星の王子さま 19 (21/32)

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こだま
サン=テグジュペリ作 内藤濯訳 

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問題文

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(おうじさまは、たかいやまにのぼりました。)

王子さまは、高い山に登りました。

(これまでにしっているやまといえば、ひざのたかさぐらいのみっつのかざんきりでした。)

これまでに知っている山といえば、ひざの高さぐらいの三つの火山きりでした。

(そして、きゅうかざんのほうは、こしかけにつかっていました。)

そして、休火山の方は、腰かけに使っていました。

(だから、おうじさまは 「こんなたかいやまからなら、このほしのぜんたいと、)

だから、王子さまは 「こんな高い山からなら、この星の全体と、

(すんでいるひとが、みな、ひとめでみえるだろう」 と、かんがえました。)

住んでいる人が、みな、ひと目で見えるだろう」 と、考えました。

(でも、まるでやいばをつきたてたような、とがったいわのほかには、)

でも、まるで刃をつきたてたような、とがった岩の他には、

(なんにもみえません。)

なんにも見えません。

(「こんにちは」 と、おうじさまは、べつにあてもなくいいました。)

「こんにちは」 と、王子さまは、別にあてもなくいいました。

(「こんにちは・・・こんにちは・・・こんにちは・・・」)

「こんにちは・・・こんにちは・・・こんにちは・・・」

(と、こだまがこたえました。)

と、こだまが答えました。

(「あんた、だれ?」 と、おうじさまがいいました。)

「あんた、だれ?」 と、王子さまがいいました。

(「あんた、だれ・・・あんた、だれ・・・あんた、だれ・・・」)

「あんた、だれ・・・あんた、だれ・・・あんた、だれ・・・」

(と、こだまがこたえました。)

と、こだまが答えました。

(「ぼくのともだちになってね。 ぼく、ひとりなんだ」)

「ぼくの友だちになってね。 ぼく、ひとりなんだ」

(と、おうじさまがいいました。)

と、王子さまがいいました。

(「ひとりなんだ・・・ひとりなんだ・・・ひとりなんだ・・・」)

「ひとりなんだ・・・ひとりなんだ・・・ひとりなんだ・・・」

(と、こだまがこたえました。)

と、こだまが答えました。

(おうじさまは、そのときかんがえました。)

王子さまは、そのとき考えました。

(「なんて、へんなほしだろう。)

「なんて、へんな星だろう。

(からからで、とんがりだらけで、しおっけだらけだ。)

からからで、とんがりだらけで、塩っけだらけだ。

など

(それに、にんげんに、あじがない。)

それに、人間に、味がない。

(ひとのいうことをおーむがえしにするきりだ・・・。)

ひとのいうことをオーム返しにするきりだ・・・。

(ぼくのほしには、はながあった。)

ぼくの星には、花があった。

(そして、そのはなは、いつも、こっちからなんにもいわないうちに、)

そして、その花は、いつも、こっちからなんにも言わないうちに、

(ものをいってたんだがなあ・・・」)

ものを言ってたんだがなあ・・・」

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