酒井忠勝の陰謀2

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(さかいのいんぼうは、しかし、しっぱいする)

酒井の陰謀は、しかし、失敗する

(どうしてこうなったかは、ぺーじすうのつごうで、はぶく)

どうしてこうなったかは、ページ数のつごうで、はぶく

(きたむら:さかいさま!)

北村:酒井様!

(さかい:きたむらどの、ざんねんながら、こたびのわれらのくわだては、すいほうにきした)

酒井:北村どの、残念ながら、こたびの我らの企ては、水泡に帰した

(きたむら:なんと!)

北村:なんと!

(さかい:あれは、まぎれもなく、ほんもののちょうしちろうぎみだ)

酒井:あれは、まぎれもなく、本物の長七郎ぎみだ

(きたむら:え?)

北村:え?

(さかい:きたむらどの、なにをなすべきか、おわかりだな)

酒井:北村どの、なにをなすべきか、お分りだな

(きたむら:え?)

北村:え?

(さかい:にせもののやくめはおわった)

酒井:ニセモノの役目は終わった

(しーんかわって、おろうかにて)

シーン変わって、お廊下にて

(ちょうしちろう:さかいどの、このたびのいっけん、どうけっちゃくをつけるおつもりか)

長七郎:酒井どの、この度の一件、どう決着をつけるおつもりか

(さかい:このたびのいっけん、はてなんのことか)

酒井:この度の一件、はてなんのことか

(ちょうしちろう:それがしのにせものをうえさまにきりかからせ、)

長七郎:それがしのニセモノを上様に斬りかからせ、

(そのすんぜんにてにせものをきる)

その寸前にてニセモノを斬る

(そこもとはふたたび、うえさまのちょうあいをとりもどし、ばっかくにふっきする)

そこもとは再び、上様の寵愛を取り戻し、幕閣に復帰する

(それが、そこもとのはかりごととみたが)

それが、そこもとのはかりごとと見たが

(さかい:ちょうしちろうぎみ、そのにせものとやらは、いったいどこにいるのですかな)

酒井:長七郎ぎみ、そのニセモノとやらは、一体どこにいるのですかな

(ちょうしちろう:すでに、いずこかにつれだした。しょうこがないといわれるか)

長七郎:すでに、いずこかに連れ出した。証拠がないといわれるか

(さかいどの、こんどばかりはそれがし、そこもとをきりたくなった)

酒井どの、今度ばかりはそれがし、そこもとを斬りたくなった

など

(さかい:ちょうしちろうぎみ、でんちゅうでござる。でんちゅうでござるよ)

酒井:長七郎ぎみ、殿中でござる。殿中でござるよ

(はしのうえ)

橋の上

(にせちょうしちろう:きたむらどの、どこへいくのだ)

ニセ長七郎:北村どの、どこへいくのだ

(きたむら:ここだ)

北村:ここだ

(かごごとはくじんにつらぬかれ、にせものはかわにどぼん)

籠ごと白刀に貫かれ、ニセモノは川にドボン

(きたむら:ながれてもくずときえるか)

北村:流れて藻屑と消えるか

(うたかたのごとくうまれたおまえにはふさわしいしにざまだ)

泡沫のごとく生まれたお前にはふさわしい死にざまだ

(きたむらのやしき)

北村の屋敷

(さもんじ:きけ!そこもとらのいのちをもうしうける)

左紋次:聞け!そこもとらの命を申しうける

(きたむら:ちょうしちろうぎみのごしじだ)

北村:長七郎ぎみのご指示だ

(ちょうしちろう:まて!そのようなしじをだしたおぼえはない)

長七郎:待て!そのような指示を出した覚えはない

(きたむら:なにものだ!)

北村:何者だ!

(ちょうしちろう:まつだいらちょうしちろうながより)

長七郎:松平長七郎長頼

(もとおおめつけ、きたむらうきょうのすけ!きさまたちのくわだてはすべてろけんした)

元大目付、北村右京之介!貴様たちの企ては全て露見した。

(ことやぶれたとみて、そこなおおやまたちをまっさつせんとはかるは、)

こと破れたと見て、そこな大山たちを抹殺せんと計るは、

(まさに、ごくあくひどうなふるまい。だんじてゆるすわけにはいかん)

正に、極悪非道な振る舞い。断じて許すわけにはいかん

(きたむら:かまわんきれ!ちょうしちろうぎみをきってすてい!)

北村:構わん斬れ!長七郎ぎみを斬って捨てい!

(ちょうしちろう:やむをえん!)

長七郎:やむを得ん!

(さもんじ:かかれ!)

左紋次:かかれ!

(ちょうしちろう:おまえたちはてをだすな!)

長七郎:お前たちは手を出すな!

(おれのなまえはいんどうかわりだ。まよわずじごくにおちるがよい)

俺の名前は引導代わりだ。迷わず地獄に墜ちるがよい

(さかいのちゃしつ)

酒井の茶室

(さかい:そうか)

酒井:そうか

(ふぶき:はい、おおやまたちになにもしらせず、)

吹雪:はい、大山たちに何も知らせず、

(すべてをごじしんひとりのむねにおさめるおつもりでございます)

全てをご自身1人の胸に収めるおつもりでございます

(さかい:あいかわらずの、にんじょうかよのう。ふぶき)

酒井:相変わらずの、人情家よのう。吹雪

(ふぶき:はい)

吹雪:はい

(さかい:きえろ)

酒井:消えろ

(ふぶき:はい)

吹雪:はい

(さかい:これで、おおきなかりができたというわけか)

酒井:これで、大きな借りができたというわけか

(だがそれがいつか、ちょうしちろうぎみのいのちとりになる。いつかきっと)

だがそれがいつか、長七郎ぎみの命取りになる。いつかきっと

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