カラマーゾフの兄弟3

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順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 りく 5832 A+ 5.9 97.7% 770.0 4599 108 73 2024/10/28

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問題文

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(じぶんはこのもんだいのかいけつにゆきなやんだあげく、ついに、まったくかいけつをつけ)

自分はこの問題の解決にゆき悩んだあげく、ついに、全く解決をつけ

(ずにいこうとけっしんした。もとよりけいがんけいがんなどくしゃはすでに、そもそ)

ずにいこうと決心した。もとより炯眼けいがんな読者はすでに、そもそ

(ものさいしょからわたしがそんなことをいいそうだったと、はやくもみぬいてしま)

もの最初から私がそんなことを言いそうだったと、早くも見抜いてしま

(って、ただ、--なんのために、むやみにやくにもたたないもんくをならべて)

って、ただ、なんのために、むやみに役にも立たない文句を並べて

(、きちょうなじかんをろうひするのかと、わたしにたいしてはらをたてられたであろう。)

、貴重な時間を浪費するのかと、私に対して腹を立てられたであろう。

(しかし、これにたいしては、はっきりとこうおこたえしよう。すなわちじぶん)

しかし、これに対しては、はっきりとこうお答えしよう。すなわち自分

(がやくにもたたないもんくをならべて、きちょうなじかんをろうひしたのは、だいいちには)

が役にも立たない文句を並べて、貴重な時間を浪費したのは、第一には

(ぎれいのためであり、だいにには、「なにはともあれ、あらかじめなにかせんてを)

儀礼のためであり、第二には、『何はともあれ、あらかじめ何か先手を

(うっておこう」という、ずるいかんがえによるのであると。)

打っておこう』という、ずるい考えによるのであると。

(もっとも、じぶんは、このしょうせつが、「ほんしつてきにはかんぜんないったいでありなが)

もっとも、自分は、この小説が、『本質的には完全な一体でありなが

(ら」おのずからにしてふたつのものがたりにわかれたことをよろこんでさえもいるの)

ら』おのずからにして二つの物語に分かれたことを喜んでさえもいるの

(である。どくしゃがさいしょのものがたりをつうどくされたいじょう、だいにのものがたりにとりかかる)

である。読者が最初の物語を通読された以上、第二の物語に取りかかる

(かちがあるかないかは、すでにおのずからけっていされるであろう。いうま)

価値があるかないかは、すでにおのずから決定されるであろう。いうま

(でもなく、だれひとり、なんらのこうそくをうけているわけではないので、さい)

でもなく、誰ひとり、なんらの拘束を受けているわけではないので、最

(はつのものがたりのにぺーじくらいのところから、もうにどとあけてみないつも)

初の物語の二ページくらいのところから、もう二度とあけてみないつも

(りで、このほんをひりだしても、いっこうさしつかえはないのである。し)

りで、この本を放り出しても、いっこうさしつかえはないのである。し

(かし、こうへいなはんだんをあやまるまいとして、ぜひともさいごまでよんでしまおう)

かし、公平な判断を誤るまいとして、ぜひとも最後まで読んでしまおう

(というようなでりけーとなどくしゃもあるのではないか。たとえば、ろしあ)

というようなデリケートな読者もあるのではないか。たとえば、ロシア

(のあらゆるひひょうかしょくんがそれである。かようなひとたちにたいしては、なん)

のあらゆる批評家諸君がそれである。かような人たちに対しては、なん

(といってもきがらくである。つまり、かれらがどんなにせいみつでりょうしんてきであろ)

といっても気が楽である。つまり、彼らがどんなに精密で良心的であろ

など

(うとも、やはりこのしょうせつのだいいちのそうわのへんでほんをなげだすのにもっともせいとう)

うとも、やはりこの小説の第一の插話の辺で本を投げ出すのに最も正当

(なこうじつをていきょうしておくわけである。さあ、これでじょぶんはたねぎれだ。じぶん)

な口実を提供しておくわけである。さあ、これで序文は種切れだ。自分

(はこれがよけいなものであるということにまったくどうかんではあるが、せっか)

はこれがよけいなものであるということに全く同感ではあるが、せっか

(くもうかいたことでもあるから、これはこのままにしておこう。)

くもう書いたことでもあるから、これはこのままにしておこう。

(さて、いよいよほんぶんにとりかかろう。)

さて、いよいよ本文にとりかかろう。

([#かいぺーじ])

[#改ページ]

(だいいちへんあるいえのれきし)

第一篇 ある家の歴史

(いち ふょーどるぱーヴろヴぃっちからまぞふ)

一 フョードル・パーヴロヴィッチ・カラマゾフ

(あれくせいふょーどろヴぃっちからまぞふは、このぐんのじぬしふょ)

アレクセイ・フョードロヴィッチ・カラマゾフは、この郡の地主フョ

(ーどるぱーヴろヴぃっちからまぞふのさんなんで、ちちのふょーどるは、)

ードル・パーヴロヴィッチ・カラマゾフの三男で、父のフョードルは、

(いまからちょうどじゅうさんねんまえにひげきてきないんさんなさいごをとげたために、そのこ)

今からちょうど十三年前に悲劇的な陰惨な最後を遂げたために、そのこ

(ろ(いや、いまでもやはりこちらではときおりうわさうわさにのぼる)ひじょうにひょう)

ろ(いや、今でもやはりこちらでは時おり噂うわさにのぼる)非常に評

(ばんのたかかったじんぶつであるが、このじけんについてはいずれしかるべきとこ)

判の高かった人物であるが、この事件についてはいずれしかるべきとこ

(ろにおいておはなしすることにしよう。ここではたんにこの「じぬし」が(とう)

ろにおいてお話しすることにしよう。ここでは単にこの『地主』が(当

(ちではかれのことをこうよんでいたが、そのみ、かれはいっしょうがいほとんどじぶん)

地では彼のことをこう呼んでいたが、その実、彼は一生涯ほとんど自分

(のもちむらでくらしたことがなかった)かなりちょいちょいみうけるには)

の持ち村で暮らしたことがなかった)かなりちょいちょい見受けるには

(みうけるが、いっぷうかわったかたのにんげんであった、というだけにとどめてお)

見受けるが、一風変わった型の人間であった、というだけにとどめてお

(こう。つまり、やくざでほうらつほうらつなばかりではなく、それとどうじに)

こう。つまり、やくざで放埒ほうらつなばかりではなく、それと同時に

(わけのわからないにんげんのたいぷ もっとも、おなじわけのわからないれん)

わけのわからない人間のタイプもっとも、同じわけのわからない連

(ちゅうのなかでも、じぶんのざいさんにかんするほそぼそしたじむを、たくみにしょりすること)

中の中でも、自分の財産に関する細々した事務を、巧みに処理すること

(ができて、しかも、それだけがしんじょうかとおもわれるようなたぐいのにんげんで)

ができて、しかも、それだけが身上かと思われるようなたぐいの人間で

(あった。たとえば、ふょーどるぱーヴろヴぃっちはほとんどむいちぶつで)

あった。たとえば、フョードル・パーヴロヴィッチはほとんど無一物で

(せけんへでて、じぬしとはいってもきわめてささやかなものなので、よその)

世間へ出て、地主とはいってもきわめてささやかなものなので、よその

(いえへいってしょくじをしたり、いそうろうにころがりこむことばかりねらっていたが、)

家へ行って食事をしたり、居候に転がりこむことばかり狙っていたが、

(しんだときにはげんきんでじゅうまんるーぶるものこしていたことがわかった。それ)

死んだ時には現金で十万ルーブルものこしていたことがわかった。それ

(だのに、かれはいぜんとして、いっしょうがいを、ぐんないきってのもっともわからずやのくるい)

だのに、彼は依然として、一生涯を、郡内きっての最もわからずやの狂

(きじみたおとこのひとりとしておしとおしてしまったのである。くりかえしていう)

気じみた男の一人として押し通してしまったのである。くり返していう

(が、けっしてばかであったというわけではない。かえって、こういうくるい)

が、けっしてばかであったというわけではない。かえって、こういう狂

(きじみたにんげんのだいたすうは、かなりりこうでこうかつこうかつである、--つま)

気じみた人間の大多数は、かなり利口で狡猾こうかつである、つま

(り、わけがわからないのである。しかも、そこにはなんとなくどくとくなこく)

り、わけがわからないのである。しかも、そこにはなんとなく独特な国

(みんてきなところさえうかがわれる。)

民的なところさえうかがわれる。

(かれはけっこんして、さんにんのこをあげあげた。--ちょうなんのどみとりいはせんさい、)

彼は結婚して、三人の子を挙あげた。長男のドミトリイは先妻、

(つぎのふたり、すなわちいわんとあれくせいとはごさいのはらからうまれた。ふ)

次の二人、すなわちイワンとアレクセイとは後妻の腹から生まれた。フ

(ょーどるのせんさいは、やはりこのぐんのじぬしでみうーそふという、かなりゆう)

ョードルの先妻は、やはりこの郡の地主でミウーソフという、かなり裕

(ふくでめいもんのきぞくのでであった。じさんきんつきで、おまけにうつくしく、そのう)

福で名門の貴族の出であった。持参金つきで、おまけに美しく、そのう

(えてきぱきしたさとあきそうめいなむすめーーこういったたぐいのむすめはげんだいのわ)

えてきぱきした聡明そうめいな娘こういったたぐいの娘は現代のわ

(がくにではいっこうめずらしくないが、そろそろぜんせいきにおいても、あらわ)

が国ではいっこうめずらしくないが、そろそろ前世紀においても、現わ

(れかかっていたーーが、あんなとるにもたらない「やくざもの」--その)

れかかっていたが、あんな取るにも足らない『やくざ者』その

(ころ、だれもがこうよんでいたーーとどうしてけっこんすることができたのか)

ころ、誰もがこう呼んでいたとどうして結婚することができたのか

(、それについてはあまりくわしくせつめいしないことにする。じぶんはまだぜんせ)

、それについてはあまり詳しく説明しないことにする。自分はまだ前世

(きの「ろまんちっくな」じだいにうまれたひとりのむすめをしっていた。このむすめ)

紀の『ロマンチックな』時代に生まれた一人の娘を知っていた。この娘

(はなんねんかのあいだ、ひとりのしんしになぞめいたこいをしていたが、このあいてと)

は何年かのあいだ、一人の紳士に謎めいた恋をしていたが、この相手と

(たいへいぶじにいつなんどきでもけっこんすることができるのに、けっきょくどうにも)

泰平無事にいつなんどきでも結婚することができるのに、結局どうにも

(ならないようなしょうがいをかってにかんがえだして、あらしのよるに、だんがいのようなたかい)

ならないような障害を勝手に考え出して、嵐の夜に、断崖のような高い

(きしから、かなりにふかいげきりゅうにみをとうじてしんでしまった。それというの)

岸から、かなりに深い激流に身を投じて死んでしまった。それというの

(もまったくじぶんのきまぐれによることで、ひたすらしぇーくすぴあのおふぇ)

も全く自分の気まぐれによることで、ひたすらシェークスピアのオフェ

(りやにあやかりたいためであった。それで、もしかのじょがずっといぜんから)

リヤにあやかりたいためであった。それで、もし彼女がずっと以前から

(めをつけて、ぼけほれこんでいたこのだんがいが、それほどえのようにうつくしく)

目をつけて、惚ほれこんでいたこの断崖が、それほど絵のように美しく

(なくて、そのかわりにへいぼんなひくいきしででもあったならば、おそらく、こ)

なくて、その代わりに平凡な低い岸ででもあったならば、おそらく、こ

(んなじさつなどというさたはまったくおこらなかったであろう。これはまぎれ)

んな自殺などというさたは全く起こらなかったであろう。これはまぎれ

(もないじつわであるが、さいきんにひゃくねんなりさんびゃくねんのあいだに、このような、)

もない実話であるが、最近二百年なり三百年のあいだに、このような、

(ないしはこれとるいをどうじゅうするじけんは、わがろしあのせいかつにおいて、)

ないしはこれと類を同じゅうする事件は、わがロシアの生活において、

(すくなからずおこったものとかんがえなければならぬ。)

少なからず起こったものと考えなければならぬ。

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