魯迅 故郷その7
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問題文
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(「なかなかたいへんです。あのしたのこどもにもてつだわせておりますが、)
「なかなか大変です。あの下の子供にも手伝わせておりますが、
(どうしてもおかねがたりません。よのなかはしじゅうごたついておりますし、)
どうしてもお金が足りません。世の中は始終ゴタついておりますし、
(なにをするにもおかねのついえることばかりで、ほうとがしれません。)
何をするにもお金の費えることばかりで、方途が知れません。
(しゅうかくはわるいし、たねものをうりだせばなんじゅうにもぜいきんをかけられ、)
収穫は悪いし、種物を売り出せば何重にも税金を掛けられ、
(もとをけずってうらなければくされるばかりです」)
元を削って売らなければ腐れるばかりです」
(かれはひたすらあたまをふった。)
彼はひたすら頭を振った。
(みるとかおのうえにはたくさんのしわがきざまれているが、)
見ると顔の上にはたくさんの皺が刻まれているが、
(せきぞうのようにまるっきりうごかない。)
石像のようにまるっきり動かない。
(たぶんくるしみをかんずるだけでひょうげんすることができないのだろう。)
たぶん苦しみを感ずるだけで表現することが出来ないのだろう。
(しばらくしあんにしずんでいたがきせるをもちだしてたばこをすった。)
しばらく思案に沈んでいたが煙管を持出して煙草を吸った。
(はははかれのたぼうをさっしてあしたすぐにひきとらせることにした。)
母は彼の多忙を察してあしたすぐに引取らせることにした。
(まだひるめしもたべていないのでだいどころへいって)
まだ昼飯も食べていないので台所へ行って
(じぶんでめしをたいておあがりといいつけた。)
自分で飯を焚いておあがりと言いつけた。
(あとでははとわたしはかれのきょうぐうについてたんそくした。)
あとで母とわたしは彼の境遇について歎息した。
(こどもはおおいし、ききんはつづくし、ぜいきんはかさなるし、)
子供は多いし、飢饉は続くし、税金は重なるし、
(どひやへいたいがらんぼうするし、かんりやじぬしがむりなんだいをいいつのるし、)
土匪や兵隊が乱暴するし、官吏や地主が無理難題をいいつのるし、
(すべてのくるしみはかれをしてひとつのでくとならしめた。)
すべての苦しみは彼をして一つの木偶とならしめた。
(「いらないものはなんでもかれにやるがいいよ。)
「要らないものは何でも彼にやるがいいよ。
(かってにえらんでもっていかせてもいい」)
勝手に選んで持っていかせてもいい」
(とはははいった。)
と母は言った。
など
(ごご、かれはひつようのものをいくつかえらんでいった。)
午後、彼は必要の物を幾つか選んでいった。
(ながてーぶるにだい、いすよんきゃく、こうろとしょくだいいっついずつ、てんびんいっぽん。)
長卓二台、椅子四脚、香炉と燭台一対ずつ、天秤一本。
(またここにたまっているわらばいもいるだろう。)
またここに溜っている藁灰も要るだろう。
(わたしどものむらではめしをたくときわらをねんりょうとするが、)
わたしどもの村では飯を焚く時藁を燃料とするが、
(そのはいはすなぢのひりょうにもってこいだ。)
その灰は砂地の肥料に持って来いだ。
(わたしどものしゅっぱつまえにふねをよこしてつみとってゆく。)
わたしどもの出発前に船を寄越して積み取ってゆく。
(ばんになってわたしどもはゆっくりはなしをしたが、かくべつひつようなはなしでもなかった。)
晩になってわたしどもはゆっくり話をしたが、格別必要な話でもなかった。
(そうしてつぎのあさ、かれはすいせいをつれてかえった。)
そうして次の朝、彼は水生を連れて帰った。
(ここのかめにわたしどものしゅっぱつのひがきた。じゅうどはあさはやくからでてきた。)
九日目にわたしどもの出発の日が来た。閏土は朝早くから出て来た。
(こんどはすいせいのかわりにいつつになるおんなのこをつれてきてふねのみはりをさせた。)
今度は水生の代りに五つになる女の児を連れて来て船の見張をさせた。
(そのひはいちにちいそがしく、もうかれとはなしをしているひまもない。)
その日は一日忙しく、もう彼と話をしている暇もない。
(らいきゃくもまたすくなからずあった。みおくりにきたもの、しなものをもちだしにきたもの、)
来客もまた少からずあった。見送りに来た者、品物を持出しに来た者、
(みおくりともちだしをかねてきたものなどがごたごたして、)
見送りと持出しを兼ねて来た者などがゴタゴタして、
(ひぐれになってわたしどもがようやくふねにのったときには、)
日暮れになってわたしどもがようやく船に乗った時には、
(このろうおくのなかにあっただいしょうのがらくたどうぐはきれいにいっそうされて、)
この老屋の中にあった大小の我楽多道具はキレイに一掃されて、
(ちりっばひとつのこらずがらあきになった。)
塵ッ葉一つ残らずガラ空きになった。
(ふねはずんずんすすんでいった。)
船はずんずん進んで行った。
(りょうがんのせいざんはたそがれのなかにしんたいしょくのよそおいをこらし、)
両岸の青山はたそがれの中に深黛色の装いを凝らし、
(みなつれだってせんごのこずえにむかってしりぞく。)
皆連れ立って船後の梢に向って退りぞく。