星の王子さま 15 (17/32)
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問題文
(ろくばんめのほしは、じゅうばいもおおきなほしでした。)
六番目の星は、十倍も大きな星でした。
(そして、そのほしにすんでいるとしよりのせんせいは、)
そして、その星に住んでいる年よりの先生は、
(なんさつも、おおきなしょもつをかいていました。)
なん冊も、大きな書物をかいていました。
(「ほう!たんけんかだな」と、)
「ほう!探検家だな」と、
(としよりのせんせいは、おうじさまをみるなり、さけびました。)
年よりの先生は、王子さまを見るなり、叫びました。
(おうじさまは、てーぶるのうえにこしをおろして、ほっといきをしました。)
王子さまは、テーブルの上に腰をおろして、ほっと息をしました。
(もう、だいぶたびをしてきたからです。)
もう、だいぶ旅をしてきたからです。
(「あんた、どこからきたのかい?」と、)
「あんた、どこからきたのかい?」と、
(としよりのせんせいは、おうじさまにいいました。)
年よりの先生は、王子さまにいいました。
(「そのおおきなほんなに? ここで、なにしているの?」)
「その大きな本なに? ここで、なにしているの?」
(と、おうじさまがいいました。)
と、王子さまがいいました。
(「わしはちりがくしゃだ」 と、としよりのせんせいがいいました。)
「わしは地理学者だ」 と、年よりの先生がいいました。
(「ちりがくしゃ?」)
「地理学者?」
(「うみやかわや、まちややまや、さばくがどこにあるのか、)
「海や川や、町や山や、砂漠がどこにあるのか、
(そんなことをしってるがくしゃのことだよ」)
そんなことを知ってる学者のことだよ」
(「そりゃあおもしろいなあ、ほんとうに。 そんなのが、ほんとうのしごとですよ」)
「そりゃあ面白いなあ、ほんとうに。 そんなのが、ほんとうの仕事ですよ」
(そういって、おうじさまは、じぶんのまわりのほしのうえに、ちらとめをやりました。)
そういって、王子さまは、自分のまわりの星の上に、チラと目をやりました。
(が、まだいちども、こんなにもどうどうとしたほしを、)
が、まだ一度も、こんなにも堂々とした星を、
(みたことがありませんでした。)
見たことがありませんでした。
(「あなたのほし、とてもきれいですね。)
「あなたの星、とてもきれいですね。
(うみがありますか、ここは?」)
海がありますか、ここは?」
(「しらんよ、そんなこと」 と、ちりがくしゃはいいました。)
「知らんよ、そんなこと」 と、地理学者はいいました。
(「へええ! (おうじさまは、がっかりしました)じゃ、やまは?」)
「へええ! (王子さまは、がっかりしました)じゃ、山は?」
(「しらんよ、そいつも」 と、ちりがくしゃがいいました。)
「知らんよ、そいつも」 と、地理学者がいいました。
(「じゃ、まちだの、かわだの、さばくだのってものは?」)
「じゃ、町だの、川だの、砂漠だのってものは?」
(「それもしらんよ」 「だって、おじさんは、ちりがくしゃでしょう?」)
「それも知らんよ」 「だって、おじさんは、地理学者でしょう?」
(「そりゃそうだ。 だが、わしはたんけんかじゃない。)
「そりゃそうだ。 だが、わしは探検家じゃない。
(たんけんかなんか、わしにはまったくごえんがないよ。)
探検家なんか、わしにはまったく御縁がないよ。
(ちりがくしゃは、まちやかわや、やまやうみや、おおきなうみや、)
地理学者は、町や川や、山や海や、大きな海や、
(さばくのかんじょうなんか、しようとはせん。)
砂漠のかんじょうなんか、しようとはせん。
(とてもたいせつなしごとをしてるんだから、)
とてもたいせつな仕事をしてるんだから、
(そこらをぶらついてなんかおられんのだ。)
そこらをぶらついてなんかおられんのだ。
(しごとべやに、ずっとひっこんでいるきりだよ。)
仕事部屋に、ずっと引っ込んでいるきりだよ。
(だが、たんけんかがきたら、いろいろなほうこくをうけて、あいてのはなしをのーとにとる。)
だが、探検家が来たら、いろいろな報告をうけて、あいての話をノートにとる。
(そして、あいてのはなしをおもしろいとおもったら、ちりがくしゃというものは、)
そして、あいての話をおもしろいと思ったら、地理学者というものは、
(そのたんけんかが、しっかりしたにんげんかどうか、しらべさせるのだ」)
その探検家が、しっかりした人間かどうか、調べさせるのだ」
(「どうして?」)
「どうして?」
(「もし、たんけんかが、うそをついたら、ちりのほんが、)
「もし、探検家が、うそをついたら、地理の本が、
(とんちんかんにならんともかぎらんからね。)
トンチンカンにならんともかぎらんからね。
(たんけんかが、やたらさけをのんでも、やっぱりおなじことだよ」)
探検家が、やたら酒をのんでも、やっぱり同じことだよ」
(「どうして?」 と、おうじさまがいいました。)
「どうして?」 と、王子さまがいいました。
(「どうしてって、のんだくれのやつには、ものがふたつにみえるからさ。)
「どうしてって、呑んだくれのやつには、ものが二つに見えるからさ。
(すると、ちりがくしゃは、やまがひとつしかないところに、)
すると、地理学者は、山が一つしかないところに、
(ふたつあるとかくだろうじゃないか」)
二つあると書くだろうじゃないか」
(「ぼく、わるいたんけんかになりそうなひと、しってますよ」)
「ぼく、わるい探検家になりそうな人、知ってますよ」
(「うん、そんなこともあるものだ。)
「うん、そんなこともあるものだ。
(だから、ちりがくしゃというものは、このたんけんかは、すじょうがよさそうだとおもうと、)
だから、地理学者というものは、この探検家は、素性が良さそうだと思うと、
(そのひとのはっけんしたことのちょうさをやるのだ」)
その人の発見したことの調査をやるのだ」
(「みにいくの?」)
「見に行くの?」
(「いや、みにはゆかんよ。 そんなこと、めんどくさいさ。)
「いや、見にはゆかんよ。 そんなこと、めんどくさいさ。
(しかし、たんけんかから、いろんなしょうこをもちだしてもらうんだよ。)
しかし、探検家から、いろんな証拠を持ち出してもらうんだよ。
(たとえば、おおきなやまをはっけんしたというんだったら、)
たとえば、大きな山を発見したというんだったら、
(いくつもの、おおきないしをもってきてもらうわけだ」)
いくつもの、大きな石を持ってきてもらうわけだ」
(そういったかとおもうと、ちりがくしゃは、にわかに、はりきったかおになりました。)
そういったかと思うと、地理学者は、にわかに、はりきった顔になりました。
(「だが、あんたは、とおいところからやってきたんだ。)
「だが、あんたは、遠いところからやってきたんだ。
(りっぱなたんけんかだ。 あんたのほしのことをはなしてもらいたいね」)
りっぱな探検家だ。 あんたの星のことを話してもらいたいね」
(ちりがくしゃは、ちょうめんをひらいて、えんぴつをけずりました。)
地理学者は、帳面をひらいて、鉛筆をけずりました。
(たんけんかのはなしは、いちおうえんぴつでかきとって、たんけんかがしょうこをもちだしたら、)
探検家の話は、いちおう鉛筆で書き取って、探検家が証拠を持ち出したら、
(そこで、はじめていんきがきにするのです。)
そこで、はじめてインキ書きにするのです。
(「どんなだね?」 ちりがくしゃはまちどおしそうにいいました。)
「どんなだね?」 地理学者は待ちどおしそうにいいました。
(「ぼくのうちですか?)
「ぼくのうちですか?
(たいしておもしろいところじゃありません。)
たいして面白いところじゃありません。
(ちっちゃい、ちっちゃいほしなんです。)
ちっちゃい、ちっちゃい星なんです。
(かざんがみっつあります。 かっかざんがふたつと、きゅうかざんがひとつ。)
火山が三つあります。 活火山が二つと、休火山が一つ。
(いつばくはつするかわかりませんよ」)
いつ爆発するかわかりませんよ」
(「うん、そりゃわからん」 と、ちりがくしゃがいいました。)
「うん、そりゃわからん」 と、地理学者がいいました。
(「はなもひとつあるんです」)
「花も一つあるんです」
(「わたしたちは、はなのことなんかかかんよ」)
「わたしたちは、花のことなんか書かんよ」
(「なぜ? とってもうつくしいんですよ」)
「なぜ? とっても美しいんですよ」
(「はなというものは、はかないものなんだからね」 「はかないって?」)
「花というものは、はかないものなんだからね」 「はかないって?」
(「ちりがくというものは、あらゆるほんのなかでも、)
「地理学というものは、あらゆる本の中でも、
(いちばんだいじなことについてかいてある。)
一番だいじなことについて書いてある。
(りゅうこうおくれになることなんか、けっしてない。)
流行遅れになることなんか、けっしてない。
(やまがばしょをかえることもめったにないことだし、)
山が場所を変えることもめったにないことだし、
(おおうみのみずが、からになることも、めったにないことだ。)
大海の水が、からになることも、めったにないことだ。
(わしたちは、いつまでもかわらないことをかくんだよ」)
わしたちは、いつまでも変わらないことを書くんだよ」
(おうじさまは、よこからくちをだしました。)
王子さまは、横から口を出しました。
(「でも、きゅうかざんだって、めをさますことがありますよ。)
「でも、休火山だって、目をさますことがありますよ。
(はかないってなんのこと?」)
はかないってなんのこと?」
(「かざんが、ねむっていようと、めをさましていようと、)
「火山が、ねむっていようと、目をさましていようと、
(わしたちにとっちゃ、おなじことだよ。 わしたちが、もんだいにするのはやまだ。)
わしたちにとっちゃ、同じことだよ。 わしたちが、問題にするのは山だ。
(やまがかわることがないからね」)
山がかわることがないからね」
(「だけど、はかないってなんのこと?」 いちどききだすと、)
「だけど、はかないってなんのこと?」 一度ききだすと、
(しまいまできかずにはいられないおうじさまが、くりかえしました。)
しまいまで聞かずにはいられない王子さまが、くりかえしました。
(「そりゃ、<そのうちきえてなくなる>といういみだよ」)
「そりゃ、<そのうち消えてなくなる>という意味だよ」
(「ぼくのはな、そのうちきえてなくなるの?」 「うん、そうだとも」)
「ぼくの花、そのうち消えてなくなるの?」 「うん、そうだとも」
(ぼくのはなは、はかないはななのか。)
ぼくの花は、はかない花なのか。
(みをまもるものといったら、よっつのとげしかもっていない。)
身をまもるものといったら、四つのトゲしか持っていない。
(それなのに、あのはなをぼくのほしに、ひとりぼっちにしてきたんだ!)
それなのに、あの花をぼくの星に、ひとりぼっちにしてきたんだ!
(と、おうじさまはかんがえました。)
と、王子さまは考えました。
(おうじさまは、はじめて、あのはながなつかしくなりました。)
王子さまは、はじめて、あの花が懐かしくなりました。
(それでも、げんきをとりもどしてききました。)
それでも、元気をとりもどしてききました。
(「ぼく、こんどは、どこのほしをけんぶつしたら、いいでしょうかね」)
「ぼく、こんどは、どこの星を見物したら、いいでしょうかね」
(「ちきゅうをけんぶつしなさい。 なかなかひょうばんのいいほしだ・・・」と、)
「地球を見物しなさい。 なかなか評判のいい星だ・・・」と、
(ちりがくしゃがこたえました。)
地理学者が答えました。
(おうじさまは、とおくにのこしてきたはなのことをかんがえながら、そこをでかけました。)
王子さまは、遠くに残してきた花のことを考えながら、そこを出かけました。