古今和歌集5

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投稿者投稿者Yasou  いいね0  お気に入り登録
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問題文

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(なくなみだあめとふらなんわたりがわみづまさりなばかえりくるかに) 泣く涙雨と降らなん渡り川水増さりなば帰りくるかに (ちのなみだおちてぞたぎつしらかわはきみがよまでのなにこそありけれ) 血の涙落ちぞたぎつ白川は君が世までの名にこそ有りけれ (うつせみはからをみつつもなぐさめつふかくさのやまけぶりだにたて) 空蝉は殻を見つつもなぐさめつ深草の山煙だにたて (ふかくさののべのさくらしこころあらばことしばかりはすみぞめにさけ) 深草の野辺の桜し心あらば今年ばかりは墨染に咲け (ねてもみゆねでもみえけりおおかたはうつせみのよぞゆめにはありける) 寝ても見ゆ寝でも見えけり大方は空蝉の世ぞ夢にはありける (ゆめとこそいうべかりけれよのなかにうつつあるものとおもいけるかな) 夢とこそ言うべかりけれ世の中に現あるものと思いけるかな (ぬるがうちにみるをのみやはゆめといはんはかなきよをもうつつとはみず) 寝るがうちに見るをのみやは夢と言わん儚き世をも現とは見ず (せをせけばふちとなりてもよどみけりわかれをとむるしがらみぞなき) 瀬をせけば淵となりても淀みけり別れを止むるしがらみぞなき (さきだたぬくいのやちたびかなしきはながるるみづのかえりこぬなり) 先立たぬ悔いの八千度悲しきは流るる水の返り来ぬなり (あすしらぬわがみとおもえどくれぬまのきょうはひとこそかなしかりけれ) 明日知らぬ我が身と思えど暮れぬ間の今日は人こそ悲しかりけれ
(ときしもあれあきやはひとのわかるべきあるをみるだにこいしきものを) 時しもあれ秋やは人の別るべきあるを見るだに恋いしきものを (かみなづきしぐれにぬるるもみぢばはただわびひとのたもとなりけり) 神無月時雨に濡るる紅葉葉は唯侘び人の袂なりけり (ふぢごろもはつるるいとはわびひとのなみだのたまのおとぞなりける) 藤衣はつるる糸は侘び人の涙の玉の緒とぞなりける (あさつゆのおくてのやまだかりそめにうきよのなかをおもいぬるかな) 朝露のおくての山田かりそめに憂き世の中を思いぬるかな (みづのおもにしづくはなのいろさやかにもきみがみかげのおもおゆるかな) 水の面に沈く花の色さやかにも君が御影の思おゆるかな (くさふかきかすみのたににかげかくしてるひのくれしきょうにやはあらぬ) 草深き霞の谷に影隠し照る日の暮れし今日にやはあらぬ (いくよしもあらじわがみをなぞもかくあまのかるもにおもいみだるる) 幾世しもあらじ我が身をなぞもかく海人の刈る藻に思い乱るる (かりのくるみねのあさぎりはれずのみおもいつきせぬよのなかのうさ) 雁の来る嶺の朝霧晴れずのみ思い尽きせぬ世の中の憂さ (しらくものたえずたなびくみねにだにすめばすみぬるよにこそありけれ) 白雲の絶えずたなびく嶺にだに住めば住みぬる世にこそ有りけれ (きにもあらずくさにもあらぬたけのよのはしにわがみはなりぬべらなり) 木にもあらず草にもあらぬ竹のよの端に我が身はなりぬべらなり
など
(おもいきやひなのわかれにおとろえてあまのなわたきいさりせんとは) 思いきや鄙の別れに衰ろえて海人の縄たき漁りせんとは (おもいやるこしのしらやましらねどもひとよもゆめにこえぬよぞなき) 思いやる越の白山しらねども一夜も夢に越えぬ夜ぞなき (まてというにちらでしとまるものならばなにをさくらにおもいまさまし) 待てと言うに散らでし止まる物ならば何を桜に思いまさまし (のこりなくちるぞめでたきさくらばなありてよのなかはてのうければ) 残りなく散るぞめでたき桜花有りて世の中果ての憂ければ (うつせみのよにもにたるかはなさくらさくとみしまにかつちりにけり) 空蝉の世にも似たるか花桜咲くと見し間にかつ散りにけり (さくらばなちらばちらなんちらずとてふるさとひとのきてもみなくに) 桜花散らば散らなん散らずとて古里人の来ても見なくに (さくらちるはなのところははるながらゆきぞふりつつきえがてにする) 桜散る花の所は春ながら雪ぞ降りつつ消えがてにする (はなちらすかぜのやどりはだれかしるわれにおしえよゆきてうらみん) 花散らす風のやどりは誰か知る我に教えよ行きてうらみん (いざさくらわれもちりなんひとさかりありなばひとにうきめみえなん) いざ桜我も散りなむひと盛り有りなば人に憂き目見えなん (たれこめてはるのゆくえもしらぬまにまちしさくらもうつろいにけり) 垂れ籠めて春の行方も知らぬまに待ちし桜も移ろいにけり (ひとめみしきみもやくるとさくらばなきょうはまちみてちらばちらなん) 一目見し君もや来ると桜花今日は待ち見て散らば散らなん (はるがすみなにかくすらんさくらばなちるまをだにもみるべきものを) 春霞なに隠すらん桜花散る間をだにも見るべきものを (えだよりもあだにちりにしはななればおちてもみづのあわとこそなれ) 枝よりもあだに散りにし花なれば落ちても水の泡とこそなれ (ことならばさかずやはあらんさくらばなみるわれさえにしづごころなし) 事ならば咲かずやはあらん桜花見る我さえに静心なし (さくらばなとくちりぬともおもおえずひとのこころぞかぜもふきあへぬ) 桜花疾く散りぬとも思おえず人の心ぞ風も吹きあへぬ (はるかぜははなのあたりをよぎてふけこころづからやうつろうとみん) 春風は花の辺りを避ぎて吹け心づからや移ろうと見ん (ゆきとのみふるだにあるをさくらばないかにちれとかかぜのふくらん) 雪とのみ降るだにあるを桜花いかに散れとか風の吹くらん (やまたかみみつつわがこしさくらばなかぜはこころにまかすべらなり) 山高み見つつ我が来し桜花風は心に任すべらなり (はるさめのふるはなみだかさくらばなちるをおしまぬひとしなければ) 春雨の降るは涙か桜花散るを惜しまぬ人しなければ (さくらばなちりぬるかぜのなごりにはみづなきそらになみぞたちける) 桜花散りぬる風の名残りには水無き空に波ぞたちける (ふるさととなりにしならのみやこにもいろはかわらずはなはさきけり) 古里となりにし奈良の都にも色は変わらず花は咲きけり (はなのいろはかすみにこめてみせずともかをだにぬすめはるのやまかぜ) 花の色は霞にこめて見せずとも香をだにぬすめ春の山風 (はなのきもいまはほりうえしはるたてばうつろういろにひとならいけり) 花の木も今は掘り植えし春たてば移ろう色に人ならいけり (はるのいろのいたりいたらぬさとはあらじさけるさかざるはなのみゆらん) 春の色の到り到らぬ里はあらじ咲ける咲かざる花の見ゆらん (いざきょうははるのやまべにまじりなんくれなばなげのはなのかげかは) いざ今日は春の山辺に交じりなん暮れなば無げの花の陰かは (いつまでかのべにこころのあくがれんはなしちらずばちよもへぬべし) いつまでか野辺に心の憧くがれん花し散らずば千世も経ぬべし (はなのごとよのつねならばすぐしてしむかしはまたもかえりきなまし) 花のごと世の常ならば過ぐしてし昔は又も返りきなまし (ふくかぜにあつらえつくるものならばこのひともとはよきよといわまし) 吹く風にあつらえ作る物ならばこの一本は避きよと言わまし (まつひともこぬものゆえにうぐいすのなきつるはなをおりてけるかな) 待つ人も来ぬものゆゑに鶯の鳴きつる花を折りてけるかな (さくはなはちぐさながらにあだなれどだれかははるをうらみはてたる) 咲く花は千種ながらにあだなれど誰かは春をうらみはてたる (はるがすみいろのちぐさにみえつるはたなびくやまのはなのかげかも) 春霞色の千種に見えつるはたなびく山の花の影かも (かすみたつはるのやまべはとおけれどふきくるかぜははなのかぞする) 霞立つ春の山辺は遠けれど吹きくる風は花の香ぞする (はなみればこころさへにぞうつりけるいろにはいてじひともこそしれ) 花見れば心さへにぞ移りける色にはいてじ人もこそしれ (うぐいすのなくのべごとにきてみればうつろうはなにかぜぞふきける) 鶯の鳴く野辺ごとに来て見れば移ろう花に風ぞ吹きける (ふくかぜをなきてうらみようぐいすはわれやははなにてだにふれたる) 吹く風を鳴きてうらみよ鶯は我やは花に手だに触れたる (ちるはなのなくにしとまるものならばわれうぐいすにおとらましやは) 散る花のなくにし止まる物ならば我鶯に劣らましやは (うきめをばよそめとのみぞのがれゆくくものあわたつやまのふもとに) 憂き目をばよそめとのみぞ逃れゆく雲のあわたつ山の麓に (きょうひとをこふるこころはおおいがわながるるみづにおとらざりけり) 今日人を恋ふる心は大井川流るる水におとらざりけり (いぬかみのとこのやまなるなとりがわいさとこたえよわがなもらすな) 犬上の鳥籠の山なる名取川いさと答えよ我が名もらすな (やましなのおとわのたきのおとにのみひとのしるべくわがこひめやも) 山科の音羽の瀧の音にのみ人の知るべく我が恋ひめやも (わがせこがくべきよいなりささがにのくものふるまいかねてしるしも) 我が背子が来べき宵なりささがにの蜘蛛の振る舞いかねてしるしも (みちしらばつみにもゆかんすみのえのきしにおふちょうこひわすれぐさ) 道知らば摘みにも行かん住の江の岸に生ふちょう恋ひ忘れ草 (まこもかるよどのさわみづあめふればつねよりことにまさるわがこい) 真薦刈る淀の沢水雨降れば常よりことにまさる我が恋 (こえぬまはよしののやまのさくらばなひとづてにのみききわたるかな) 越えぬ間は吉野の山の桜花人づてにのみき聞きわたるかな (つゆならぬこころをはなにおきそめてかぜふくごとにものおもいぞつく) 露ならぬ心を花に置きそめて風吹くごとに物思いぞつく (わがこいにくらぶのやまのさくらばなまなくちるともかずはまさらじ) 我が恋に鞍馬の山の桜花間なく散るとも数はまさらじ (ふゆかわのうえはこおれるわれなれやしたにながれてこひわたるらん) 冬川の上は凍れる我なれや下に流れて恋ひわたるらん (たぎつせにねざしとどめぬうきくさのうきたるこいもわれはするかな) たぎつ瀬に根ざしとどめぬ浮き草のうきたる恋も我はするかな (よいよいにぬぎてわがぬるかりごろもかけておもはぬときのまもなし) 宵々に脱ぎて我が寝る狩衣かけて思はぬ時の間もなし (あづまぢのさやのなかやまなかなかになにしかひとをおもいそめけむ) 東路の小夜の中山なかなかに何しか人を思いそめけむ (しきたえのまくらのしたにうみはあれどひとをみるめはおいずぞありける) 敷妙の枕の下に海はあれど人を見るめは生いずぞ有りける (としをへてきえぬおもいはありながらよるのたもとはなおこおりけり) 年を経て消えぬ思いは有りながら夜の袂は猶凍りけり (わがこいはしらぬやまぢにあらなくにまようこころぞわびしかりける) 我が恋は知らぬ山路にあらなくに迷う心ぞ侘びしかりける (あまのはらふりさけみればかすがなるみかさのやまにいでしつきかも) 天の原ふりさけ見れば春日なる三笠の山に出でし月かも (わたのはらやそしまかけてこぎいでぬとひとにはつげよあまのつりぶね) 海の原八十島かけて漕ぎ出でぬと人には告げよ海人の釣り舟 (みやこいでてきょうみかのはらいずみがわかわかぜさむしころもかせやま) 都出でて今日みかの原泉川かわ風寒し衣かせ山 (ほのぼのとあかしのうらのあさぎりにしまかくれゆくふねをしぞおもう) ほのぼのと明石の浦の朝霧に島隠れ行く舟をしぞ思う (からころもきつつなれにしつましあればはるばるきぬるたびをしぞおもう) 唐衣着つつ慣れにし妻しあればはるばる来ぬる旅をしぞ思う (なにしおはばいざこととはんみやこどりわがおもうひとはありやなしやと) 名にし負はばいざ言問はん都鳥我が思う人は有りや無しやと (きたへゆくかりぞなくなるつれてこしかずはたらでぞかえるべらなる) 北へ行く雁ぞ鳴くなる連れて来し数は足らでぞ帰るべらなる (いとによるものならなくにわかれぢのこころぼそくもおもおゆるかな) 糸に撚る物ならなくに分かれ路の心細くも思おゆるかな (よをさむみおくはつしもをはらいつつくさのまくらにあまたたびねぬ) 夜を寒み置く初霜を払いつつ草の枕にあまた旅寝ぬ (みちのくのしのぶもぢずりだれゆえにみだれんとおもうわれならなくに) 陸奥の信夫もぢずりた誰ゆえに乱れんと思う我ならなくに (くれないのはつはなぞめのいろふかくおもいしこころわれわすれめや) 紅の初花染めの色深く思いし心我忘れめや (そこひなきふちやはさわぐやまかわのあさきせにこそあだなみはたて) 底ひなき淵やは騒ぐ山川の浅き瀬にこそあだ波は立て (よどがわのよどむとひとはみるらめどながれてふかきこころあるものを) 淀川のよどむと人は見るらめど流れて深き心あるものを (たえずゆくあすかのかわのよどみなばこころあるとやひとのおもはん) 絶えずゆく明日香の川の淀みなば心あるとや人のおもはん (わすれなんとおもうこころのつくからにありしよりけにまづぞこひしき) 忘れなんと思う心のつくからに有りしよりけにまづぞ恋ひしき (あかでこそおもはんなかははなれなめそをだにのちのわすれがたみに) あかでこそ思はん仲は離れなめそをだに後の忘れ形見に (わすれなんわれをうらむなほととぎすひとのあきにはあはんともせず) 忘れなん我を恨むな郭公人の秋には逢はんともせず (かげろうのそれかあらぬかはるさめのふるひとなればそでぞぬれぬる) 陽炎のそれかあらぬか春雨の降る日となれば袖ぞ濡れぬる (おおぞらはこひしきひとのかたみかはものおもうことにながめらるらん) 大空は恋ひしき人の形見かは物思うことに眺めらるらん (あうまでのかたみもわれはなにせんにみてもこころのなぐさまなくに) 逢うまでの形見も我は何せんに見ても心の慰さまなくに (あうまでのかたみとてこそとどめけめなみだにうかぶもくづなりけり) 逢うまでの形見とてこそ留めけめ涙に浮かぶ藻屑なりけり (ひさかたのあまつそらにもすまなくにひとはよそにぞおもうべらなる) 久方の天つ空にも住まなくに人はよそにぞ思うべらなる (ひとりのみながめふるやのつまなればひとをしのぶのくさぞおいける) 独りのみながめふるやのつまなれば人をしのぶの草ぞ生いける (つきよにはこぬひとまたるかきくもりあめもふらなんわびつつもねん) 月夜には来ぬ人またる掻き曇り雨も降らなん侘びつつもねん (うえていにしあきたかるまでみえこねばけさはつかりのねにぞなきぬる) 植えて去にし秋田刈るまで見えこねば今朝初雁の音にぞ泣きぬる (あまぐものよそにもひとのなりゆくかさすがにめにはみゆるものから) 天雲のよそにも人のなりゆくかさすがに目には見ゆるものから (ゆきかえりそらにのみしてふることはわがいるやまのかぜはやみなり) 行き帰り空にのみして経ることは我がいる山の風早みなり
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