グロースターの仕立屋 13/終

ベアトリクス・ポター 作
関連タイピング
-
岡本綺堂 半七捕物帳シリーズ 第八話
プレイ回数444長文2391打 -
岡本綺堂 半七捕物帳シリーズ 第八話
プレイ回数592長文2718打 -
プレイ回数266歌詞かな461打
-
プレイ回数1212歌詞980打
-
プレイ回数330長文かな4182打
-
プレイ回数989長文60秒
-
星の王子さま 河野万里子訳
プレイ回数597長文3929打 -
少年探偵団シリーズ第3作品『妖怪博士』
プレイ回数830長文4662打
問題文
(うわぎのえりや、そでのふちには、ばらとぱんじーのはながししゅうされ、)
上着のえりや、袖の縁には、薔薇とパンジーの花が刺繍され、
(ちょっきはけしとやぐるまそうでかざれていた。)
チョッキはケシと矢車草で飾れていた。
(なにもかもきちんとしたてあげられ、)
なにもかもきちんと仕立て上げられ、
(ただべにいろのぼたんほーるひとつだけが、かがられずにのこっていた。)
ただべに色のボタン・ホール一つだけが、かがられずに残っていた。
(そして、そのぼたんほーるのあるべきところに、)
そして、そのボタン・ホールのあるべきところに、
(ちいさなかみがとめられて、とてもとてもちいさなもじで、)
小さな紙がとめられて、とてもとても小さな文字で、
(「あないとがたりぬ」)
「穴糸が足りぬ」
(とかいてあった。)
とかいてあった。
(そして、このときから、ぐろーすたーのしたてやのうんはひらけた。)
そして、このときから、グロースターの仕立屋の運はひらけた。
(したてやは、たいへんじょうぶになり、かなりゆうふくにもなった。)
仕立屋は、たいへん丈夫になり、かなり裕福にもなった。
(また、ぐろーすたーじゅうのかねもちのあきんどや、)
また、グロースター中の金持ちのあきんどや、
(ぐろーすたーちかくのりっぱなしんしたちのため、)
グロースター近くのりっぱな紳士たちのため、
(たいへんみごとなうわぎをつくった。)
たいへん見事な上着を作った。
(このしたてやのつくるひだかざり、またししゅうのついたかふすやえりは、)
この仕立屋の作る襞飾り、また刺繍のついたカフスや襟は、
(それまでだれもみたことのないようなものだった。)
それまでだれも見たことのないようなものだった。
(けれども、そのどれにもましてみごとなのが、)
けれども、そのどれにもまして見事なのが、
(このひとのかがるぼたんほーるであった。)
このひとのかがるボタン・ホールであった。
(そのぼたんほーるのかがりめは、まことにまことにきちんとそろい、)
そのボタン・ホールのかがり目は、まことにまことにきちんとそろい、
(どうしてあのめがねをかけて、ゆびのまがったとしよりが、)
どうしてあのめがねをかけて、指の曲がった年寄りが、
(それをつくれたのだろうと、ふしぎにおもわれた。)
それを作れたのだろうと、不思議に思われた。
(それほどそのかがりめはこまかくてこまかくて、)
それほどそのかがり目は細かくて細かくて、
(まるでちいさなねずみがさしたようにみえるのだった。)
まるで小さなねずみが刺したように見えるのだった。
(おわり。)
おわり。