私の個人主義17
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問題文
(うのです。いままでのろんしをかいつまんでみると、だいいちに)
うのです。 今までの論旨をかい摘んでみると、第一に
(じこのこせいのはってんをしとげようとおもうならば、どうじに)
自己の個性の発展を仕遂げようと思うならば、同時に
(たにんのこせいもそんちょうしなければならないということ。だいにに)
他人の個性も尊重しなければならないという事。第二に
(じこのしょゆうしているけんりょくをしようしようとおもうならば、)
自己の所有している権力を使用しようと思うならば、
(それにふずいしているぎむというものをこころえなければな)
それに附随している義務というものを心得なければな
(らないということ。だいさんにじこのきんりょくをしめそうとねがうな)
らないという事。第三に自己の金力を示そうと願うな
(ら、それにともなうせきにんをおもじなければならないということ。)
ら、それに伴う責任を重じなければならないという事。
(つまりこのさんかじょうにきちゃくするのであります。これを)
つまりこの三カ条に帰着するのであります。 これを
(ほかのことばでいいなおすと、いやしくもりんりてきに、ある)
ほかの言葉で言い直すと、いやしくも倫理的に、ある
(ていどのしゅうようをつんだひとでなければ、こせいをはってんするあたい)
程度の修養を積んだ人でなければ、個性を発展する価
(ねもなし、けんりょくをつかうかちもなし、またきんりょくをつかうあたい)
値もなし、権力を使う価値もなし、また金力を使う価
(ねもないということになるのです。それをもういっぺんいい)
値もないという事になるのです。それをもう一遍云い
(かえると、このさんしゃをじゆうにうけたのしむためには、その)
換えると、この三者を自由に享け楽しむためには、その
(みっつのもののはいごにあるべきじんかくのしはいをうけるひつよう)
三つのものの背後にあるべき人格の支配を受ける必要
(がたってくるというのです。もしじんかくのないものがむ)
が起って来るというのです。もし人格のないものがむ
(やみにこせいをはってんしようとすると、たをぼうがいする、けん)
やみに個性を発展しようとすると、他を妨害する、権
(ちからをもちいようとすると、らんようにながれる、きんりょくをつかおう)
力を用いようとすると、濫用に流れる、金力を使おう
(とすれば、しゃかいのふはいをもたらす。ずいぶんきけんなげんしょう)
とすれば、社会の腐敗をもたらす。ずいぶん危険な現象
(をていするにいたるのです。そうしてこのみっつのものは、あ)
を呈するに至るのです。そうしてこの三つのものは、あ
(なたがたがしょうらいにおいてもっともせっきんしやすいものである)
なたがたが将来において最も接近しやすいものである
(から、あなたがたはどうしてもじんかくのあるりっぱなにんげん)
から、あなたがたはどうしても人格のある立派な人間
(になっておかなくてはいけないだろうとおもいます。)
になっておかなくてはいけないだろうと思います。
(はなしがすこしよこへそれますが、ごぞんじのとおりいぎりすという)
話が少し横へそれますが、ご存じの通り英吉利という
(くにはたいへんじゆうをとうとぶくにであります。それほどじゆうをあい)
国は大変自由を尊ぶ国であります。それほど自由を愛
(するくにでありながら、またいぎりすほどちつじょのととのったくに)
する国でありながら、また英吉利ほど秩序の調った国
(はありません。みをいうとわたしはいぎりすをすかないのです。)
はありません。実をいうと私は英吉利を好かないのです。
(きらいではあるがじじつだからしかたなしにもうしあげます。)
嫌いではあるが事実だから仕方なしに申し上げます。
(あれほどじゆうでそうしてあれほどちつじょのいきとどいたくに)
あれほど自由でそうしてあれほど秩序の行き届いた国
(はおそらくせかいじゅうにないでしょう。にほんなどはとうてい)
は恐らく世界中にないでしょう。日本などはとうてい
(ひかくにもなりません。しかしかれらはただじゆうなのでは)
比較にもなりません。しかし彼らはただ自由なのでは
(ありません。じぶんのじゆうをあいするとともにほかのじゆうを)
ありません。自分の自由を愛するとともに他の自由を
(そんけいするように、こどものじぶんからしゃかいてききょういくをちゃんと)
尊敬するように、小供の時分から社会的教育をちゃんと
(うけているのです。だからかれらのじゆうのはいごにはきっと)
受けているのです。だから彼らの自由の背後にはきっと
(ぎむというかんねんがともなっています。englandexpectsevery)
義務という観念が伴っています。England expects every
(といったゆうめいなねるそんのことばはけっし)
といった有名なネルソンの言葉はけっし
(てとうざかぎりのいみのものではないのです。かれらのじゆうと)
て当座限りの意味のものではないのです。彼らの自由と
(ひょうりしてはったつしてきたふかいこんていをもったしそうにたがいないのです。)
表裏して発達して来た深い根柢をもった思想に違ないのです。
(かれらはふへいがあるとよくじいうんどうをやります。しかしせいふは)
彼らは不平があるとよく示威運動をやります。しかし政府は