りへぐるりと

(まわすのである。ちょうないでわがはいをせんせいとよんでくれるのはこの)

廻すのである。町内で吾輩を先生と呼んでくれるのはこの

(みけこばかりである。わがはいはぜんかいことわったとおりまだなはない)

三毛子ばかりである。吾輩は前回断った通りまだ名はない

(のであるが、きょうしのいえにいるものだからみけこだけはそんけい)

のであるが、教師の家にいるものだから三毛子だけは尊敬

(してせんせいせんせいといってくれる。わがはいもせんせいといわれてまんざら)

して先生先生といってくれる。吾輩も先生と云われて満更

(わるいこころもちもしないから、はいはいとへんじをしている。)

悪い心持ちもしないから、はいはいと返事をしている。

(「やあおめでとう、たいそうりっぱにおけしょうができましたね」)

「やあおめでとう、大層立派に御化粧が出来ましたね」

(「ええきょねんのくれおししょさんにかっていただいたの、いいでしょう)

「ええ去年の暮御師匠さんに買って頂いたの、宜いでしょう

(」とちゃらちゃらならしてみせる。「なるほどよいおとですな)

」とちゃらちゃら鳴らして見せる。「なるほど善い音ですな

(、わがはいなどはうまれてから、そんなりっぱなものはみたことがない)

、吾輩などは生れてから、そんな立派なものは見た事がない

(ですよ」「あらいやだ、みんなぶらさげるのよ」とまた)

ですよ」「あらいやだ、みんなぶら下げるのよ」とまた

(ちゃらちゃらならしてみせる。「いいおとでしょう、あたし)

ちゃらちゃら鳴らして見せる。「いい音でしょう、あたし

(うれしいわ」とちゃらちゃらちゃらちゃらつづけざまにならす。)

嬉しいわ」とちゃらちゃらちゃらちゃら続け様に鳴らす。

(「あなたのうちのおしょさんはたいへんあなたをかわいがっている)

「あなたのうちの御師匠さんは大変あなたを可愛がっている

(とみえますね」わがみにひきくらべてあんにきんせんのいをもらす。)

と見えますね」吾身に引きくらべて暗に欣羨の意を洩らす。

(みけこはむじゃきなものである「ほんとよ、まるでじぶんのこども)

三毛子は無邪気なものである「ほんとよ、まるで自分の小供

(のようよ」とあどけなくわらう。ねこだってわらわないとは)

のようよ」とあどけなく笑う。猫だって笑わないとは

(かぎらない。にんげんはじぶんよりほかにわらえるものがないように)

限らない。人間は自分よりほかに笑えるものが無いように

(おもっているのはまちがいである。わがはいがわらうのははなのあなをさんかく)

思っているのは間違いである。吾輩が笑うのは鼻の孔を三角

(にしてのどぼとけをしんどうさせてわらうのだからにんげんにはわからぬ)

にして咽喉仏を震動させて笑うのだから人間には分からぬ

(はずである。「いったいあなたのところのごしゅじんはなにですか」「あら)

はずである。「一体あなたの所のご主人は何ですか」「あら

(ごしゅじんだって、みょうなのね。おししょさんだわ。にげんきんのおししょう)

御主人だって、妙なのね。御師匠さんだわ。二絃琴の御師匠

(さんよ」「それはわがはいもしっていますがね。そのごみぶんはなに)

さんよ」「それは吾輩も知っていますがね。その御身分は何

(なんです。いずれむかししはりっぱなかたなんでしょうな」「ええ」)

なんです。いずれ昔しは立派な方なんでしょうな」「ええ」

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