銀河鉄道の夜 28

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プレイ回数1521難易度(4.3) 850打 長文
八、鳥をとる人 (6/6)
宮沢賢治 作
鳥とりは二十ぴきばかり、袋に入れてしまうと、急に両手をあげて、兵隊が鉄砲弾にあたって、死ぬときのような形をしました。
と思ったら、もうそこに鳥とりの形はなくなって、
「ああせいせいした。どうもからだにちょうど合うほどかせいでいるくらい、いいことはありませんな。」
というききおぼえのある声が、ジョバンニのとなりにしました。

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問題文

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(とりとりはにじゅっぴきばかり、ふくろにいれてしまうと、)

鳥とりは二十ぴきばかり、袋に入れてしまうと、

(きゅうにりょうてをあげて、へいたいがてっぽうだまにあたって、しぬときのようなかたちをしました。)

急に両手をあげて、兵隊が鉄砲弾にあたって、死ぬときのような形をしました。

(とおもったら、もうそこにとりとりのかたちはなくなって、かえって、)

と思ったら、もうそこに鳥とりの形はなくなって、かえって、

(「ああせいせいした。どうもからだにちょうどあうほどかせいでいるくらい、)

「ああせいせいした。どうもからだにちょうど合うほどかせいでいるくらい、

(いいことはありませんな。」)

いいことはありませんな。」

(というききおぼえのあるこえが、じょばんにのとなりにしました。)

というききおぼえのある声が、ジョバンニのとなりにしました。

(みるととりとりは、もうそこでとってきたさぎを、きちんとそろえて、)

見ると鳥とりは、もうそこでとってきたさぎを、きちんとそろえて、

(ひとつずつかさねなおしているのでした。)

一つずつ重ねなおしているのでした。

(「どうしてあすこから、いっぺんにここへきたんですか。」)

「どうしてあすこから、いっぺんにここへきたんですか。」

(じょばんにが、なんだかあたりまえのような、あたりまえでないような、)

ジョバンニが、なんだかあたりまえのような、あたりまえでないような、

(おかしなきがしてといました。)

おかしな気がして問いました。

(「どうしてって、こようとしたからきたんです。)

「どうしてって、こようとしたからきたんです。

(ぜんたいあなたがたは、どちらからおいでですか。」)

ぜんたいあなた方は、どちらからおいでですか。」

(じょばんには、すぐへんじしようとおもいましたけれども、)

ジョバンニは、すぐ返事しようと思いましたけれども、

(さあ、ぜんたいどこからきたのか、もうどうしてもかんがえつきませんでした。)

さあ、ぜんたいどこからきたのか、もうどうしても考えつきませんでした。

(かむぱねるらも、かおをまっかにしてなにかおもいだそうとしているのでした。)

カムパネルラも、顔をまっ赤にして何か思い出そうとしているのでした。

(「ああ、とおくからですね。」)

「ああ、遠くからですね。」

(とりとりは、わかったというようにぞうさなくうなずきました。)

鳥とりは、わかったというようにぞうさなくうなずきました。

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