銀河鉄道の夜 5

宮沢賢治 作
近くの四、五人の人たちが声もたてずこっちも向かずに
冷たくわらいました。
関連タイピング
-
自作小説
プレイ回数111長文3514打 -
「思索する少年太郎の内的宇宙」
プレイ回数2943長文2468打 -
ハリーポッター呪文
プレイ回数1391かな142打 -
好評だった小説の続きです
プレイ回数5626長文797打 -
夏目漱石「こころ」3-22
プレイ回数1008長文1557打 -
夏目漱石「こころ」3-23
プレイ回数766長文2120打 -
自作小説
プレイ回数134長文1550打 -
少年探偵団シリーズ第3作品『妖怪博士』
プレイ回数966長文4433打
問題文
(じょばんにはそのひとのてーぶるのあしもとから)
ジョバンニはその人のテーブルの足もとから
(ひとつのちいさなひらたいはこをとりだして)
一つの小さな平たい箱をとりだして
(むこうのでんとうのたくさんついた、)
向こうの電燈のたくさんついた、
(たてかけてあるかべのすみのところへしゃがみこむと、)
たてかけてある壁のすみのところへしゃがみこむと、
(ちいさなぴんせっとで、まるであわつぶぐらいのかつじを)
小さなピンセットで、まるで粟粒ぐらいの活字を
(つぎからつぎとひろいはじめました。)
つぎからつぎとひろいはじめました。
(あおいむねあてをしたひとがじょばんにのうしろをとおりながら、)
青い胸あてをした人がジョバンニのうしろを通りながら、
(「よう、むしめがねくん、おはよう。」といいますと、)
「よう、虫めがね君、お早う。」といいますと、
(ちかくのし、ごにんのひとたちがこえもたてず、こっちもむかずに)
近くの四、五人の人たちが声もたてず、こっちも向かずに
(つめたくわらいました。)
冷たく笑いました。
(じょばんにはなんべんもめをぬぐいながら)
ジョバンニはなんべんも目を拭いながら
(かつじをだんだんひろいました。)
活字をだんだんひろいました。
(ろくじがうってしばらくたったころ、)
六時がうってしばらくたったころ、
(かみきれとひきあわせてから、さっきのてーぶるのひとへもってきました。)
紙きれと引き合わせてから、さっきのテーブルの人へ持ってきました。
(そのひとはだまってそれをうけとってかすかにうなずきました。)
その人は黙ってそれを受け取ってかすかにうなずきました。
(じょばんにはおじぎをするととびらをあけて)
ジョバンニはおじぎをすると扉をあけて
(さっきのけいさんだいのところにきました。)
さっきの計算台のところにきました。
(するとさっきのしろふくをきたひとが)
するとさっきの白服を着た人が
(やっぱりだまってちいさなぎんかをひとつじょばんににわたしました。)
やっぱりだまって小さな銀貨を一つジョバンニに渡しました。
(じょばんにはにわかにかおいろがよくなって、いせいよくおじぎをすると、)
ジョバンニはにわかに顔色がよくなって、威勢よくおじぎをすると、
(だいのしたにおいたかばんをもって、おもてへとびだしました。)
台の下に置いた鞄をもって、おもてへ飛びだしました。
(それからげんきよくくちぶえをふきながら)
それから元気よく口笛をふきながら
(ぱんやへよってぱんのかたまりをひとつとかくざとうをひとふくろかいますと)
パン屋へ寄ってパンの塊を一つと角砂糖を一袋買いますと
(いちもくさんにはしりだしました。)
一目散に走りだしました。