星の王子さま 15 (17/32)

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地理学者の星
サン=テグジュペリ作 内藤濯訳 
順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 Par100 3961 D++ 4.0 97.6% 998.8 4055 98 96 2024/02/09

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問題文

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(ろくばんめのほしは、じゅうばいもおおきなほしでした。)

六番目の星は、十倍も大きな星でした。

(そして、そのほしにすんでいるとしよりのせんせいは、)

そして、その星に住んでいる年よりの先生は、

(なんさつも、おおきなしょもつをかいていました。)

なん冊も、大きな書物をかいていました。

(「ほう!たんけんかだな」と、)

「ほう!探検家だな」と、

(としよりのせんせいは、おうじさまをみるなり、さけびました。)

年よりの先生は、王子さまを見るなり、叫びました。

(おうじさまは、てーぶるのうえにこしをおろして、ほっといきをしました。)

王子さまは、テーブルの上に腰をおろして、ほっと息をしました。

(もう、だいぶたびをしてきたからです。)

もう、だいぶ旅をしてきたからです。

(「あんた、どこからきたのかい?」と、)

「あんた、どこからきたのかい?」と、

(としよりのせんせいは、おうじさまにいいました。)

年よりの先生は、王子さまにいいました。

(「そのおおきなほんなに? ここで、なにしているの?」)

「その大きな本なに? ここで、なにしているの?」

(と、おうじさまがいいました。)

と、王子さまがいいました。

(「わしはちりがくしゃだ」 と、としよりのせんせいがいいました。)

「わしは地理学者だ」 と、年よりの先生がいいました。

(「ちりがくしゃ?」)

「地理学者?」

(「うみやかわや、まちややまや、さばくがどこにあるのか、)

「海や川や、町や山や、砂漠がどこにあるのか、

(そんなことをしってるがくしゃのことだよ」)

そんなことを知ってる学者のことだよ」

(「そりゃあおもしろいなあ、ほんとうに。 そんなのが、ほんとうのしごとですよ」)

「そりゃあ面白いなあ、ほんとうに。 そんなのが、ほんとうの仕事ですよ」

(そういって、おうじさまは、じぶんのまわりのほしのうえに、ちらとめをやりました。)

そういって、王子さまは、自分のまわりの星の上に、チラと目をやりました。

(が、まだいちども、こんなにもどうどうとしたほしを、)

が、まだ一度も、こんなにも堂々とした星を、

(みたことがありませんでした。)

見たことがありませんでした。

(「あなたのほし、とてもきれいですね。)

「あなたの星、とてもきれいですね。

など

(うみがありますか、ここは?」)

海がありますか、ここは?」

(「しらんよ、そんなこと」 と、ちりがくしゃはいいました。)

「知らんよ、そんなこと」 と、地理学者はいいました。

(「へええ! (おうじさまは、がっかりしました)じゃ、やまは?」)

「へええ! (王子さまは、がっかりしました)じゃ、山は?」

(「しらんよ、そいつも」 と、ちりがくしゃがいいました。)

「知らんよ、そいつも」 と、地理学者がいいました。

(「じゃ、まちだの、かわだの、さばくだのってものは?」)

「じゃ、町だの、川だの、砂漠だのってものは?」

(「それもしらんよ」 「だって、おじさんは、ちりがくしゃでしょう?」)

「それも知らんよ」 「だって、おじさんは、地理学者でしょう?」

(「そりゃそうだ。 だが、わしはたんけんかじゃない。)

「そりゃそうだ。 だが、わしは探検家じゃない。

(たんけんかなんか、わしにはまったくごえんがないよ。)

探検家なんか、わしにはまったく御縁がないよ。

(ちりがくしゃは、まちやかわや、やまやうみや、おおきなうみや、)

地理学者は、町や川や、山や海や、大きな海や、

(さばくのかんじょうなんか、しようとはせん。)

砂漠のかんじょうなんか、しようとはせん。

(とてもたいせつなしごとをしてるんだから、)

とてもたいせつな仕事をしてるんだから、

(そこらをぶらついてなんかおられんのだ。)

そこらをぶらついてなんかおられんのだ。

(しごとべやに、ずっとひっこんでいるきりだよ。)

仕事部屋に、ずっと引っ込んでいるきりだよ。

(だが、たんけんかがきたら、いろいろなほうこくをうけて、あいてのはなしをのーとにとる。)

だが、探検家が来たら、いろいろな報告をうけて、あいての話をノートにとる。

(そして、あいてのはなしをおもしろいとおもったら、ちりがくしゃというものは、)

そして、あいての話をおもしろいと思ったら、地理学者というものは、

(そのたんけんかが、しっかりしたにんげんかどうか、しらべさせるのだ」)

その探検家が、しっかりした人間かどうか、調べさせるのだ」

(「どうして?」)

「どうして?」

(「もし、たんけんかが、うそをついたら、ちりのほんが、)

「もし、探検家が、うそをついたら、地理の本が、

(とんちんかんにならんともかぎらんからね。)

トンチンカンにならんともかぎらんからね。

(たんけんかが、やたらさけをのんでも、やっぱりおなじことだよ」)

探検家が、やたら酒をのんでも、やっぱり同じことだよ」

(「どうして?」 と、おうじさまがいいました。)

「どうして?」 と、王子さまがいいました。

(「どうしてって、のんだくれのやつには、ものがふたつにみえるからさ。)

「どうしてって、呑んだくれのやつには、ものが二つに見えるからさ。

(すると、ちりがくしゃは、やまがひとつしかないところに、)

すると、地理学者は、山が一つしかないところに、

(ふたつあるとかくだろうじゃないか」)

二つあると書くだろうじゃないか」

(「ぼく、わるいたんけんかになりそうなひと、しってますよ」)

「ぼく、わるい探検家になりそうな人、知ってますよ」

(「うん、そんなこともあるものだ。)

「うん、そんなこともあるものだ。

(だから、ちりがくしゃというものは、このたんけんかは、すじょうがよさそうだとおもうと、)

だから、地理学者というものは、この探検家は、素性が良さそうだと思うと、

(そのひとのはっけんしたことのちょうさをやるのだ」)

その人の発見したことの調査をやるのだ」

(「みにいくの?」)

「見に行くの?」

(「いや、みにはゆかんよ。 そんなこと、めんどくさいさ。)

「いや、見にはゆかんよ。 そんなこと、めんどくさいさ。

(しかし、たんけんかから、いろんなしょうこをもちだしてもらうんだよ。)

しかし、探検家から、いろんな証拠を持ち出してもらうんだよ。

(たとえば、おおきなやまをはっけんしたというんだったら、)

たとえば、大きな山を発見したというんだったら、

(いくつもの、おおきないしをもってきてもらうわけだ」)

いくつもの、大きな石を持ってきてもらうわけだ」

(そういったかとおもうと、ちりがくしゃは、にわかに、はりきったかおになりました。)

そういったかと思うと、地理学者は、にわかに、はりきった顔になりました。

(「だが、あんたは、とおいところからやってきたんだ。)

「だが、あんたは、遠いところからやってきたんだ。

(りっぱなたんけんかだ。 あんたのほしのことをはなしてもらいたいね」)

りっぱな探検家だ。 あんたの星のことを話してもらいたいね」

(ちりがくしゃは、ちょうめんをひらいて、えんぴつをけずりました。)

地理学者は、帳面をひらいて、鉛筆をけずりました。

(たんけんかのはなしは、いちおうえんぴつでかきとって、たんけんかがしょうこをもちだしたら、)

探検家の話は、いちおう鉛筆で書き取って、探検家が証拠を持ち出したら、

(そこで、はじめていんきがきにするのです。)

そこで、はじめてインキ書きにするのです。

(「どんなだね?」 ちりがくしゃはまちどおしそうにいいました。)

「どんなだね?」 地理学者は待ちどおしそうにいいました。

(「ぼくのうちですか?)

「ぼくのうちですか?

(たいしておもしろいところじゃありません。)

たいして面白いところじゃありません。

(ちっちゃい、ちっちゃいほしなんです。)

ちっちゃい、ちっちゃい星なんです。

(かざんがみっつあります。 かっかざんがふたつと、きゅうかざんがひとつ。)

火山が三つあります。 活火山が二つと、休火山が一つ。

(いつばくはつするかわかりませんよ」)

いつ爆発するかわかりませんよ」

(「うん、そりゃわからん」 と、ちりがくしゃがいいました。)

「うん、そりゃわからん」 と、地理学者がいいました。

(「はなもひとつあるんです」)

「花も一つあるんです」

(「わたしたちは、はなのことなんかかかんよ」)

「わたしたちは、花のことなんか書かんよ」

(「なぜ? とってもうつくしいんですよ」)

「なぜ? とっても美しいんですよ」

(「はなというものは、はかないものなんだからね」 「はかないって?」)

「花というものは、はかないものなんだからね」 「はかないって?」

(「ちりがくというものは、あらゆるほんのなかでも、)

「地理学というものは、あらゆる本の中でも、

(いちばんだいじなことについてかいてある。)

一番だいじなことについて書いてある。

(りゅうこうおくれになることなんか、けっしてない。)

流行遅れになることなんか、けっしてない。

(やまがばしょをかえることもめったにないことだし、)

山が場所を変えることもめったにないことだし、

(おおうみのみずが、からになることも、めったにないことだ。)

大海の水が、からになることも、めったにないことだ。

(わしたちは、いつまでもかわらないことをかくんだよ」)

わしたちは、いつまでも変わらないことを書くんだよ」

(おうじさまは、よこからくちをだしました。)

王子さまは、横から口を出しました。

(「でも、きゅうかざんだって、めをさますことがありますよ。)

「でも、休火山だって、目をさますことがありますよ。

(はかないってなんのこと?」)

はかないってなんのこと?」

(「かざんが、ねむっていようと、めをさましていようと、)

「火山が、ねむっていようと、目をさましていようと、

(わしたちにとっちゃ、おなじことだよ。 わしたちが、もんだいにするのはやまだ。)

わしたちにとっちゃ、同じことだよ。 わしたちが、問題にするのは山だ。

(やまがかわることがないからね」)

山がかわることがないからね」

(「だけど、はかないってなんのこと?」 いちどききだすと、)

「だけど、はかないってなんのこと?」 一度ききだすと、

(しまいまできかずにはいられないおうじさまが、くりかえしました。)

しまいまで聞かずにはいられない王子さまが、くりかえしました。

(「そりゃ、<そのうちきえてなくなる>といういみだよ」)

「そりゃ、<そのうち消えてなくなる>という意味だよ」

(「ぼくのはな、そのうちきえてなくなるの?」 「うん、そうだとも」)

「ぼくの花、そのうち消えてなくなるの?」 「うん、そうだとも」

(ぼくのはなは、はかないはななのか。)

ぼくの花は、はかない花なのか。

(みをまもるものといったら、よっつのとげしかもっていない。)

身をまもるものといったら、四つのトゲしか持っていない。

(それなのに、あのはなをぼくのほしに、ひとりぼっちにしてきたんだ!)

それなのに、あの花をぼくの星に、ひとりぼっちにしてきたんだ!

(と、おうじさまはかんがえました。)

と、王子さまは考えました。

(おうじさまは、はじめて、あのはながなつかしくなりました。)

王子さまは、はじめて、あの花が懐かしくなりました。

(それでも、げんきをとりもどしてききました。)

それでも、元気をとりもどしてききました。

(「ぼく、こんどは、どこのほしをけんぶつしたら、いいでしょうかね」)

「ぼく、こんどは、どこの星を見物したら、いいでしょうかね」

(「ちきゅうをけんぶつしなさい。 なかなかひょうばんのいいほしだ・・・」と、)

「地球を見物しなさい。 なかなか評判のいい星だ・・・」と、

(ちりがくしゃがこたえました。)

地理学者が答えました。

(おうじさまは、とおくにのこしてきたはなのことをかんがえながら、そこをでかけました。)

王子さまは、遠くに残してきた花のことを考えながら、そこを出かけました。

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