私の個人主義4
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問題文
(きになるねっしんなりこうき)
きになる熱心なり好奇
(こころなりはおこるまいとかんがえ)
心なりは起るまいと考え
(るのですがどんなもので)
るのですがどんなもので
(しょう。わたしがなぜそんな)
しょう。私がなぜそんな
(かていをするかというと、)
仮定をするかというと、
(このわたしはげんにむかししこのがく)
この私は現に昔しこの学
(しゅういんのきょうしになろうとし)
習院の教師になろうとし
(たことがあるのです。もち)
た事があるのです。もち
(ろんじぶんでうんどうしたわけで)
ろん自分で運動した訳で
(もないのですが、このがく)
もないのですが、この学
(こうにいたちじんがわたしをすいせん)
校にいた知人が私を推薦
(してくれたのです。その)
してくれたのです。その
(じぶんのわたしはそつぎょうするまぎわ)
時分の私は卒業する間際
(までなにをしていしょくのみちを)
まで何をして衣食の道を
(こうじていいかしらなかっ)
講じていいか知らなかっ
(たほどのうかつしゃでしたが)
たほどの迂濶者でしたが
(、さていよいよせけんへで)
、さていよいよ世間へ出
(てみると、ふところでをしてまち)
てみると、懐手をして待
(っていたって、げしゅくりょうが)
っていたって、下宿料が
(はいってくるわけでもないの)
入って来る訳でもないの
(で、きょういくしゃになれるかな)
で、教育者になれるかな
(れないかのもんだいはとにか)
れないかの問題はとにか
(く、どこかへもぐりこむひつ)
く、どこかへ潜り込む必
(ようがあったので、ついこ)
要があったので、ついこ
(のちじんのいうとおりこのがく)
の知人のいう通りこの学
(こうへむけてうんどうをかいしし)
校へ向けて運動を開始し
(たしだいであります。その)
た次第であります。その
(じぶんわたしのてきがひとりありま)
時分私の敵が一人ありま
(した。しかしわたしのちじんは)
した。しかし私の知人は
(わたしにむかってしきりにおおたけ)
私に向ってしきりに大丈
(おっとらしいことをいうので、)
夫らしい事をいうので、
(わたしのほうでも、もうにんめいさ)
私の方でも、もう任命さ
(れたようなきぶんになって)
れたような気分になって
(、せんせいはどんなきものをき)
、先生はどんな着物を着
(なければならないのかな)
なければならないのかな
(どときいてみたものです)
どと訊いてみたものです
(。するとそのおとこはもーに)
。するとその男はモーニ
(んぐでなくてはきょうじょうへで)
ングでなくては教場へ出
(られないといいますから)
られないと云いますから
(、わたしはまだことのきまらな)
、私はまだ事のきまらな
(いさきに、もーにんぐをあつらえ)
い先に、モーニングを誂
(らえてしまったのです。)
らえてしまったのです。
(そのくせがくしゅういんとはどこ)
そのくせ学習院とはどこ
(にあるがっこうかよくしらな)
にある学校かよく知らな
(かったのだから、すこぶ)
かったのだから、すこぶ
(るへんなものです。さてい)
る変なものです。さてい
(よいよもーにんぐができ)
よいよモーニングが出来
(あがってみると、あにはから)
上ってみると、あに計ら
(んやせっかくたのみにして)
んやせっかく頼みにして
(いたがくしゅういんのほうはらくだいと)
いた学習院の方は落第と
(ことがきまったのです。そ)
事がきまったのです。そ
(うしてもうひとりのおとこがえい)
うしてもう一人の男が英
(ごきょうしのくういをみたすこと)
語教師の空位を充たす事
(になりました。そのひとは)
になりました。その人は
(なんというなでしたかいまは)
何という名でしたか今は
(わすれてしまいました。べつ)
忘れてしまいました。別
(だんくやしくもなんともなかっ)
段悔しくも何ともなかっ
(たからでしょう。なんでも)
たからでしょう。何でも
(べいこくがえりのひととかきいて)
米国帰りの人とか聞いて
(いました。それで、)
いました。それで、
(もしそのときにそのべいこくかえさ)
もしその時にその米国帰
(りのひとがさいようされずに、)
りの人が採用されずに、
(このわたしがまぐれあたりにがく)
この私がまぐれ当りに学
(しゅういんのきょうしになって、し)
習院の教師になって、し
(かもきょうまでえいぞくしてい)
かも今日まで永続してい
(たなら、こうしたていちょうな)
たなら、こうした鄭重な
(おまねきをうけて、たかいところ)
お招きを受けて、高い所
(からあなたがたにおはなしを)
からあなたがたにお話を
(するきかいもついにきなか)
する機会もついに来なか
(ったかもしれますまい。)
ったかも知れますまい。
(それをこのはるからじゅういちがつ)
それをこの春から十一月
(までもまってきいてくださ)
までも待って聴いて下さ
(ろうというのは、とりも)
ろうというのは、とりも
(なおさず、わたしががくしゅういんのおしえ)
直さず、私が学習院の教
(しにらくだいして、あなたが)
師に落第して、あなたが
(たからめぐろのさんまのよ)
たから目黒の秋刀魚のよ
(うにちんらしがられている)
うに珍らしがられている
(しょうこではありませんか。)
証拠ではありませんか。
(わたしはこれからがくしゅういんをおち)
私はこれから学習院を落
(だいしてからいごのわたしにつ)
第してから以後の私につ
(いてしょうしょうもうしあげようとおもい)
いて少々申上げようと思
(います。これはいままでお)
います。これは今までお
(はなしをしてきたじゅんじょだから)
話をして来た順序だから
(といういみよりも、きょう)
という意味よりも、今日
(のこうえんにひつようなぶぶんだか)
の講演に必要な部分だか
(らとおもってきいていただ)
らと思って聴いていただ
(きたいのです。)
きたいのです。