銀河鉄道の夜 51
九、ジョバンニの切符 23/36
(天の川の岸辺 2/3)
(天の川の岸辺 2/3)
「橋を架けるとこじゃないんでしょうか。」
女の子がいいました。
「あああれ工兵の旗だねえ。架橋演習をしてるんだ。けれど兵隊のかたちが見えないねえ。」
女の子がいいました。
「あああれ工兵の旗だねえ。架橋演習をしてるんだ。けれど兵隊のかたちが見えないねえ。」
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問題文
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(「あれなんのはただろうね。」)
「あれなんの旗だろうね。」
(じょばんにがやっとものをいいました。)
ジョバンニがやっとものをいいました。
(「さあ、わからないねえ、ちずにもないんだもの。)
「さあ、わからないねえ、地図にもないんだもの。
(てつのふねがおいてあるねえ。」)
鉄の舟がおいてあるねえ。」
(「ああ。」)
「ああ。」
(「はしをかけるとこじゃないんでしょうか。」)
「橋を架けるとこじゃないんでしょうか。」
(おんなのこがいいました。)
女の子がいいました。
(「あああれこうへいのはただねえ。かきょうえんしゅうをしてるんだ。)
「あああれ工兵の旗だねえ。架橋演習をしてるんだ。
(けれどへいたいのかたちがみえないねえ。」)
けれど兵隊のかたちが見えないねえ。」
(そのとき、むこうぎしちかくのすこしかりゅうのほうで)
その時、向こう岸ちかくの少し下流の方で
(みえないあまのがわのみずがぎらっとひかって、)
見えない天の川の水がぎらっと光って、
(はしらのようにたかくはねあがり、どぉとはげしいおとがしました。)
柱のように高くはねあがり、どぉとはげしい音がしました。
(「はっぱだよ、はっぱだよ。」)
「発破だよ、発破だよ。」
(かむぱねるらはこおどりしました。)
カムパネルラはこおどりしました。
(そのはしらのようになったみずはみえなくなり、)
その柱のようになった水は見えなくなり、
(おおきなさけやますが)
大きなサケやマスが
(きらっきらっとしろくはらをひからせてくうちゅうにほうりだされて、)
きらっきらっと白く腹を光らせて空中にほうり出されて、
(まるいわをかいてまたみずにおちました。)
まるい輪を描いてまた水に落ちました。
(じょばんにはもうはねあがりたいくらい)
ジョバンニはもうはねあがりたいくらい
(きもちがかるくなっていいました。)
気持ちが軽くなっていいました。
など
(「そらのこうへいだいたいだ。)
「空の工兵大隊だ。
(どうだ、ますやなんかがまるでこんなになってはねあげられたねえ。)
どうだ、マスやなんかがまるでこんなになってはねあげられたねえ。
(ぼくこんなゆかいなたびはしたことない。いいねえ。」)
ぼくこんな愉快な旅はしたことない。いいねえ。」
(「あのますならちかくでみたらこれくらいあるねえ、)
「あのマスなら近くで見たらこれくらいあるねえ、
(たくさんさかないるんだな、このみずのなかに。」)
たくさん魚いるんだな、この水の中に。」
(「ちいさなおさかなもいるんでしょうか。」)
「小さなお魚もいるんでしょうか。」
(おんなのこがはなしにつりこまれていいました。)
女の子が話につりこまれていいました。
(「いるんでしょう。おおきなのがいるんだからちいさいのもいるんでしょう。)
「いるんでしょう。大きなのがいるんだから小さいのもいるんでしょう。
(けれどとおくだからちいさいのみえなかったねえ。」)
けれど遠くだから小さいの見えなかったねえ。」
(じょばんにはもうすっかりきげんがなおって)
ジョバンニはもうすっかりきげんが直って
(おもしろそうにわらっておんなのこにこたえました。)
面白そうにわらって女の子に答えました。