一つのメルヘン(新仮名)中原中也
中原中也「在りし日の歌」より「一つのメルヘン」。
関連タイピング
-
原作 コッローディ
プレイ回数234長文3808打 -
プレイ回数267長文2092打
-
原作 コッローディ
プレイ回数189長文3387打 -
プレイ回数252長文2765打
-
プレイ回数292長文4940打
-
プレイ回数300長文2461打
-
プレイ回数216長文1897打
-
夏目漱石
プレイ回数17万長文かな512打
問題文
ふりがな非表示
ふりがな表示
(あきのよは、はるかのかなたに、)
秋の夜は、はるかの彼方に、
(こいしばかりの、かわらがあって、)
小石ばかりの、河原があって、
(それにひは、さらさらと)
それに陽は、さらさらと
(さらさらとさしているのでありました。)
さらさらと射しているのでありました。
(ひといっても、まるでけいせきかなにかのようで、)
陽といっても、まるで硅石か何かのようで、
(ひじょうなこたいのふんまつのようで、)
非常な個体の粉末のようで、
(さればこそ、さらさらと)
さればこそ、さらさらと
(かすかなおとをたててもいるのでした。)
かすかな音を立ててもいるのでした。
(さてこいしのうえに、いましもひとつのちょうがとまり、)
さて小石の上に、今しも一つの蝶がとまり、
(あわい、それでいてくっきりとした)
淡い、それでいてくっきりとした
(かげをおとしているのでした。)
影を落としているのでした。
(やがてそのちょうがみえなくなると、いつのまにか、)
やがてその蝶がみえなくなると、いつのまにか、
(いままでながれてもいなかったかわどこに、みずは)
今迄流れてもいなかった川床に、水は
(さらさらと、さらさらとながれているのでありました)
さらさらと、さらさらと流れているのでありました……