私の個人主義12
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問題文
(あれば、あなたがたからみてそのみちがいかにくだらないにせよ、)
あれば、あなた方から見てその道がいかに下らないにせよ、
(それはあなたがたのひひょうとかんさつで、わたしにはすんごうのそんがいが)
それはあなたがたの批評と観察で、私には寸毫の損害が
(ないのです。わたしじしんはそれでまんぞくするつもりであります。)
ないのです。私自身はそれで満足するつもりであります。
(しかしわたしじしんがそれがため、じしんとあんしんをもっているからといって、)
しかし私自身がそれがため、自信と安心をもっているからといって、
(おなじけいろがあなたがたのもはんになるとはけっしておもってはいないのですから、)
同じ径路があなたがたの模範になるとはけっして思ってはいないのですから、
(ごかいしてはいけません。)
誤解してはいけません。
(それはとにかく、わたしのけいけんしたようなはんもんがあなたがたのばあい)
それはとにかく、私の経験したような煩悶があなたがたの場合
(にもしばしばおこるにちがいないとわたしはかんていしているのですが、どうでしょうか。)
にもしばしば起るに違いないと私は鑑定しているのですが、どうでしょうか。
(もしそうだとすると、なにかにうちあたるまでいくということは、)
もしそうだとすると、何かに打ち当るまで行くという事は、
(がくもんをするひと、きょういくをうけるひとが、しょうがいのしごととしても、)
学問をする人、教育を受ける人が、生涯の仕事としても、
(あるいはじゅうねんにじゅうねんのしごととしても、ひつようじゃないでしょうか。)
あるいは十年二十年の仕事としても、必要じゃないでしょうか。
(ああここにおれのすすむべきみちがあった!ようやくほりあてた!)
ああここにおれの進むべき道があった!ようやく掘り当てた!
(こういうかんとうしをこころのそこからさけびだされるとき、あなたがたは)
こういう感投詞を心の底から叫び出される時、あなたがたは
(はじめてこころをやすんずることができるのでしょう。)
始めて心を安んずる事ができるのでしょう。
(よういにうちこわされないじしんが、そのさけびごえとともにむくむく)
容易に打ち壊されない自信が、その叫び声とともにむくむく
(くびをもたげてくるのではありませんか。)
首を擡げて来るのではありませんか。
(すでにそのいきにたっしているほうもたすうのうちにはあるかもしれませんが、)
すでにその域に達している方も多数のうちにはあるかも知れませんが、
(もしとちゅうできりかもやのためにおうのうしていられるほうがあるならば、)
もし途中で霧か靄のために懊悩していられる方があるならば、
(どんなぎせいをはらっても、ああここだというほりあてるところまで)
どんな犠牲を払っても、ああここだという掘当てるところまで
(いったらよろしかろうとおもうのです。)
行ったらよろしかろうと思うのです。
(かならずしもこっかのためばかりだからというのではありません。)
必ずしも国家のためばかりだからというのではありません。
(またあなたがたのごかぞくのためにもうしあげるしだいでもありません。)
またあなた方のご家族のために申し上げる次第でもありません。
(あなたがたじしんのこうふくのために、それがぜったいにひつようじゃないかと)
あなたがた自身の幸福のために、それが絶対に必要じゃないかと
(おもうからもうしあげるのです。)
思うから申上げるのです。
(もしわたしのとおったようなみちをとおりすぎたあとならいたしかたもないが、)
もし私の通ったような道を通り過ぎた後なら致し方もないが、
(もしどこかにこだわりがあるなら、それをふみつぶすまですすまなければ)
もしどこかにこだわりがあるなら、それを踏潰すまで進まなければ
(だめですよ。もっともすすんだってどうすすんでよいかわからないのだから、)
駄目ですよ。もっとも進んだってどう進んで好いか解らないのだから、
(なにかにぶつかるところまでいくよりほかにしかたがないのです。)
何かにぶつかる所まで行くよりほかに仕方がないのです。
(わたしはちゅうこくがましいことをあなたがたにしいるきはまるでありませんが、)
私は忠告がましい事をあなたがたに強いる気はまるでありませんが、
(それがしょうらいあなたがたのこうふくのひとつになるかもしれないとおもうと)
それが将来あなたがたの幸福の一つになるかも知れないと思うと
(だまっていられなくなるのです。)
黙っていられなくなるのです。
(はらのなかのにえきらない、てっていしない、ああでもありこうでもある)
腹の中の煮え切らない、徹底しない、ああでもありこうでもある
(というようななまこのようなせいしんをいだいてぼんやりしていては、)
というような海鼠のような精神を抱いてぼんやりしていては、
(じぶんがふゆかいではないかしらんとおもうからいうのです。)
自分が不愉快ではないか知らんと思うからいうのです。
(ふゆかいでないとおっしゃればそれまでです、またそんなふゆかいは)
不愉快でないとおっしゃればそれまでです、またそんな不愉快は
(とおりこしているとおっしゃれば、それもけっこうであります。)
通り越しているとおっしゃれば、それも結構であります。
(がんくはとおりこしてありたいとわたしはいのるのであります。)
願くは通り越してありたいと私は祈るのであります。
(しかしこのわたしはがっこうをでてさんじゅういじょうまでとおりこ)
しかしこの私は学校を出て三十以上まで通り越