星の王子さま 4 (5/32)

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トルコの天文学者
サン=テグジュペリ作 内藤濯訳 
順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 すもさん 5865 A+ 6.1 96.0% 766.4 4689 194 91 2024/11/19

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問題文

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(ぼくは、こうして、もうひとつ、たいそうだいじなことをしりました。)

ぼくは、こうして、もう一つ、たいそう大事なことを知りました。

(それは、おうじさまのふるさとのほしが、やっとうちくらいのおおきさだと)

それは、王子さまのふるさとの星が、やっと家くらいの大きさだと

(いうことでした。 といったって、ぼくは、たいしておどろきません。)

いうことでした。 といったって、ぼくは、たいして驚きません。

(ちきゅうとか、もくせいとか、かせいとか、きんせいとかいったように、)

地球とか、木星とか、火星とか、金星とかいったように、

(いろんななまえのついているおおきなほしのほかにも、なんびゃくというほしがあって、)

いろんな名前のついている大きな星の他にも、何百という星があって、

(それが、ときには、ぼうえんきょうでも、なかなかみえないほどちいさいことを、)

それが、時には、望遠鏡でも、なかなか見えないほど小さいことを、

(ぼくはよくしっていたからです。)

ぼくはよく知っていたからです。

(てんもんがくしゃは、そういうほしをひとつみつけると、それにばんごうをつけて、)

天文学者は、そういう星を一つ見つけると、それに番号をつけて、

(なまえにします。たとえば、しょうわくせい3251ばんといったふうにです。)

名まえにします。たとえば、小惑星3251番といったふうにです。

(ぼくは、おうじさまのふるさとのほしは、しょうわくせい、b-612ばんだと)

ぼくは、王子さまのふるさとの星は、小惑星、B-612番だと

(おもっているのですが、そうおもうのには、ちゃんとしたわけがあります。)

思っているのですが、そう思うのには、ちゃんとしたわけがあります。

(そのほしは、1909ねんに、とるこのあるてんもんがくしゃが、ぼうえんきょうで、)

その星は、1909年に、トルコのある天文学者が、望遠鏡で、

(いちどみたきりのほしなのです。)

一度見たきりの星なのです。

(そこで、そのてんもんがくしゃは、ばんこくてんもんがくかいぎで、じぶんがはっけんしたほしについて、)

そこで、その天文学者は、万国天文学会議で、自分が発見した星について、

(どうどうと、しょうめいしました。ところが、きているふくがふくだというので、)

堂々と、証明しました。ところが、着ている服が服だというので、

(だれも、そのてんもんがくしゃのいうことをほんとうにしませんでした。)

だれも、その天文学者のいうことを本当にしませんでした。

(おとなというものは、そんなものです。)

おとなというものは、そんなものです。

(さいわい、b-612ばんのほしのひょうばんをきずつけまいというので、)

さいわい、B−612番の星の評判を傷つけまいというので、

(とるこのあるおうさまが、よーろっぱふうのふくをきないとしけいにするという)

トルコのある王さまが、ヨーロッパ風の服を着ないと死刑にするという

(おふれをくだしました。そこで、そのてんもんがくしゃは、1920ねんに、)

おふれをくだしました。そこで、その天文学者は、1920年に、

など

(たいそうりっぱなふくをきて、しょうめいのしなおしをしました。)

たいそう立派な服を着て、証明のしなおしをしました。

(すると、こんどは、みんながてんもんがくしゃのいうことをうけいれました。)

すると、こんどは、みんなが天文学者のいうことを受け入れました。

(ぼくがこんなふうに、b-612ばんのほしのはなしをして、そのばんごうまでも)

ぼくがこんなふうに、B−612番の星の話をして、その番号までも

(もちだすというのも、じつは、おとなのひとたちがよくないからです。)

持ち出すというのも、じつは、おとなの人たちが良くないからです。

(おとなというものは、すうじがすきです。)

おとなというものは、数字が好きです。

(あたらしくできたともだちのはなしをするとき、おとなのひとは、)

新しくできた友だちの話をするとき、おとなの人は、

(かんじんかなめのことはききません。)

かんじんかなめのことは聞きません。

(<どんなこえのひと?>とか、<どんなあそびがすき?>とか、)

<どんな声の人?>とか、<どんな遊びが好き?>とか、

(<ちょうのさいしゅうをするひと?>とかいうようなことは、てんできかずに、)

<チョウの採集をする人?>とかいうようなことは、てんできかずに、

(<そのひと、いくつ?>とか、<きょうだいは、なんにんいますか>とか、)

<その人、いくつ?>とか、<きょうだいは、なん人いますか>とか、

(<めかたはどのくらい?>とか、<おとうさんは、どのくらいおかねを)

<目方はどのくらい?>とか、<おとうさんは、どのくらいお金を

(とっていますか?>とかいうようなことを、きくのです。)

とっていますか?>とかいうようなことを、聞くのです。

(そして、やっと、どんなひとか、わかったつもりになるのです。)

そして、やっと、どんな人か、わかったつもりになるのです。

(おとなのひとたちに<ももいろのれんがでできていて、)

おとなの人たちに<桃色のレンガでできていて、

(まどにじゅらにゅうむのはちがおいてあって、やねのうえにはとのいる、)

窓にジュラニュウムの鉢がおいてあって、屋根の上に鳩のいる、

(きれいなうちをみたよ・・・>といったところで、)

きれいな家をみたよ・・・>といったところで、

(どうもぴんとこないでしょう。 )

どうもピンとこないでしょう。

(おとなたちには、<じゅうまんふらんのうちをみた>といわなくてはいけないのです。)

おとなたちには、<十万フランの家を見た>といわなくてはいけないのです。

(すると、おとなたちは、とんきょうごえをだして、)

すると、おとなたちは、とんきょう声をだして、

(<なんてりっぱなうちだろう>というのです。)

<なんてりっぱな家だろう>というのです。

(そんなわけですから、<おうじさまがこのよにいたしょうこだ>といってみたり、)

そんなわけですから、<王子さまがこの世にいた証拠だ>といってみたり、

(<あるひとがひつじをほしがっている、それが、そのひとのこのよにいるしょうこだ>)

<ある人がヒツジをほしがっている、それが、その人のこの世にいる証拠だ>

(などといったら、おとなたちは、あきれたかおをして、)

などといったら、おとなたちは、あきれた顔をして、

(<ふん、きみはこどもだな>というでしょう。)

<ふん、きみは子どもだな>というでしょう。

(だけれど、おうじさまのふるさとのほしは、b-612ばんのほしだといえば、)

だけれど、王子さまのふるさとの星は、B−612番の星だといえば、

(おとなのひとは、<なるほど>といったかおをして、それきり、)

おとなの人は、<なるほど>といった顔をして、それきり、

(なにもきかなくなるのです。)

なにもきかなくなるのです。

(おとなのひとというものは、そんなものです。)

おとなの人というものは、そんなものです。

(わるくおもってはいけません。)

わるく思ってはいけません。

(こどもは、おとなのひとを、うんとおおめにみてやらなくてはいけないのです。)

子どもは、おとなの人を、うんと大目に見てやらなくてはいけないのです。

(だけれど、ぼくたちには、ものそのもの、ことそのことが、たいせつですから、)

だけれど、ぼくたちには、ものそのもの、ことそのことが、大切ですから、

(もちろん、ばんごうなんか、どうでもいいのです。)

もちろん、番号なんか、どうでもいいのです。

(ぼくは、このはなしを、おとぎばなしみたいに、はじめたかったのです。)

ぼくは、この話を、おとぎ話みたいに、はじめたかったのです。

(こんなふうにはなしたかったのです。)

こんなふうに話したかったのです。

(「むかし、むかし、ひとりのおうじさまがおりました。)

「むかし、むかし、ひとりの王子さまがおりました。

(そのおうじさまは、じぶんより、ほんのちょっとおおきいほしをうちにしていました。)

その王子さまは、自分より、ほんのちょっと大きい星を家にしていました。

(そして、おともだちをひとり、ほしがっていらっしゃいました・・・」)

そして、おともだちをひとり、ほしがっていらっしゃいました・・・」

(こうすると、ものそのもの、ことそのことをたいせつにするひとには、)

こうすると、ものそのもの、ことそのことを大切にする人には、

(はなしがもっともっとほんとうらしくなったでしょうに。)

話がもっともっと本当らしくなったでしょうに。

(というのは、ぼくは、このほんを、ねそべったりなんかして、)

というのは、ぼくは、この本を、寝そべったりなんかして、

(よんでもらいたくないからです。)

読んでもらいたくないからです。

(ぼくは、おうじさまとのおもいでをはなすのが、ほんとにかなしいのです。)

ぼくは、王子さまとの思い出を話すのが、ほんとに悲しいのです。

(あのともだちがひつじをつれて、どこかへいってしまってから、)

あの友だちがヒツジをつれて、どこかへ行ってしまってから、

(もうろくねんにもなります。)

もう六年にもなります。

(あのともだちのことを、いま、ここにこうしてかくのは、あのともだちを)

あの友だちのことを、いま、ここにこうして書くのは、あの友だちを

(わすれないためなのです。)

忘れないためなのです。

(ともだちをわすれるというのは、かなしいことです。)

友だちを忘れるというのは、悲しいことです。

(だれもが、ともだちらしいともだちをもっているわけではありません。)

だれもが、友だちらしい友だちを持っているわけではありません。

(それに、ぼくも、そのうち、すうじしかおもしろがらないおとなと、)

それに、ぼくも、そのうち、数字しかおもしろがらないおとなと、

(おなじにんげんになるかもしれません。)

同じ人間になるかもしれません。

(それだからこそ、ぼくは、えのぐばことえんぴつをかったのです。)

それだからこそ、ぼくは、えのぐ箱とエンピツを買ったのです。

(むっつのとき、うわばみのうちがわとそとがわをかいたきりで、ほかには、なんのえも)

六つのとき、ウワバミの内側と外側をかいたきりで、ほかには、なんの絵も

(かいたことのないぼくが、いま、このとしになって、またえをかくのは、)

かいたことのないぼくが、いま、この年になって、また絵をかくのは、

(なかなかのことです。 もちろん、ぼくは、いろんなひとたちのしょうぞうを、)

なかなかのことです。 もちろん、ぼくは、いろんな人たちの肖像を、

(できるだけほんものにちかく、かくようにしましょう。)

できるだけ本物に近く、かくようにしましょう。

(が、うまくいくかどうかということになると、どうもじしんがもてません。)

が、上手くいくかどうかということになると、どうも自信がもてません。

(ひとつのえは、うまくかけても、ほかのは、にてもにつかないものになるのです。)

一つの絵は、うまくかけても、ほかのは、似ても似つかないものになるのです。

(せのたかさが、またすこしちがっています。)

背のたかさが、また少しちがっています。

(おうじさまは、あるところではおおきすぎたり、また、あるところでは、)

王子さまは、あるところでは大きすぎたり、また、あるところでは、

(ちいさすぎたりしています。)

小さすぎたりしています。

(それから、きもののいろも、これではどうかとおもったりします。)

それから、着物の色も、これではどうかと思ったりします。

(そうなると、ぼくは、やみのなかをさぐるようにして、どうにかこうにか、)

そうなると、ぼくは、闇のなかを探るようにして、どうにかこうにか、

(それらしいものにするほかはありません。)

それらしいものにするほかはありません。

(さいごに、ぼくは、もっとたいせつなことで、けんとうちがいをしそうです。)

さいごに、ぼくは、もっと大切なことで、見当違いをしそうです。

(でも、そのてんは、なんとかおおめにみていただきましょう。)

でも、その点は、なんとか大目にみていただきましょう。

(ぼくのともだちのおうじさまは、くどくどと、せつめいしてくれなかったのです。)

ぼくの友だちの王子さまは、くどくどと、説明してくれなかったのです。

(どうかすると、ぼくを、じぶんとおんなじようなにんげんだと)

どうかすると、ぼくを、自分とおんなじような人間だと

(おもっていたのかもしれません。)

思っていたのかもしれません。

(けれど、ぼくには、あいにく、はこのなかのひつじをみるめがありません。)

けれど、ぼくには、あいにく、箱の中のヒツジを見る目がありません。

(ぼくもどうやら、おとなじみているのかもしれません。)

ぼくもどうやら、おとなじみているのかもしれません。

(としをとってしまったにちがいありません。)

年をとってしまったにちがいありません。

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