星の王子さま 13 (15/32)
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問題文
(よんばんめのほしは、じつぎょうやのほしでした。)
四番めの星は、実業屋の星でした。
(そのおとこは、たいへんいそがしがっていたので、)
その男は、たいへんいそがしがっていたので、
(おうじさまがやってきても、あたまをあげようともしません。)
王子さまがやってきても、頭をあげようともしません。
(「こんにちは。たばこのひがきえてますよ」と、)
「こんにちは。タバコの火がきえてますよ」と、
(おうじさまは、そのおとこにいいました。)
王子さまは、その男にいいました。
(「さんたすにはご。ごたすななはじゅうに。じゅうにたすさんはじゅうご。やあ、こんにちは。)
「三たす二は五。五たす七は十二。十二たす三は十五。やあ、こんにちは。
(じゅうごたすななはにじゅうに。にじゅうにたすろくはにじゅうはち。いやはや、どうも、)
十五たす七は二十二。二十二たす六は二十八。いやはや、どうも、
(たばこにひをつけるひまもありゃせん。)
タバコに火をつけるひまもありゃせん。
(にじゅうろくたすごはさんじゅういち。うふっ!うまいぞ。)
二十六たす五は三十一。ウフッ!うまいぞ。
(これでごおくいっぴゃくろくじゅうにまんにせんひゃくさんじゅういちになったぞ」)
これで五億一百六十二万二千百三十一になったぞ」
(「ごおくって、なにがさ?」)
「五億って、なにがさ?」
(「え?まだそこにいたのか。)
「え?まだそこにいたのか。
(ごおくいっぴゃくまんって、そりゃあ・・・ いや、しっちゃいないよ・・・)
五億一百万って、そりゃあ・・・ いや、知っちゃいないよ・・・
(なにしろ、こんなにやまほどのしごとだからな。)
なにしろ、こんなに山ほどの仕事だからな。
(おれは、だいじなしごとしてるんだ。)
おれは、だいじな仕事してるんだ。
(くだらんことに、かかりあっちゃおられん。 にたすごはななと・・・」)
くだらんことに、かかりあっちゃおられん。 二たす五は七と・・・」
(「ごおくいっぴゃくまんって、なにがさ?」 と、いちどなにかききだすと、)
「五億一百万って、なにがさ?」 と、一度なにかききだすと、
(どんなことがあっても、あとにはひかないおうじさまは、くりかえしました。)
どんなことがあっても、あとにはひかない王子さまは、くりかえしました。
(じつぎょうやはあたまをあげました。)
実業屋は頭を上げました。
(「おれは、もうごじゅうよねんもこのほしにすんでるんだがね、)
「おれは、もう五十四年もこの星に住んでるんだがね、
(じゃまされたことって、さんどしかないよ。 さいしょはにじゅうにねんまえに、)
じゃまされたことって、三度しかないよ。 最初は二十二年まえに、
(こがねむしのやつが、どこからかとんできて、おっこったときだった。)
コガネムシのやつが、どこからか飛んできて、落っこったときだった。
(あんまりぶんぶんやりやがるもんだから、よせざんをよんどもまちがえたよ。)
あんまりブンブンやりやがるもんだから、寄せ算を四度もまちがえたよ。
(にどめはじゅういちねんまえ、りゅうまちがひどくなって、)
二度目は十一年まえ、リュウマチがひどくなって、
(いてもたってもいられないときだった。)
いても立ってもいられないときだった。
(うんどうがたりないんだが、そこらをぶらつくひまもないんだ。)
運動が足りないんだが、そこらをぶらつくひまもないんだ。
(おれは、これで、だいじなしごとをしているんだからね。)
おれは、これで、だいじな仕事をしているんだからね。
(さんどめは・・・いまだよ! おれはたしか、ごおくいっぴゃくまんっていってたな・・・」)
三度目は・・・いまだよ! おれはたしか、五億一百万っていってたな・・・」
(「なにがごおくなの?」)
「なにが五億なの?」
(じつぎょうやは、もう、とてもほっといてもらえないことがわかりました。)
実業屋は、もう、とてもほっといてもらえないことがわかりました。
(「ときどき、そらにみえる、あのちっちゃなものさ」)
「ときどき、空に見える、あのちっちゃなものさ」
(「はえのこと?」)
「ハエのこと?」
(「いいや、そうじゃない。きらきらしてる、ちっちゃなものさ」)
「いいや、そうじゃない。キラキラしてる、ちっちゃなものさ」
(「はちのこと?」)
「ハチのこと?」
(「いいや、そうじゃない。きんいろをしてて、のらくらものどもに、)
「いいや、そうじゃない。金色をしてて、のらくら者どもに、
(かってなゆめをみさせる、ちっちゃなもののことさ。)
かってな夢を見させる、ちっちゃなもののことさ。
(だけど、おれは、だいじなしごとをしてるんだからねえ。)
だけど、おれは、だいじな仕事をしてるんだからねえ。
(かってなゆめなんか、みてるひまはないよ」)
かってな夢なんか、見てるひまはないよ」
(「ああ、そうか、ほしのことだね?」 「うん、そうだ。ほしのことだ」)
「ああ、そうか、星のことだね?」 「うん、そうだ。星のことだ」
(「でも、ごおくもあるほし、いったい、どうするの?」)
「でも、五億もある星、いったい、どうするの?」
(「ごおくいっぴゃくろくじゅうまんにせんさんじゅういちだよ。 おれはだいじなしごとをしてるんだからね、)
「五億一百六十万二千三十一だよ。 おれはだいじな仕事をしてるんだからね、
(このかずにまちがいはないよ」)
この数にまちがいはないよ」
(「でも、そのたくさんのほし、どうするの?」 「どうするかって?」)
「でも、そのたくさんの星、どうするの?」 「どうするかって?」
(「ああ」 「どうもしやせん。もってるだけさ」)
「ああ」 「どうもしやせん。持ってるだけさ」
(「ほしをもってるんだって?」 「そうだよ」)
「星を持ってるんだって?」 「そうだよ」
(「でも、ぼく、こないだおうさまにあったけど、あのひとが・・・」)
「でも、ぼく、こないだ王さまにあったけど、あの人が・・・」
(「おうさまは、なんにももってやせん。)
「王さまは、なんにも持ってやせん。
(<しはいする>のがおうさまだ。たいへんなちがいだよ」)
<支配する>のが王さまだ。たいへんなちがいだよ」
(「でも、ほしをもってて、いったい、なんのやくにたつの?」)
「でも、星を持ってて、いったい、なんの役にたつの?」
(「かねもちになるのにやくだつよ」)
「金持ちになるのに役立つよ」
(「かねもちになると、なんのやくにたつの?」)
「金持ちになると、なんの役にたつの?」
(「だれかが、ほかにもほしをみつけだしたら、そいつがかえるじゃないか」)
「だれかが、ほかにも星を見つけ出したら、そいつが買えるじゃないか」
(このひと、さっきののんだくれとおなじようなりくつをいってるな、)
このひと、さっきの呑んだくれと同じような理屈をいってるな、
(とおうじさまは、おもいました。)
と王子さまは、思いました。
(それでもおうじさまは、かまわず、いろいろなことをききました。)
それでも王子さまは、かまわず、いろいろなことをききました。
(「どうすれば、ほしをじぶんのものにすることができるの?」)
「どうすれば、星を自分のものにすることができるの?」
(「ほしは、いったい、だれのものかね」 と、じつぎょうやは、かんにさわったらしく)
「ほしは、いったい、だれのものかね」 と、実業屋は、カンにさわったらしく
(いいかえしました。)
いいかえしました。
(「ぼく、しらないけど、だれのものでもないでしょ」)
「ぼく、知らないけど、誰のものでもないでしょ」
(「じゃあ、おれのものだよ。)
「じゃあ、おれのものだよ。
(だって、おれがいちばんに、ほしをもつことをかんがえたんだからな」)
だって、おれが一番に、星をもつことを考えたんだからな」
(「おもうだけでいいの?」)
「思うだけでいいの?」
(「そうともさ。 おまえが、だれのものでもないだいやもんどをみつけたら、)
「そうともさ。 おまえが、だれのものでもないダイヤモンドを見つけたら、
(そりゃ、おまえのものだよ。)
そりゃ、おまえのものだよ。
(だれのものでもないしまをみつけたら、それもおまえのものだよ。)
だれのものでもない島を見つけたら、それもおまえのものだよ。
(また、だれよりもさきに、ひとつのかんがえをもったら、)
また、だれよりもさきに、一つの考えを持ったら、
(おまえは、それにとっきょをとる。 つまり、おまえのものだよ。)
おまえは、それに特許をとる。 つまり、おまえのものだよ。
(だから、ほしは、おれのものさ。)
だから、星は、おれのものさ。
(だって、おれよりまえには、だあれもほしをじぶんのものにしようなんて、)
だって、おれよりまえには、だあれも星を自分のものにしようなんて、
(かんがえたことがないんだからなあ」)
考えたことがないんだからなあ」
(「そりゃそうだ。 でも、そのほし、どうしようっていうの?」)
「そりゃそうだ。 でも、その星、どうしようっていうの?」
(とおうじさまはいいました。)
と王子さまはいいました。
(「かんりするのさ。 いくつあるか、かんじょうするんだ。なんどもかんじょうしなおすんだ。)
「管理するのさ。 いくつあるか、勘定するんだ。何度も勘定しなおすんだ。
(むずかしいしごとだが、しかし、おれは、ちゃんとしたおとこだからね」)
難しい仕事だが、しかし、おれは、ちゃんとした男だからね」
(おうじさまは、そういわれてもまだ、どうもふにおちません。)
王子さまは、そういわれてもまだ、どうもふに落ちません。
(「ぼく、えりまきをもっていたら、それ、くびにまいて、もってけるよ。)
「ぼく、えりまきを持っていたら、それ、首にまいて、持ってけるよ。
(はながぼくのものだったら、そのはなをつんで、どこへでももってけるんだ。)
花がぼくのものだったら、その花をつんで、どこへでも持ってけるんだ。
(だけど、ほしをつむわけにはいかないじゃないか」)
だけど、星をつむわけにはいかないじゃないか」
(「そりゃそうだ。ぎんこうにあずけることができるよ」)
「そりゃそうだ。銀行にあずけることができるよ」
(「それ、いったい、どんなこと?」)
「それ、いったい、どんなこと?」
(「もってるほしのかずを、ちょいとしたかみのうえにかくっていうことだよ。)
「持ってる星の数を、ちょいとした紙の上に書くっていうことだよ。
(それから、そのかみをひきだしのなかにいれて、かぎをかけておくのさ」)
それから、その紙を引き出しの中に入れて、鍵をかけておくのさ」
(「で、それだけ?」 「うん、それだけでいいんだ」)
「で、それだけ?」 「うん、それだけでいいんだ」
(おもしろいな、とおうじさまはかんがえました。)
おもしろいな、と王子さまは考えました。
(してきといえばしてきだ、でも、だいじなことじゃないや。)
詩的といえば詩的だ、でも、大事なことじゃないや。
(おうじさまは、なにがたいせつかということになると、)
王子さまは、なにが大切かということになると、
(おとなとは、たいへんちがったかんがえをもっていました。)
おとなとは、たいへん違った考えを持っていました。
(ですから、あらためてこういいました。)
ですから、あらためてこういいました。
(「ぼくはね、はなをもっていて、まいにちみずをかけてやる。)
「ぼくはね、花を持っていて、毎日水をかけてやる。
(かざんもみっつもってるんだから、なのかにいちどすすはらいをする。)
火山も三つ持ってるんだから、七日に一度すすはらいをする。
(ひをふいていないかざんのすすはらいもする。)
火を吹いていない火山のすすはらいもする。
(いつばくはつするか、わからないからね。 ぼくが、かざんやはなをもってると、)
いつ爆発するか、わからないからね。 ぼくが、火山や花を持ってると、
(それがすこしは、かざんやはなのためになるんだ。)
それがすこしは、火山や花のためになるんだ。
(だけど、きみは、ほしのためには、なってやしない・・・」)
だけど、きみは、星のためには、なってやしない・・・」
(じつぎょうやは、くちをあけましたが、なんにもいうことがみつかりません。)
実業屋は、口を開けましたが、なんにもいうことが見つかりません。
(そこでおうじさまは、そこをたちさりました。)
そこで王子さまは、そこを立ち去りました。
(おとなって、まったくかわってるな、とおうじさまは、たびをつづけながら、)
おとなって、まったくかわってるな、と王子さまは、旅をつづけながら、
(むじゃきにかんがえていました。)
むじゃきに考えていました。