銀河鉄道の夜 10
四、ケンタウル祭 (3/3)
宮沢賢治 作
宮沢賢治 作
「あの、今日、牛乳がぼくんとこへこなかったので、もらいにあがったんです。」
ジョバンニが一生けんめい勢いよくいいました。
ジョバンニが一生けんめい勢いよくいいました。
関連タイピング
-
夏目漱石
プレイ回数18万 長文かな512打 -
江戸川乱歩の小説「日記帳」です。
プレイ回数1405 長文2068打 -
夏目漱石
プレイ回数1.5万 長文かな1774打 -
少年探偵団シリーズ第1作品『怪人二十面相』
プレイ回数959 長文4618打 -
これから瀧島くんとみゆちゃんどうなるのかな〜わくわく
プレイ回数19 長文かな234打 -
江戸川乱歩の小説「日記帳」です。
プレイ回数1338 長文1922打 -
人狼サバイバルの名言サイコー♪
プレイ回数574 60秒 -
太宰治の短編小説、駆け込み訴えです。
プレイ回数2379 長文2826打
問題文
ふりがな非表示
ふりがな表示
(「こんばんは、ごめんなさい。」)
「今晩は、ごめんなさい。」
(じょばんにはまっすぐにたってまたさけびました。)
ジョバンニはまっすぐに立ってまた叫びました。
(するとしばらくたってから、としとったおんなのひとが、)
するとしばらくたってから、年取った女の人が、
(どこかぐあいがわるいようにそろそろとでてきて)
どこか具合が悪いようにそろそろと出てきて
(なにかようかとくちのなかでいいました。)
何か用かと口の中でいいました。
(「あの、きょう、ぎゅうにゅうがぼくんとこへこなかったので、)
「あの、今日、牛乳がぼくんとこへこなかったので、
(もらいにあがったんです。」)
もらいにあがったんです。」
(じょばんにがいっしょうけんめい、いきおいよくいいました。)
ジョバンニが一生懸命、勢いよくいいました。
(「いまだれもいないでわかりません。あしたにしてください。」)
「いま誰もいないでわかりません。明日にして下さい。」
(そのひとは、あかいめのしたのところをさすりながら、)
その人は、赤い目の下のところをさすりながら、
(じょばんにをみおろしていいました。)
ジョバンニを見下ろしていいました。
(「おっかさんがびょうきなんですからこんばんでないとこまるんです。」)
「おっかさんが病気なんですから今晩でないと困るんです。」
(「ではもうすこしたってからきてください。」)
「ではもう少したってからきてください。」
(そのひとはもういってしまいそうでした。)
その人はもう行ってしまいそうでした。
(「そうですか。ではありがとう。」)
「そうですか。ではありがとう。」
(じょばんには、おじぎをしてだいどころからでました。)
ジョバンニは、おじぎをして台所から出ました。
(じゅうじになったまちのかどを、まがろうとしましたら、)
十字になった町のかどを、曲がろうとしましたら、
(むこうのはしへいくほうのざっかてんのまえで、)
向こうの端へ行く方の雑貨店の前で、
(くろいかげやぼんやりしろいしゃつがいりみだれて、)
黒い影やぼんやり白いシャツが入り乱れて、
(ろく、しちにんのせいとらが、くちぶえをふいたりわらったりして、)
六、七人の生徒らが、口笛を吹いたり笑ったりして、
など
(めいめいからすうりのとうかをもってやってくるのをみました。)
めいめいカラスウリの燈火を持ってやってくるのを見ました。
(そのわらいごえもくちぶえも、みんなききおぼえのあるものでした。)
その笑い声も口笛も、みんな聞きおぼえのあるものでした。
(じょばんにのどうきゅうのこどもらだったのです。)
ジョバンニの同級の子どもらだったのです。
(じょばんにはおもわずどきっとしてもどろうとしましたが、)
ジョバンニは思わずどきっとして戻ろうとしましたが、
(おもいなおして、いっそういきおいよくそっちへあるいていきました。)
思いなおして、いっそう勢いよくそっちへ歩いて行きました。
(「かわへいくの。」)
「川へ行くの。」
(じょばんにがいおうとして、すこしのどがつまったようにおもったとき、)
ジョバンニがいおうとして、少しのどがつまったように思ったとき、
(「じょばんに、らっこのうわぎがくるよ。」)
「ジョバンニ、ラッコの上着がくるよ。」
(さっきのざねりがまたさけびました。)
さっきのザネリがまた叫びました。
(「じょばんに、らっこのうわぎがくるよ。」)
「ジョバンニ、ラッコの上着がくるよ。」
(すぐみんなが、つづいてさけびました。)
すぐみんなが、続いて叫びました。
(じょばんにはまっかになって、もうあるいているかもわからず、)
ジョバンニはまっ赤になって、もう歩いているかもわからず、
(いそいでいきすぎようとしましたら、)
急いで行きすぎようとしましたら、
(そのなかにかむぱねるらがいたのです。)
そのなかにカムパネルラがいたのです。
(かむぱねるらはきのどくそうに、だまってすこしわらって、)
カムパネルラは気の毒そうに、だまって少しわらって、
(おこらないだろうかというようにじょばんにのほうをみていました。)
怒らないだろうかというようにジョバンニの方を見ていました。
(じょばんには、にげるようにそのめをさけ、)
ジョバンニは、にげるようにその目をさけ、
(そしてかむぱねるらのせのたかいかたちがすぎていってまもなく、)
そしてカムパネルラの背の高いかたちが過ぎて行って間もなく、
(みんなはてんでにくちぶえをふきました。)
みんなはてんでに口笛を吹きました。
(まちかどをまがるとき、ふりかえってみましたら、)
町かどを曲がるとき、ふりかえって見ましたら、
(ざねりがやはりふりかえってみていました。)
ザネリがやはりふりかえって見ていました。
(そしてかむぱねるらもまた、たかくくちぶえをふいて)
そしてカムパネルラもまた、高く口笛を吹いて
(むこうにぼんやりみえるはしのほうへあるいていってしまったのでした。)
向こうにぼんやり見える橋の方へ歩いて行ってしまったのでした。
(じょばんには、なんともいえずさびしくなって、)
ジョバンニは、なんともいえずさびしくなって、
(いきなりはしりだしました。)
いきなり走り出しました。
(するとみみにてをあてて、わああといいながら)
すると耳に手をあてて、わああといいながら
(かたあしでぴょんぴょんとんでいたちいさなこどもらは、)
片足でぴょんぴょん跳んでいた小さな子どもらは、
(じょばんにがおもしろくてかけるのだとおもって、わあいとさけびました。)
ジョバンニがおもしろくてかけるのだと思って、わあいと叫びました。
(まもなくじょばんにはくろいおかのほうへいそぎました。)
まもなくジョバンニは黒い丘の方へ急ぎました。