闇の結婚相談所 6
関連タイピング
問題文
(「けっきょく、うちやまじゅんいちろうはほわいとなのかぶらっくなのか)
「結局、内山潤一郎はホワイトなのかブラックなのか
(せんびきをしないまましんでしまったいんしょうですね。)
線引きをしないまま死んでしまった印象ですね。
(やましたがそうはなすとのうとみは「そうだな、なにともいえないたちばであることは)
山下がそう話すと納富は「そうだな、何とも言えない立場であることは
(まちがいない。せめてしんじつはかたってほしかったなあ。)
間違いない。せめて真実は語ってほしかったなあ。
(なにか、かくしとおそうとした、そんないんしょうがおれにはつよい」というのであった。)
何か、隠し通そうとした、そんな印象が俺には強い」と言うのであった。
(「のうとみさん、あともうひとつ、いもうととぜつえんするりゆうとなったとされる)
「納富さん、あともう一つ、妹と絶縁する理由となったとされる
(うちやまがじつのいもうとへおそったのがじじつなら、それもしりょうとしてのこっているはずです。)
内山が実の妹へ襲ったのが事実なら、それも資料として残っているはずです。
(さがしましょう」とやましたはのうとみにきりだすも、のうとみはあるもんだいをしてきした。)
探しましょう」と山下は納富に切り出すも、納富はある問題を指摘した。
(「やましたくん、うちやまのこきょうはここじゃないんだよ。)
「山下君、内山の故郷はここじゃないんだよ。
(それにおそったとされるのがこうこう2ねんせいのときともおれはきいたことがある。)
それに襲ったとされるのが高校2年生の時とも俺は聞いたことがある。
(かりにけいさつにつうほうしたとしてもしょうねんはんざいでしかもかていないにおける)
仮に警察に通報したとしても少年犯罪でしかも家庭内における
(とらぶるにはけいさつはかいにゅうしたりしない」)
トラブルには警察は介入したりしない」
(のうとみにいわれると「まあそこまで、かていないとらぶるにたちいったりしませんね」)
納富に言われると「まあそこまで、家庭内トラブルに立ち入ったりしませんね」
(とやましたもいうのであった。)
と山下も言うのであった。
(「むかし、ぼくがこうばんきんむしていたときをおもいだしますよ。)
「昔、僕が交番勤務していた時を思い出しますよ。
(きんじょのひとからのつうほうでこどもがぎゃくたいされているというないようでそのひとのいえに)
近所の人からの通報で子供が虐待されているという内容でその人の家に
(うかがったんです。うかがったらおかあさんがでてきました。)
伺ったんです。伺ったらお母さんが出てきました。
(ぼくはすなおに「ぎゃくたいのつうほうがありました」というと)
僕は素直に「虐待の通報がありました」と言うと
(そんなじじつはありません。といって、さらにぎゃくたいのうたがいのあるこどもを)
そんな事実はありません。といって、さらに虐待の疑いのある子供を
(ぼくのまえにあらわさせると「ぼうりょくされているあとなんてないでしょ」って)
僕の前に現わさせると「暴力されている跡なんてないでしょ」って
(いわれてつきかえされたのをおもいだしましたよ。)
言われて突き返されたのを思い出しましたよ。
(だけどぼくはあのこどものおとなをみておびえきっているひょうじょうをみていてたまらず)
だけど僕はあの子供の大人を見て怯え切っている表情を見ていてたまらず
(なにかあるとぼくはかくしんして、すぐしょうがっこうにれんらくをいれ)
何かあると僕は確信して、すぐ小学校に連絡を入れ
(ぼくもうたがいのあるこをほけんしつにつれていくようにとせんせいにおねがいをして)
僕も疑いのある子を保健室につれていくようにと先生にお願いをして
(そのこのうわぎやずぼんなどをぬがしてもらったら)
その子の上着やズボンなどを脱がしてもらったら
(たばこをおしつけられたようなひきずのあとがじょうはんしんのふくぶやせなかあたり)
タバコを押し付けられたような火傷の跡が上半身の腹部や背中辺り
(さらにふくらはぎのぶぶんにいたるまでみつかったんですよ。)
さらにふくらはぎの部分に至るまで見つかったんですよ。
(それがわかって、がっこうはけいさつにあらためてつうほうしたんですよ。)
それがわかって、学校は警察に改めて通報したんですよ。
(いまでもあのこの、からいおもいをすこしでもとりはらうことができたとおもうと)
今でもあの子の、辛い思いを少しでも取り払うことが出来たと思うと
(ぼくがやったこういはまちがいではなかったんだとかんがえますよ」)
僕がやった行為はまちがいではなかったんだと考えますよ」
(やましたがしじんのけいけんだんをはなしはじめた。)
山下が詩人の経験談を話し始めた。
(それをきいたのうとみは「ぎゃくたいはおやがまともでないと、くりかえしおこなわれるかのうせいが)
それを聞いた納富は「虐待は親がまともでないと、繰り返し行われる可能性が
(たかいからな。なんでかって、りゆうはおやもぎゃくたいされてそだっているけーすがたいはんを)
高いからな。何でかって、理由は親も虐待されて育っているケースが大半を
(しめしているからだよ。おやがじぶんとおなじおもいをこどもにさせたくないとかんがえるのは)
示しているからだよ。親が自分と同じ思いを子供にさせたくないと考えるのは
(おやとおなじことをしてしまって、「かえるのこはかえる」になってしまうのか)
親と同じことをしてしまって、「蛙の子は蛙」になってしまうのか
(そのどちらかだよ」)
そのどちらかだよ」
(のうとみのはなしにやましたはなっとくした。そしてのうとみはやましたにこうきりだした。)
納富の話しに山下は納得した。そして納富は山下にこう切り出した。
(「やましたくん、きみもおやになればわかるだろうけど)
「山下君、君も親になればわかるだろうけど
(こそだてほどたいへんなしごとはないんだよ」)
子育てほど大変な仕事はないんだよ」
(そういわれたやましたは「のうとみさん、ぼくにはじつはこどもがいたんです」)
そう言われた山下は「納富さん、僕には実は子供がいたんです」
(しょうげきのこくはくにのうとみは「えっ?」といいだした。)
衝撃の告白に納富は「えっ?」と言い出した。
(「あれはぼくがだいがく1ねんせいで、かのじょがしゃかいじんで5さいとしうえのほうとじもとのつれの)
「あれは僕が大学1年生で、彼女が社会人で5歳年上の方と地元の連れの
(しょうかいでおつきあいをしていたんですけど、)
紹介でお付き合いをしていたんですけど、
(ぼくとつきあいはじめてはんねんがけいかしたときに、かのじょがあるひ)
僕と付き合い初めて半年が経過したときに、彼女がある日
(「あなたのこどもをにんしんした」っていわれましてね。)
「あなたの子供を妊娠した」って言われましてね。
(だいがくせいであるばいとしかかせぎのないぼくにこどもをそだてるよゆうがなく)
大学生でアルバイトしか稼ぎのない僕に子供を育てる余裕がなく
(ましてやくりすちゃんのうちのりょうしんがそれをしってしまえば)
ましてやクリスチャンのうちの両親がそれを知ってしまえば
(おちはらさせないようにしゅっさんさせるのがおちなもんで)
墜胎させないように出産させるのがオチなもんで
(おれはおやにもいえず、おれはにんしんをしってかのじょとのわかれをきりだして)
俺は親にも言えず、俺は妊娠を知って彼女との別れを切り出して
(それっきりです。あとあと、しょうかいしてくれたつれからかのじょがげんきなおとこのこを)
それっきりです。後々、紹介してくれた連れから彼女が元気な男の子を
(しゅっさんしたというはなしをきいておかねについてはかのじょとかのじょのりょうしんと)
出産したという話を聞いてお金については彼女と彼女の両親と
(やりくりしながらそだてていくというはなしをきいて、こどものちちおやとして)
やりくりしながら育てていくという話を聞いて、子供の父親として
(もうしわけないきもちでいっぱいになって、それからはぼくのなかでは)
申し訳ない気持ちでいっぱいになって、それからは僕の中では
(ふういんしたいはなしとなりました」)
封印したい話となりました」